ミオ vs リヒト
ルーヴェン出身者同志の戦い
レオニスは複雑な心境です
ノクティスが壇上へ上がる。
「第五試合!」
「リベルタ中央魔導学院代表――ミオ!」
大きな歓声が会場を包む。
開催地でもあり、大歓声が起こっている。
ミオはゆっくりと試合場へ歩み出た。
華奢な体で悠然と両手剣を構える。
落ち着いた表情のまま中央へ立つと、静かに剣を構えた。
重厚な刀身が陽の光を反射し、淡く輝く。
対するは、
「ルーヴェン覇王国代表――リヒト!」
先ほどゼノを破った剣士。
無駄のない足取りで中央へ歩み寄る。
「私を破った方です、彼が優勝で間違いないでしょう」
「まだ試合はたくさんあります。みなさん強い方たちばかりなのでまだわかりません!それに、私は負けるという事ですか?」
「……あっいえ、そういうわけでは…」
「ではどういう事なんですか?」
ゼノはシルヴィアに詰められいた。
それを見てガルドが豪快に笑う。
そして、
ミオとリヒトは向かい合い、一礼を交わした。
審判が右手を掲げる。
「始め!」
開始の合図と同時に、
リヒトが地面を蹴った。
まるで矢のような踏み込み。
一瞬で間合いを詰める。
「速い!」
観客席から驚きの声が上がる。
鋭い斬撃。
ガキィィン!!
ミオは慌てることなく両手剣で受け止めた。
火花が散る。
「受け止めた!」
「リヒトの一撃を!」
リヒトはすぐさま追撃へ移る。
横薙ぎ、斬り上げ。
突き、流れるような三連撃。
しかしミオも落ち着いていた。
ガキン!
キィィン!
ガキィン!
両手剣を手足のようにあやつり、一撃ごとに正確に受け流していく。
観客席がどよめいた。
「すごい!」
「さっきの試合より速い!」
セラは思わず立ち上がる。
「ミオさん頑張ってー!」
エリシアも胸の前で両手を握る。
「負けないで……!」
リベルタの代表だ、セラもエリシアもミオの応援をしている。
レイも周囲に合わせるように拍手を送る。
「うん、いい勝負だね」
二人が試合に夢中になっている隙に、レイはそっと串焼きを一口かじった。
(……この串焼きもうんまー)
「お姉さん!エールもう一杯!––くぅーキンキンに冷えてやがる」
その頃…試合場では激しい攻防が続いていた。
リヒトは距離を取ると、小さく笑う。
「まさか、さっきのを受け切るか」
「ならこれはどうだ!」
再び踏み込む。
今度は先ほどよりさらに速い。
一歩、二歩、三歩。
残像が見えるほどの高速移動。
四方八方から斬撃が襲い掛かる。
ガキィン!!
ガキィン!!
キィィン!!
観客達の目には剣が何本もあるように映った。
「見えない!」
「どっちがどこにいるんだ!?」
リヒトは攻撃の手を緩めない。
嵐のような連撃。
しかし、
ミオは焦る様子を見せなかった。
両手剣を滑らせるように動かし、一撃一撃を流していく。
その動きはまるで水面を流れる水のように自然だった。
リリアナが思わず息を呑む。
「すごい……、全部防いでます……」
ガルドも腕を組みながら笑う。
「二人ともいい剣だ!どちらも正面から俺とやっても面白そうだ!」
来賓席ではレオニスが静かに試合を見つめていた。
(変わらないな、いや……以前よりさらに洗練されている。魔導学院でさらに成長したか)
表情は崩さない。
だが、その瞳にはわずかな驚きが宿っていた。
一方、
リヒトも笑みを浮かべる。
「まさかここまでとは」
「ようやく、本気で剣を振るえそうだ」
その瞬間、
剣へ魔力が集中する。
鋭い風圧が試合場を包み込んだ。
観客席がざわつく。
「魔力が……!」
「本気を出すぞ!」
ミオも静かに両手剣を構え直す。
その刀身へ、淡い水色の魔力がゆっくりと流れ始めた。
まるで水が剣を包み込むように、美しい輝きを放つ。
リヒトの表情が変わる。
「水属性か……」
ミオは静かに微笑んだ。
「ここからが本当の勝負です」
次の瞬間、
二人は同時に地面を蹴った――
ガキィィン!!
