束の間の休息 前編
本日は休息日!
各国学院交流戦一日目、
全六試合を終えた闘技場は、まだ熱気に包まれていた。
ノクティスが壇上へ上がる。
「皆さん、本日の試合は以上となります。」
観客席から拍手が起こる。
「なお、左ブロック決勝、右ブロック決勝、そして決勝戦につきましては、選手の疲労を考慮し、明後日に行います。」
その言葉に会場がざわつく。
「えっ?」
「明日は試合ないの?」
ノクティスは笑みを浮かべた。
「明日は選手たちの休息日です」
「リベルタやユノベルの街、シェルナ村など、本国自慢の観光地を自由に散策していただいて構いません」
「十分に英気を養い、決勝戦へ備えてください。講義も明日は休みとします!」
その瞬間、
「やったーー!」
「温泉行こうぜ!」
「海にも行きたい!」
観客席は一気に和やかな空気へ変わった。
セラも目を輝かせる。
「海!海行こうよ!」
リリアナも嬉しそうに頷く。
「私も行きたいです!」
エリシアはミオを見る。
「ミオさんも一緒に行きませんか?」
ミオは微笑んだ。
「ええ、せっかくだもの」
アウレリアも紅茶を飲みながら頷く。
「たまには息抜きも必要ですわ」
翌朝、
一行はシェルナ村の海岸へやって来た。
––青い海。
––白い砂浜。
––空には雲一つない快晴。
「海だぁぁぁーー!」
セラが真っ先に走り出した。
そのまま勢いよく海へ飛び込む。
ザバーン!!
「きゃっ!」
「つめたーい!」
その姿に皆が笑う。
エリシアも靴を脱ぐ。
「本当に綺麗……」
ゆっくり波打ち際へ入っていく。
ミオは水色の水着姿で静かに海を眺めていた。
「気持ちいいわね。」
その隣ではアイリスとフィオナも海へ入る。
「こんなの久しぶりですね」
「ええ、本当に…」
二人は波に足を浸しながら穏やかに微笑んだ。
少し離れた場所では、
セレスティアも波打ち際を歩いていた。
裸足で砂浜を歩き、小さく微笑む。
「こんなにゆっくり海を見るのは……いつ以来でしょう」
その言葉にミオが優しく笑う。
「セレスティア様、今日くらいは全部忘れて楽しみましょう」
セレスティアも静かに頷いた。
「はい」
(やはり、どこかでお会いした事があるような…)
その笑顔は王女ではなく、一人の少女そのものだった。
一方、
「さぁ!」
アウレリアが両手を叩く。
「せっかくですもの!」
「ビーチバレーをしましょう!」
「えぇぇぇ!?」
リリアナが驚く。
「私できませんよぉ!」
「そんなのは大丈夫です」
「何とかなりますわ」
「ならないですよぉ!」
結局、
四対四で試合開始。
組分けの結果、
ミオ・アウレリア・アイリス・フィオナ。
対するは、
セラ・エリシア・リリアナ・セレスティア。
「いきますわ!」
アウレリアのサーブ。
バシィッ!!
「えっ速っ!」
セラが慌てて飛び込む。
何とか上がる。
「エリシア!」
「うん!」
トス。
セレスティアが返す。
今度はミオ。
軽く打ち返す。
ラリーが続く。
「すごーい!」
「続いてる!」
リリアナは必死だった。
「きゃっ!」
ボールが顔へ直撃。
ぽよん。
「あうぅ……」
そのまま砂浜へ尻もちをつく。
全員が思わず吹き出した。
「リリアナさん、大丈夫?」
エリシアが駆け寄る。
「へ、平気ですぅ……」
顔にボールの跡を付けたまま照れ笑いする。
今度はセラが思い切りアタック。
「えーーい!」
しかし勢い余って自分も前へ転ぶ。
「きゃあっ!」
ザバーン!!
そのまま海へ一直線。
波しぶきが大きく上がる。
アウレリアが苦笑した。
「元気ですわね」
セラは海から顔を出す。
「えへへ、失敗しちゃった。」
その様子に全員が笑った。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
一方その頃、
ユノベルの街では。
「まずは腹ごしらえだよね」
レイが屋台街を見渡す。
その隣にはクロエ、エルフィ、ニアの姿があった。
「まだ昼前ですよ?」
クロエが呆れる。
「観光は食から始まるんだよ?」
レイは真剣だった。
「それに、この街は屋台が多いから食べ歩きには最高なんだ」
「それが目的だったんでしょ?」
「うん」
即答だった。
エルフィが笑う。
「隠す気ないね」
ニアは尻尾を揺らしながら焼き魚の屋台へ一直線。
「にゃ!」
「おさかなー!」
店主のおじさんが笑う。
「嬢ちゃん、いい食べっぷりだ!そんなに好きか!一本おまけだ!」
ニアの目が輝く。
「やったにゃー!」
レイは串焼きを頬張る。
「はぁ……うま」
次は焼き鳥。
その次は肉まん。
さらに揚げ串。
クロエが呆れたように数える。
「レイ様……もう五軒目ですよ?」
「今日は休息日だから」
「理由になってないですね」
エルフィがクレープを食べながら笑う。
「でも確かに美味しい」
「ほら、でしょ?」
レイは満足そうに頷いた。
今日くらいは戦いを忘れ、
それぞれが思い思いの休日を楽しんでいた。
後編に続きます!




