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俺が魔王じゃなければ誰が魔王だというんだ〜無属性と判定された王子と黒き薔薇のメイドたち〜  作者: 黒華レン
学園編

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セラの成長

セラが代表目指しダンジョン攻略を目指します。

 ユノベル郊外。


 冒険者ギルド管理区域。


 ダンジョン入口。


 巨大な石造りの門の前で三人は立ち止まっていた。


 入口からは冷たい空気が流れ出し、薄暗い通路が地下深くまで続いている。


「ここがダンジョン……」


 セラは大きく息を吸った。


「何回来ても緊張するなぁ」


 エリシアも苦笑する。


「私も少し怖いかも」


 カインは二人を見て笑った。


「緊張するくらいがちょうどいい。」


「油断するより何倍もマシだからな。」


 二人は同時に頷いた。


「はい!」


 三人はゆっくりダンジョンへ足を踏み入れた。


 壁には青白く光る魔石。


 水滴が落ちる音だけが静かに響く。


 しばらく進むと、


 ガサッ。


 物陰から二匹のゴブリンが飛び出した。


「来た!」


 セラが拳を構える。


 ゴブリンが棍棒を振り上げた。


「はぁっ!」


 セラは真正面から踏み込む。


 ドンッ!!


 拳が腹へ命中した。


 しかし、


「かたっ!」


 ゴブリンは少しよろけただけだった。


 逆に棍棒が振り下ろされる。


「危ない!」


 エリシアが叫ぶ。


 セラは慌てて後ろへ飛び退いた。


「焦るな」


 カインが静かに言う。


「力任せじゃなく、相手の動きを見ろ。」


 その瞬間。


 一匹目へ剣が走る。


 ズバッ。


 一撃。


 ゴブリンが倒れた。


 もう一匹が飛び掛かる。


「セラ」


「はい!」


「右へ避けろ」


 言われるまま横へ飛ぶ。


 ゴブリンは勢い余って壁へ激突した。


「今だ」


「せぇぇい!」


 セラの回し蹴りが側頭部へ炸裂する。


 ドゴッ!!


 ゴブリンはその場へ倒れ込んだ。


「やった!」


 セラは嬉しそうに拳を握る。


「よし」


 カインが頷く。


「真正面から殴り合うんじゃない」


「はい」


「相手を動かして隙を作る。それだけでも戦いはかなり楽になる。」


「はい!」


 セラは真剣に頷いた。


 三人はさらに奥へ進む。


 第二階層…


 第三階層…


 途中、


 巨大コウモリ。


 スライム。


 ホブゴブリン。


 様々な魔物が現れた。


 その度にカインは助言を送る。


「距離を詰めすぎるな」


「退路も確認しておけ」


「囲まれたら無理に戦うな」


 セラはその言葉を一つ一つ実践していく。


 最初はぎこちなかった動きも、


 徐々に洗練されていった。


 休憩中、


 三人は岩へ腰掛ける。


「学院の授業とは全然違うね。」


 セラが息を吐いた。


「学院では勝つ方法を教える。」


 カインが答える。


「冒険者は違う、戦って生きて帰る方法を覚える。」


 二人は真剣な顔になる。


「どんな依頼でも、生きて帰れば次がある。」


 二人は頷く。


「でも、死んだら終わりだ。」


 エリシアも静かに頷いた。


「冒険者って大変なんですね」


「ああ、そうだ」


 カインは笑った。


「焦って強くなる必要はない」


「少しずつ経験を積めばいい」


「はい!」


 休憩を終え、


 三人は第五階層へ到着した。


 依頼対象。


 ホーンウルフ三体。


 低く唸りながら三人を囲む。


「さて来るぞ!」


 一体がセラへ飛び掛かる。


「アクセル!」


 エリシアが補助魔法を発動。


 セラの身体が軽くなる。


「速い!」


 一気に踏み込む。


 拳。


 膝蹴り。


 回し蹴り。


 三連撃。


 ホーンウルフが吹き飛んだ。


 だがまだ立ち上がる。


「最後まで油断するな!」


 カインが叫ぶ。


「はい!」


 セラは地面を蹴る。


「はぁぁぁっ!!」


 渾身の正拳突き。


 ドォォン!!


 一体目が倒れた。


 残る二体はカインが迎え撃つ。


 鋭い剣閃。


 一匹。


 さらにもう一匹。


 ズバッ。


 二匹とも地面へ倒れた。


 静寂が戻る。


「終わったぁ……」


 セラはその場へ座り込んだ。


「疲れたぁ」


 エリシアも笑う。


「でも、最初よりすごく動けてたよ」


「本当?」


「うん。」


 カインも頷いた。


「飲み込みは早い。今の調子なら交流戦までにもっと強くなれる」


 その言葉に


 セラは満面の笑みを浮かべた。


「よーし!絶対代表になってみせるぞ!」


 三人は討伐証明となる魔石を回収すると、カインはダンジョンに異変を感じた。


 カインの足が止まる。


「……?」


 壁際へ視線を向ける。


 そこには周囲の岩肌とは僅かに色の違う石壁があった。


 ほんの一瞬だけ。


 微弱な魔力が流れたような気がした。


(今のは……)


 近付いて手を触れる。


 しかし、


 何も起こらない。


「気のせいか……」


 カインは小さく呟いた。


「どうしたんですか?」


 エリシアが不思議そうに尋ねる。


「いや、何でもない」


 カインは壁から手を離した。


「行こう」


「はい!」


 三人は討伐証明となる魔石を回収し、


 依頼達成の報告をするためギルドへと戻るのだった。

岩肌の色が違ったのはなんだったのでしょうか?

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