学院内選抜戦 後編
選抜戦後編だれが優勝するのか!
クロエとの激闘を制したエルフィは、そのまま準々決勝へ進出した。
しかし。
次の相手の名前が呼ばれた瞬間、会場がざわつく。
「次の試合!」
「エルフィ!」
「ニア!」
エルフィは肩を回しながら笑う。
「今度はニアかー」
ニアも尻尾を揺らしながら笑顔を見せた。
「よろしくにゃ!」
二人は試合場中央で向かい合う。
審判が手を上げる。
「始め!」
その瞬間、
二人の姿が同時に消えた。
「えっ!?」
「どこ行った!?」
観客席から驚きの声が上がる。
次の瞬間、
ギィィィン!!
短剣と鉤爪が激しくぶつかる。
火花だけが散る。
エルフィが低く潜り込む。
ニアは軽やかに宙返りしながらかわす。
そのまま鉤爪を振り下ろす。
ドォン!!
石畳が砕ける。
だがエルフィはもうそこにいない。
背後。
右。
左。
二人は一瞬ごとに位置を変えながら激突を繰り返す。
ガキィン!
ギィン!
ドォン!
「速すぎる……」
「全然見えないぞ!」
観客席では誰一人として動きを追えなかった。
クロエだけは腕を組みながら静かに見つめていた。
「エルフィ……また速くなった?」
煙幕が広がる。
ニアは迷わず飛び込む。
「そこにゃ!」
煙の中で再び激突。
金属音だけが鳴り響く。
数秒後。
煙を突き破るように二人が飛び出した。
「はぁぁぁっ!」
「にゃぁぁぁ!」
二人は同時に飛び蹴りを放つ。
ドォォン!!
激しい衝撃。
互いに吹き飛ばされる。
ゴロゴロゴロ……
勢いは止まらず、
二人仲良く試合場の外まで転がっていった。
審判は少し間を置き、
静かに宣言する。
「両者場外、両者ともに失格!」
「えぇぇぇーー!?」
「にゃぁぁぁーー!?」
二人は同時に叫んだ。
エルフィは悔しそうに立ち上がる。
「あと少しだったのに!」
ニアも負けじと頬を膨らませる。
「引き分けにゃ!」
「いや、失格だから!」
「同じようなものにゃ!」
「違うって!」
二人は顔を見合わせる。
そして、
「ま、いっか!」
「にゃ!」
試合場の外で仲良く笑い合っていた。
その様子にクロエは小さくため息をつく。
「最後まで騒がしい人たち」
会場の空気が少し和らぐ。
その後。
レティアとレヴィアも順調に勝ち進んでいた。
しかし二回戦。
「降参」
レティアが木剣を下ろした。
「私もです」
レヴィアも続く。
審判が驚く。
「棄権ですか?」
「はい」
二人は笑顔だった。
「私たちは観戦して他の方たちの戦い方を学びたいので」
そう言って試合場を降りる。
「どうだった?」
レヴィアが尋ねる。
レティアは静かに試合場を見つめた。
「強い生徒は何人かいた」
「うん」
二人は静かに頷いた。
やがて、
決勝戦。
訓練場中の視線が試合場へ集まる。
「決勝戦!」
「ミオ!」
「アウレリア!」
大きな歓声が響く。
アウレリアは剣を抜いた。
「よろしくお願いしますわ」
ミオも静かに剣を構える。
「よろしくね」
審判が手を振り下ろした。
「始め!」
アウレリアが先に動く。
雷魔法。
足元へ魔法陣が広がる。
「ライトニング!」
雷撃が一直線に走る。
しかし、
ミオは最小限の動きだけでかわした。
雷が真横を通り過ぎる。
「まだですわ!」
アウレリアは間髪入れず距離を詰める。
剣撃。
斬り上げ。
横薙ぎ。
突き。
流れるような連撃。
ガキィン!!
ミオも正面から受け止める。
火花が散る。
剣と剣が何度もぶつかる。
観客席から歓声が上がる。
「すげぇ!」
「決勝だ!」
「どっちが押してる!?」
一見すると互角。
だが、
レティアは静かに呟いた。
「違う」
「押しているように見えるだけ」
「押されてるのはアウレリア」
レヴィアも気付く。
「全部受け流されてる……」
アウレリアは攻め続ける。
魔法。
剣。
雷撃。
全てを織り交ぜる。
それでも。
ミオは一歩も乱れない。
最低限の動きだけで受け流す。
「まだ!」
アウレリアが叫ぶ。
最大出力の雷魔法。
試合場全体へ雷光が走る。
「これで終わりですわ!」
眩い光。
土煙が舞い上がる。
観客席が息を呑む。
「決まったか!?」
しかし、
煙の中から一人の影が歩いてくる。
ミオだった。
無傷。
「そんな……」
アウレリアが目を見開く。
次の瞬間。
ミオは一歩だけ踏み込む。
剣先がアウレリアの喉元で止まった。
静寂。
「そこまで!」
審判の声が響く。
「優勝!」
「ミオ!」
会場は大きな拍手に包まれた。
アウレリアは静かに剣を納める。
「完敗ですわ」
ミオは微笑む。
「ありがとうございました」
二人は互いに礼を交わした。
エルナが試合場中央へ立つ。
「これにて学院内選抜戦を終了します」
「代表選手を発表します」
生徒達が静まり返る。
「優勝」
「ミオ」
大きな拍手。
「準優勝」
「アウレリア」
再び歓声が響く。
「以上二名をリベルタ中央魔導学院代表とします」
代表二人が前へ出る。
学院中から惜しみない拍手が送られた。
一方、
試合場の隅では、
セラが肩を落としていた。
「悔しいなぁ……」
エリシアが隣へ座る。
「でも、本当に強くなったよ」
「うん……」
セラは苦笑した。
「代表になりたかった」
「カインさんになんて言おう……」
エリシアは優しく微笑む。
「きっと」
「『よく頑張った』って言ってくれるよ」
セラは少しだけ考え、
ゆっくり笑った。
「……そうだよね」
「まだ終わりじゃないもん」
「次はもっと強くなる」
「うん」
エリシアは力強く頷いた。
交流戦には届かなかった。
それでも。
セラの努力は決して無駄ではない。
ダンジョンで積んだ経験。
カインから教わった戦い方。
その全てが、確かな成長として彼女の中に残っていた。
各国学院交流戦。
いよいよ各国の代表達が集う戦いの幕が上がろうとしていた。
優勝はーミオねぇー!




