執事
ヴァルゼオンの執事体験
––ある日の朝
窓から穏やかな朝日と爽やかな風が入ってくる。
ヴァルゼオンはゆっくりと目を開けた。
薄暗い部屋で生きてきたヴァルゼオンにとって初めての朝であった。
「このような穏やかな気持ちで朝を迎えたのは初めてかもしれない」
ヴァルゼオンは独り言を呟き着替えを終わらせた。
すると、扉がノックされた。
「もうお目覚め?ヴァルゼオン」
メイド長のエフィリアが来たようだ。
「ああ、支度は済ませた。入ってもらって構わない」
エフィリアが部屋に入る。
「それでは、早速ですが執事として働いていただくとしましょう。その前に、私たちの本来の仕事は主様の意にそぐわない者たちの排除よ、それで一つ注意点があるの。この屋敷には私たちの事を知らないものが紛れていると言う事。まず、ミオ様とそのメイドたち、それと屋敷で働いているメイドの一部は私たちの本当の姿を知らないの。くれぐれも注意して」
エフィリアがヴァルゼオンに言った。
「了解した。くれぐれも気をつけるとしよう」
ヴァルゼオンが答えた。
「普段てしては、主様の身の回りのお世話が中心なのだけれど、ベッドメイクは黒十華が順番で担当するのでこちらはしなくて大丈夫よ」
「…あ、ああ、わかった」
「あとは食事の配膳などかしら、その他だと…ああ、ティータイムのお茶の準備かしらね。今はミリエルが魔力が回復するハーブティーなどを入れている事が多いみたいだけど、町で茶葉を購入してきてもいいかと思うわ」
「ティータイムの茶葉か。後で町へ買いに行ってみるか」
「ええ、エストレアも連れて行くといいわ。あと茶葉には香りを楽しむ物やミルクと合わせるといい物など様々な物があって淹れ方もそれそれぞれに合った淹れ方があるようだからミリエルに聞いてみるといいわ」
「ああ、後でミリエルに聞いてみるとしよう」
「この晴れた天気。まずは洗濯の手伝いをしましょうか」
「了解した」
––屋敷庭園
多くのメイドたちが洗濯物を干している。
どのメイドがアビス・メイドと呼ばれる者たちでどのメイドが何も知らないメイドなのか全く区別がつかない。
(エストレアがメイド服を着て洗濯を手伝っている。なんだか楽しそうだ。あの薄暗い場所から連れ出して良かったのかも知れない)
––午後
ヴァルゼオン、エストレアそしてミリエルはユノベルの茶葉を売っている店に来ていた。
ミリエルが魔力の回復するハーブティーを手に取っていた。
するとヴァルゼオンが別の茶葉を手に取る。
「その茶葉は新鮮な水を沸騰させたものを注いで蒸らすとものすごくいい香りがする茶葉だよ」
店主がヴァルゼオンに言った。
茶葉からもすごくいい香りが漂ってくる。
「今まで、同じものばかりで変わった茶葉を買った事がないですね。どうでしょう、その茶葉を買って主様に召し上がって頂きましょうか?」
ミリエルがヴァルゼオンに言った。
「ああ、そうしてみよう。あと自分用に買って行っても構わないのか?」
「もちろん、構いませんよ」
ミリエルが答える。
「エストレアはどれがいいんだ?」
ヴァルゼオンがエストレアに聞いた。
「実はさっきからこのミルクに合うという茶葉が気になっていて…」
エストレアが言った。
「では、それを俺たち用に買って行こう」
「ありがとうございます、ヴァルゼオン様」
––屋敷
大広間にはレイ、ミオがいた。
「レイ様、ミオ様、お茶を淹れて参りました。どうぞお召し上がり下さい」
ヴァルゼオンがレイとミオに言う。
「また知らないのが増えてる…」
ミオが言った。
そして、
「「いただきます」」
レイとミオが言った。
「「おいしい!」」
二人がハモった。
「店主に勧められた、淹れ方も教えてもらってきました」
ヴァルゼオンが言った。
「たまには違う茶葉もいいね」
レイが言う。
「ほんとおいしいー」
ミオにも好評のようだ。
平和だなー




