…レイ…?
強くなりたいセラはエリシアに協力を求めギルドへ向かう途中…
放課後。
リベルタ中央魔導学院。
授業を終えた生徒達が次々と校門を出ていく。
学院中が交流戦の話題でもちきりだった。
「今年こそ代表になってやる!」
「グランツ代表と戦ってみたい!」
「エルドリアの魔法使いって強いらしいぞ!」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
エリシアは校門前でセラと合流した。
「待った?」
「ううん!」
二人は笑顔を交わす。
「じゃあギルド行こ!」
「うん!」
並んでユノベルの街へ歩き出した。
夏の日差しを浴びた街は今日も活気に満ちている。
露店からは焼きたてのパンや串焼きの香りが漂い、商人達の元気な呼び込みが響いていた。
剣や防具を背負った冒険者達も足早にギルドへ向かっていく。
「なんだか今日はいつもより冒険者さんが多いね」
エリシアが辺りを見回す。
「交流戦が近いからじゃない?」
セラが答えた。
「みんな実戦経験を積みたいんだと思う」
「なるほど」
エリシアも納得する。
するとセラは少し俯いた。
「でも私、自信ないなぁ……」
「どうして?」
「学院には強い人がたくさんいるし」
セラは指を折りながら数え始める。
「アウレリアさんは魔法も剣も一流だし」
「クロエさんなんて力だけで圧倒しちゃいそうだし」
「ニアちゃんは速すぎて見えないし」
「エルフィさんも二刀流ですごく強いし……」
言えば言うほど肩が落ちていく。
エリシアは苦笑した。
「でもセラだって前よりずっと強くなったよ」
「そうかな?」
「うん」
優しく微笑む。
「前に一緒にクエストへ行った時より魔法も安定してたし」
「努力してるもん」
セラは少し照れたように笑った。
「そう言ってもらえると嬉しいな」
その時だった。
エリシアの足が止まる。
「……あれ?」
少し離れた通り。
一人の青年が歩いていた。
金髪。
後ろ姿だけ。
歩き方。
背格好。
どこか見覚えがある。
「……レイ?」
思わず小さく呟く。
「え?」
セラが振り返る。
「どうしたの?」
「今……レイが……」
エリシアが指差した。
しかし。
その人物は何事もないように路地裏へ入っていく。
「ちょっと待って!」
エリシアは駆け出した。
「えっ!?エリシア!」
セラも慌てて追い掛ける。
二人は路地裏へ飛び込む。
だが。
「……あれ?」
誰もいない。
一本道。
木箱が並んでいるだけで隠れられそうな場所もない。
「さっきまでいたのに……」
エリシアは周囲を見回した。
「本当にレイだったの?」
セラも不思議そうに首を傾げる。
「歩き方までそっくりだったの」
もう一度辺りを見る。
やはり誰もいない。
「見間違いかな……」
エリシアは首を傾げた。
「レイなら先に帰ったんじゃない?」
「そうなんだけど……」
胸の中に小さな違和感だけが残る。
「行こっか」
「うん」
二人は再び歩き始めた。
十分ほど歩くと、
冒険者ギルドへ到着した。
今日もギルドは多くの冒険者で賑わっている。
受付前には依頼を受ける冒険者達が列を作り、
掲示板の前では新人冒険者達が真剣な表情で依頼を吟味していた。
「やっぱり交流戦の影響かな」
エリシアが言う。
「きっとそうだね」
セラも頷く。
「よし!」
気合いを入れて掲示板へ向かう。
その時だった。
「やあ」
聞き覚えのある声が響く。
二人が振り返る。
そこには銀髪の青年。
冒険者カインが立っていた。
「あっ!」
セラの表情がぱっと明るくなる。
「カインさん!」
「お久しぶりです」
エリシアもこたえ、
カインも笑顔で手を上げた。
「また会ったな」
「今日はクエストを受けに来たんです!」
セラが元気よく答える。
「交流戦があるので、もっと強くなりたくて!」
「ああ、なるほど。それで今日はいつもより混雑しているのか」
カインは納得したように頷く。
「実戦経験を積むにはちょうどいいな」
セラは期待に満ちた目で見上げる。
「よかったら今日も一緒に来てもらえませんか?」
「ああ、かまわないが」
カインはあっさり了承した。
「ちょうど、俺も依頼を探してたところだ」
「やった!」
セラは思わず拳を握る。
三人は掲示板の前へ移動した。
「これなんてどう?」
セラが手に取った依頼書には、
『危険度B オーガ討伐』
と書かれていた。
カインは一目見て首を振る。
「だめだ」
「えぇ!?」
「今のお前達にはまだ少し早い」
「じゃあこれは?」
今度はエリシアがゴブリン討伐の依頼を手にする。
セラは口を尖らせた。
「それじゃ強くなれないよぉ」
カインは苦笑しながら別の依頼を手に取る。
『ダンジョン第五階層 魔物討伐』
危険度C。
「これなら実戦経験にもなるし、難易度もちょうどいいだろう」
セラは目を輝かせた。
「これにします!」
エリシアも笑顔で頷く。
「うん、頑張ろう」
三人は受付で依頼を受注する。
装備を整え、
ギルドを後にした。
交流戦へ向けた最初の実戦訓練。
それぞれの思いを胸に、
三人はダンジョンへと向かうのだった。
正体バレるかと思いましたー!




