交流戦開催
王国同士で交流戦があるようです
翌日、
リベルタ中央魔導学院。
レイ達は久しぶりの講義室へ戻っていた。
夏の日差しが窓から差し込む。
だが、
教室の一角だけ空気がおかしかった。
リリアナである。
「……」
机に突っ伏している。
完全に燃え尽きていた。
「まだ引きずってますの?」
アウレリアが呆れたように言う。
「だってぇ……」
リリアナが顔を上げる。
「本物の亡霊だったんですよ……」
「もう終わった話ですわ」
「終わってません!」
ガタッと立ち上がる。
「夢にも出ました!追いかけ回されました!」
「知りませんわ」
即答だった。
「夜中に骸骨が追いかけてきてぇ……!」
「夢ですわ」
「リッチが魔法撃ってきてぇ……!」
「夢ですわ」
「目が覚めたら汗びっしょりでしたぁ!」
「知りません!」
アウレリアは一切動じない。
リリアナは再び机へ突っ伏した。
「もう森は嫌ですぅ……」
一方、窓際。
レイは静かに外を眺めていた。
その隣でエリシアが小さく笑う。
「平和ですね」
「そうだねー」
「少なくとも今日は魔物も亡霊も出てません」
「確かに」
レイも笑う。
その時だった。
ガララッ
教室の扉が開く。
エルナが教壇へ立った。
「ホームルームを始めます」
生徒達が席へ着く。
そして、
「まず皆さんに連絡があります」
一枚の書類を取り出す。
「来月、各国学院交流戦が開催されます。各国の代表学院が集まり、個人戦形式で行われる大会です。もちろん、本学院も代表として参加します。」
一瞬、
教室が静まり返る。
そして、
「交流戦!?」
「よっしゃ来たー!」
「待ってました!」
歓声が上がる。
リリアナまで勢いよく顔を上げた。
「交流戦ですか!?」
「はい」
エルナは頷く。
「来週より学院内選抜戦を開始します。成績優秀者が学院代表として交流戦へ出場します」
「おおー!!」
講義室内が盛り上がる。
「なお今回は個人戦なので、回復や補助を専門とする生徒については、希望があれば選抜戦への参加を免除します」
その言葉にエリシアは少し安心したような表情を見せた。
戦うことが苦手な彼女にとって、それはありがたい配慮だった。
一方、
アウレリアは楽しそうに微笑む。
「面白そうですわね」
セイルが立ち上がる。
「ついに我が剣を示す時が来たか!」
ヴェインも腕を組む。
「我が右眼が疼いている」
「きたきた、また始まった」
周囲から苦笑が漏れた。
教室後方、
レティアとレヴィアが静かに顔を見合わせていた。
「交流戦……」
レティアが呟く。
「学院代表が集まる大会……」
レヴィアも頷く。
「国外の強者も見極められるわ」
黒十華。
学院結界崩壊事件。
シェルナ村。
亡霊事件。
未解決の出来事は増えるばかり。
もし黒十華が学院内にいるなら。
交流戦で何か動きがあるかもしれない。
「今度こそ見つけるわ」
「うん」
二人は静かに頷いた。
ホームルームが終わる。
生徒達は交流戦の話で盛り上がりながら教室を出て行く。
レイは帰宅の準備をして、
「俺は先に帰るよ、ちょっと寄るところがあるからく」
エリシアが振り向く。
「今日は用事?」
「まあ、そんなところ。じゃあまた明日」
「うん、またね」
レイは軽く手を振ると、そのまま校舎を後にした。
しばらくして、
「エリシア!」
廊下から元気な声が響く。
隣のクラスからセラがエリシアのもとに駆け寄ってきた。
「交流戦の話聞いた?」
「うん」
エリシアが笑顔で頷く。
セラは少し俯いた。
「私も出たいんだけどさ……今のままじゃ勝てる気がしないんだよね」
「うん」
「もっと強くなりたい」
真っ直ぐな瞳だった。
冒険者になる夢。
そのためにも交流戦は大きな目標だった。
エリシアは少し考えた後、優しく微笑む。
「それなら放課後、一緒にギルドへ行かない?」
「ギルド?」
「うん」
「クエストを受けながら実戦経験を積めば、きっと強くなれるよ」
セラの表情が一気に明るくなる。
「そうかな?一緒に行ってくれる?」
「もちろん」
「ありがとう!」
嬉しそうに笑うセラ。
「じゃあ準備したらギルドで待ち合わせね」
「うん!」
二人は約束を交わした。
交流戦。
それぞれが新たな目標を胸に動き始める。
その裏で、
誰もまだ知らない。
この日を境に、
エリシアが何度も目にすることになる。
レイによく似た、一人の謎の後ろ姿を。
リリアナ…笑




