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俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

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フィオナ vs シルヴィア

フィオナ対シルヴィア戦です

 ミオとリヒトの熱戦からしばらく経ち、会場の熱気もようやく落ち着きを取り戻し始めていた。


 そして、ノクティスが壇上へ上がった。


「続きまして第六試合!」


「聖光王国アルディア代表――フィオナ!」


 拍手が響く。


 フィオナは静かな足取りで試合場へ姿を現した。


 腰には一本の細剣。


 その表情は穏やかだが、研ぎ澄まされた空気を纏っている。


 対するは、


「魔導連邦エルドリア代表――シルヴィア!」


 先ほどバルクを破ったシルヴィアがゆっくりと

 中央へ歩く。


「あなたなら99.9%勝てますよ!」


 ゼノが言う。


 シルヴィアは何か言いたいようであったが、


 二人は向かい合い、一礼を交わした。


 審判が右手を掲げる。


「始め!」


 開始と同時にシルヴィアが魔法陣を展開した。


「──氷結槍アイスランス


 無数の氷槍が一直線に放たれる。


 しかし、


 フィオナは軽やかな足取りで駆け抜け、その全てを紙一重でかわしていく。


「速い!」


「全部避けた!」


 観客席がどよめく。


 シルヴィアは表情を変えない。


「ならば」


 足元へ新たな魔法陣が広がる。


「──氷結拘束アイスチェイン


 地面を這うように氷の鎖が伸びる。


 フィオナは剣を振るい、鎖を断ち切る。


 パキィン!


 氷片が宙へ舞う。


 そのまま一気に距離を詰めた。


 ガキィィン!!


 剣と細剣が激しくぶつかり合う。


 シルヴィアは後退しながら魔法を放ち、


 フィオナはその隙を逃さず踏み込む。


 魔法と剣。


 距離を取る者と距離を詰める者。


 まるで正反対の戦い方だった。


「どっちもすごい……!」


「見応えあるな!」


 ガルドは腕を組みながら豪快に笑う。


「魔法使い相手によくあそこまで近付けるもんだ!」


 その横でゼノは真剣な顔で頷いていた。


「大丈夫、シルヴィアはまだまだ余力を残していますよ。おそらく七割程度でしょう」


 シルヴィアは試合をしながら聞こえてきたその言葉に思わず眉をひそめる。


(試合中に分析しないでください……)


 フィオナはその一瞬の変化を見逃さなかった。


「いただきます!」


 一歩踏み込む。


 鋭い突き。


 シルヴィアは細剣で受け流す。


 キィン!


 そのまま距離を取ろうとした瞬間、


 フィオナがさらに踏み込んだ。


「はやっ!」


 観客席が息を呑む。


 しかしシルヴィアも冷静だった。


 魔法陣が足元に広がる。


「──氷壁アイスウォール


 巨大な氷壁が二人の間へ現れる。


 ドゴォン!!


 フィオナは勢いそのまま氷壁を斬り裂いた。


 氷壁の破片が霧散する。


「なっ!」


 シルヴィアの目がわずかに見開く。


 砕け散る氷の中からフィオナが飛び出した。


 ガキィィン!!


 二人の剣が再び激突する。


 互いに一歩も引かない。


 時間だけが過ぎていく。


 レティアが静かに呟く。


「今までで一番拮抗してる」


 レヴィアも頷いた。


「どっちが勝ってもおかしくないね」


 やがて、


 シルヴィアが大きく息を吐く。


「このままでは埒があきません。ここで決めます」


 試合場いっぱいに巨大な魔法陣が展開された。


 冷気が一気に広がる。


 観客席まで寒気が届いた。


「すごい魔力だ……!」


 フィオナも剣を構え直す。


「受けて立ちます。」


 次の瞬間、


 吹雪が試合場を包み込んだ。


 真っ白な世界。


 何も見えない。


「見えない!」


「どっちだ!?」


 静まり返る会場。


 そして、


 キィィィン!!


 一度だけ高い金属音が響いた。


 吹雪がゆっくりと晴れていく。


 二人は向かい合ったまま立っていた。


 フィオナの剣先がシルヴィアの喉元へ。


 同時に、


 シルヴィアの細剣もフィオナの胸元寸前で止まっていたが届かず。


 ほんの紙一重、


 ほんの半歩、


 フィオナの方が速かった。


 審判が右手を振り下ろす。


「そこまで!」


「勝者!」


「聖光王国アルディア代表――フィオナ!」


 会場から惜しみない拍手が送られる。


 シルヴィアは苦笑しながら細剣を納めた。


「負けました」


「本当に紙一重でしたね」


 フィオナも静かに微笑む。


「私も、最後まで勝てるかどうかわかりませんでした」


 二人は固く握手を交わした。


 控え席へ戻るシルヴィアをゼノが迎える。


「お疲れ様でした、99.9%勝てると思っていたんですがね」


 シルヴィアはため息をつく。


「その数字はどこから出てきたんですか?」


 ゼノは真剣な表情で言った。


「私の勘です」


「適当じゃないですか」


 ガルドが大笑いする。


「はっはっはっ!お前、本当に飽きねぇな!」


 ノクティスが壇上へ上がる。


「第六試合、終了!」


「これにて本日の全試合を終了します!」


 会場から大きな拍手が沸き起こる。


「なお各選手の疲労を考慮し、左ブロック決勝、右ブロック決勝、そして決勝戦は明後日に行います。明日は休息日となります。リベルタやユノベルの街、シェルナ村などを自由に観光し、英気を養ってください!それでは」


 その一言で、会場は一気に和やかな空気に包まれた。


「やったー!」


「温泉行こうぜ!」


「せっかくだし海も行きたい!」


 決戦を前にした、束の間の休息が始まろうとしていた。

各ブロック決勝、総合優勝戦の前に休息が入ります。

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