剣と剣が激しくぶつかり合う。
衝撃が試合場全体へ広がった。
「速い!」
「また見えない!」
観客席から驚きの声が上がる。
リヒトはそのまま間髪入れず連撃を繰り出す。
上段、横薙ぎ、突き、斬り返し。
息つく暇もない剣技だった。
しかし、
ミオは一歩も引かない。
流れるように両手剣を操り、全てを受け流していく。
キィン!
ガキィン!
ガキィィン!!
金属音が何度も会場へ響いた。
「全部受け流してる!」
「何、あの剣さばき!」
レティアが目を細める。
「……綺麗」
レヴィアも静かに頷いた。
「まるで水が流れるみたい」
リヒトはさらに魔力を高める。
「ならば!」
剣から鋭い風圧が放たれる。
目にも止まらぬ五連撃。
ドン!
ガキン!
キィィン!!
ついにミオが一歩後ろへ下がった。
セラが思わず立ち上がる。
「押された!」
エリシアも息を呑む。
「ミオさん……!」
リヒトは勝機を逃さない。
「終わりだ!」
一気に踏み込む。
その瞬間だった。
ミオの足元へ青く澄んだ魔法陣が静かに広がる。
剣を包んでいた水の魔力がゆっくりと流れ始めた。
まるで剣の上を流れるように。
リヒトはその変化を見逃さなかった。
(受ける気じゃない……流す気か!)
剣が振り下ろされる。
ガキィィン!!
だが、
今までとは違った。
ミオは力で止めない。
剣をわずかに滑らせ、相手の力を受け流した。
「なっ!?」
リヒトの体勢がほんの僅かに崩れる。
それだけの一瞬だった。
しかし、
それを逃すミオではなかった。
一歩、踏み込む。
水を纏った両手剣が、美しい軌跡を描く。
リヒトは咄嗟に剣を合わせた。
ガキィィィン!!
互いの魔力が激突する。
試合場へ衝撃が走った。
土煙が舞い上がる。
観客席が静まり返る。
「どっちだ……!」
「見えない!」
煙が晴れる。
二人はまだ立っていた。
リヒトは静かに笑う。
「見事だ」
「ここまで追い込まれたのは久しぶりだ」
ミオも微笑む。
「私もです」
互いに剣を構える。
最後の一撃、
二人は同時に駆け出した。
ガキィィィィン!!
今までで最も大きな衝突音。
次の瞬間、
キィン――
高い金属音が会場へ響く。
リヒトの剣が折れた。
「……!」
会場がどよめく。
ミオの両手剣が、リヒトの首元で静かに止まる。
静寂、
審判がゆっくりと右手を振り下ろした。
「そこまで!」
「勝者!」
「リベルタ中央魔導学院代表――ミオ!」
一瞬遅れて、
割れんばかりの歓声と拍手が会場を包んだ。
「すげぇぇぇ!!」
「リヒトに勝った!」
「リベルタ代表強い!」
セラは飛び跳ねる。
「やったぁー!」
エリシアも満面の笑みを浮かべた。
「すごい……!」
レイも周囲に合わせて拍手を送る。
「いやぁ、いい試合だったね」
そう言いながら、残っていた串焼きを口へ運ぶ。
(冷めてもうまいな、これ)
来賓席ではレオニスが静かに拍手を送っていた。
(よくやった、さすがだ)
一瞬だけ二人の視線が交差した。
想いを胸にしまったまま、表情は崩さない。
一方、リヒトは剣を拾い上げると、小さく笑った。
「まさか折られるとはな」
「あなたは本当に強かったわ」
ミオは剣を納め、一礼する。
「ありがとうございました」
「私も、とても勉強になりました」
二人は固く握手を交わす。
その姿に会場から再び大きな拍手が送られた。
ノクティスが壇上へ上がる。
「第五試合、終了!」
「勝者、リベルタ中央魔導学院代表――ミオ!」
ミオが観戦しているみんなのもとにやってきた。
「ちょっとレイ、ちゃんと私の試合見てた?」
「えっ、あっ、うん、串焼きうまかったよ?」
「…レイー!」
「続きまして第六試合!」
「聖光王国アルディア代表――フィオナ!」
会場の熱気は冷めることなく、次なる戦いへと移っていった。
レイはちゃんと姉の試合をみてませんでしたw




