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俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

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依頼達成報告

依頼達成です!

 ユノベル冒険者ギルド。


 三人はダンジョン攻略を終え、依頼達成の報告をしていた。


 受付嬢が討伐証明となる魔石を確認する。


「ホーンウルフ三体、討伐を確認しました」


「依頼達成です」


「お疲れ様でした」


 報酬袋がカウンターへ置かれる。


「ありがとうございました!」


 セラは嬉しそうに受け取った。


 その時だった。


「おっ、珍しいな」


 落ち着いた声がギルド内に響く。


 三人が振り向く。


 そこにはギルドマスター、アルベリオが立っていた。


「お前、また一緒に依頼を受けたのか」


 カインは軽く肩をすくめる。


「成り行きだ」


「前も変異種討伐で一緒だったな」


「あの時もお前が面倒を見ていたなー」


 セラは少し照れ笑いを浮かべる。


「あの時は本当に助かりました」


 エリシアも頭を下げた。


「ありがとうございました」


 アルベリオは笑う。


「普段のお前は一人で依頼を受けることがほとんどだからな。だから誰かと一緒にいる姿を見ると少し新鮮でな」


 カインは短く答えた。


「今回は魔導学院の交流戦へ向けた実戦訓練、それだけだ」


「なるほど」


 アルベリオは二人へ視線を向ける。


「カインは教え方こそ不器用だが、実戦経験は本物だ」


「今日教わったことを忘れるなよ」


「はい!」


 二人は元気よく返事をした。


「わたし交流戦、頑張ります!」


 アルベリオは満足そうに頷く。


「期待しているぞ」


「今年の交流戦は例年以上に盛り上がるらしい」


「各国とも相当な実力者を送り込んでくるそうだ」


「学院代表になるだけでも簡単じゃない」


「だからこそ、今の経験を無駄にするな」


「はい!」


 二人は力強く返事をした。


 ギルドを出る頃には、


 街は夕焼けに染まり始めていた。


「今日はありがとうございました!」


 セラが深々と頭を下げる。


「すごく勉強になりました!」


「私もです」


 エリシアも笑顔で頭を下げた。


「ありがとうございました」


「礼なら交流戦で結果を出して返してくれ」


 カインは小さく笑う。


「ああ」


「はい!」


 二人は笑顔で頷いた。


 帰り道。


 夕日に照らされた石畳を並んで歩く。


「今日は本当に来てよかった!」


 セラは嬉しそうに両手を伸ばした。


「前までは相手を倒すことしか考えてなかったけど、今日は戦い方をいっぱい教えてもらえた」


「うん」


 エリシアも優しく笑う。


「途中からすごく動きが変わってたよ」


「本当?」


「本当」


「最初のゴブリンと最後のホーンウルフじゃ全然違ってたもん」


 セラは少し照れながら笑った。


「えへへ」


「もっともっと強くならないと!」


「交流戦で代表になって、世界中の強い人と戦ってみたい!」


 その瞳は真っ直ぐだった。


 冒険者になる夢。


 そして交流戦。


 セラの中で目標はますます大きくなっていた。


「無理だけはしちゃ駄目だよ?」


「分かってる!」


「でも努力はいっぱいする!」


 二人は笑い合う。


 夕日に染まるユノベルの街は、どこか穏やかだった。


 こうして三人はそれぞれ帰路についた。


 それから数日後。


 交流戦の学院内選抜戦を翌日に控えた放課後。


 エリシアは一人でユノベルの街を歩いていた。


 交流戦が近いこともあり、街には武器や防具を見に来る学生や冒険者の姿が目立っている。


 露店を眺めながら歩いていると、


 ふと、


 視界の先に見覚えのある後ろ姿が映った。


 金髪。


 背格好。


 歩き方。


「あれ?……レイ?」


 思わず声が漏れる。


 その人物は人混みを抜け、


 前と同じように細い路地へ入っていった。


「待って!」


 エリシアは急いで駆け出した。


 人混みをすり抜け、


 露店の前を通り抜ける。


「あっ、ご、ごめんなさい!」


 買い物客とぶつかりそうになりながらも走り続ける。


「確かにレイだったはず……」


 路地裏へ飛び込む。


 しかし、


「……いない」


 誰もいなかった。


 一本道。


 左右を見渡しても、


 物陰にも、


 誰の姿もない。


「また……?」


 胸がざわつく。


 二度とも同じ。


 レイによく似た後ろ姿を見付け、


 追いかけると消えてしまう。


「私の見間違いなのかな……」


 そう呟いた時だった。


「エリシア?」


 聞き覚えのある声がした。


 振り返る。


 そこには銀髪の青年――カインが立っていた。


「あっ、カインさん」


「こんなところで何してるんだ?」


 エリシアは苦笑する。


「お買い物をしてたら、ちょっと人を見かけて……」


「知り合いか?」


「たぶん……」


 もう一度路地の奥を見る。


 やはり誰もいない。


「でも、気のせいだったみたいです」


 カインも路地の奥へ視線を向けたが、特に気にする様子はなかった。


「そうか」


「暗くなる前に帰った方がいいぞ」


「はい」


 エリシアは頷く。


 二人は並んで路地を後にした。


 エリシアは最後にもう一度だけ振り返る。


 しかし、


 そこには誰の姿もなかった。


 胸に残る小さな違和感だけを残して…

また見失ってしまいました

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