各国代表集結
各国の強者たちがリベルタに集結してきます。
学院内選抜戦から数日後。
昼休み。
リベルタ中央魔導学院の中庭では、生徒達が交流戦の話題で持ち切りだった。
「いよいよ、もうすぐですね!」
エリシアが嬉しそうに微笑む。
「代表戦かぁ」
レイも食堂で購入した少し炙ったパンに生ハムとチーズを挟んだ物を頬張りながら頷く。
「うまっ、たまには食堂の食事もいいよね。ああ、各国の代表が来るんだよね?」
「うん!見学だけでも楽しみ!」
セラも興奮気味だった。
一方、
少し離れたベンチでは、アウレリアとリリアナが昼食を食べていた。
アウレリアは紅茶を一口飲むと、優雅に口を開く。
「リリアナさん?」
「はい?」
「次のお休みは予定はあって?」
リリアナは首を傾げる。
そして少し嫌な予感がしながらもアウレリアに答える。
「いえ、次のお休みはお屋敷も私はお休みで……」
「まあ、そうですの!?」
アウレリアは満足そうに頷いた。
「では決まりですわ」
「え?」
「代表戦に向けて山籠りへ行きますわよ」
リリアナの動きが止まる。
「……はい?」
「付き合ってください」
「えええぇぇぇーーー!?」
食堂中に響くほどの大声だった。
「む、無理ですぅ!虫いますよ!?蛇いますよ!?夜は真っ暗なんですよ!?」
「だからですわ」
アウレリアは真剣な表情だった。
「精神も鍛えられます」
「鍛えたくないですぅ!」
「熊が出たらどうするんですかぁ!」
「倒しますわ」
「倒せませんよぉ!」
「リリアナさんなら大丈夫ですわ」
「全然大丈夫じゃありません!」
そのやり取りを見ていたクロエが苦笑する。
「また始まったわね」
エルフィがリリアナに声をかける。
「リリアナ逃げてー」
エルフィは少し笑っていたように見えた。
そして、ニアは首を傾げた。
「山、楽しそうにゃ」
「ニアちゃん!?」
昼休みは今日も平和だった。
そして、各国学院交流戦当日。
リベルタ中央魔導学院。
正門前には赤い絨毯が敷かれ、多くの生徒達が集まっていた。
学院関係者だけでなく、街の住民や冒険者達も見学に訪れている。
各国が集まる大イベントなだけに観覧席が一般にも解放されているのである。
当然のように観覧席は既に満席だった。
レイ達も観覧席の一角へ集まる。
「すごい人だね」
エリシアが辺りを見回す。
「毎年こんな感じなのかな?」
「そりゃ、各国代表が集まる大会だからね」
レイが答えた。
「王族も来るらしい」
「えぇ!?」
セラが驚く。
「王族まで?」
その時、
エルナが前へ出た。
「皆さん、本日は各国学院交流戦へようこそ」
「今年も各国の代表学院、そして各国の王族の皆様をお迎えしております」
生徒達がざわついた。
「本当に王族来るんだ!」
「すげぇ!」
「緊張するな……」
ほどなくして。
学院の正門がゆっくりと開いた。
「聖光王国アルディア代表学院、到着!」
白を基調とした制服の集団が姿を現す。
その先頭を歩くのは、美しい金髪を揺らす少女。
セレスティア。
その一歩後ろには護衛兼付き人のアイリスが寄り添っていた。
二人の立ち居振る舞いから漂う気品に、生徒達は思わず息を呑む。
「綺麗……」
「お姫様みたい……」
いや本物のお姫様である。
続いて、
「鉄槌王国グランツ代表学院、到着!」
重厚な鎧を身にまとった代表達が入場する。
先頭には巨大な戦槌を肩へ担いだガルド。
一歩踏み出すたび地面が揺れるような存在感だった。
「でかっ!」
「なんだあの武器!」
歓声が上がる。
さらに。
「魔導連邦エルドリア代表学院、到着!」
魔法使い達が静かに入場する。
中央には銀青色の髪をした青年。
ゼノ。
穏やかな笑みを浮かべながら学院内を見渡していた。
「魔法使いばっかりだ」
「雰囲気が全然違うな」
そして最後には、
豪華な馬車がゆっくりと正門前へ止まる。
「ルーヴェン覇王国代表学院、到着!」
その名を聞いた瞬間。
レイは静かに正門へ視線を向けた。
ミオも表情一つ変えない。
代表生徒達が次々と降りてくる。
その後ろから、一人の青年が姿を現した。
ルーヴェン王国第一王子、レオニス・ルーヴェン。
今回、王族代表として交流戦を視察に訪れていた。
レイは一瞬だけ兄へ視線を向ける。
長兄もまた、観覧席へ目を向けた。
ほんの一瞬、
二人の視線が交わる。
だが、
長兄は何事もなかったかのように静かに視線を逸らし前方を見た。
レイもまた無表情のまま行進を眺めた。
二人の間に言葉はない。
それで十分だった。
学園では王族であることを隠す。
それは王命であり、長兄も当然その事情を知っている。
だからこそ、決して接触はしない。
兄としてではなく。
一人の来賓として、その場に立っていた。
誰一人、そのやり取りに気付く者はいなかった。
一方、
観覧席の反対側では、レティアとレヴィアが各国代表を見つめていた。
「集まったね」
レヴィアが小さく呟く。
レティアはゆっくり頷く。
「代表戦だけあって学院内とは比べものにならないわね。どの代表も相当鍛えられている」
「うん」
レヴィアの視線が順番に各国代表を追う。
「面白くなりそう」
レティアも静かに笑った。
「「強者をさがす」」
二人は各代表の一挙手一投足を見逃すまいと目を細めた。
やがて、
司会役の教師ノクティスが壇上へ上がる。
「お待たせいたしました」
「これより、各国学院交流戦開会式を執り行います」
会場中から大きな拍手が沸き起こる。
各国の誇りを懸けた戦い。
各国学院交流戦が、ついに幕を開けた。
代表戦がまもなく始まります。




