レイ捜索
ヴァルゼオンとエストレアがレイを探してまわります
––リベルタ中央魔導学院付近
ヴァルゼオンとエストレアはリベルタの町に来ていた。
リリスの情報からレイはこのリベルタ中央魔導学院の学生であるという事がわかっている。
「しかし、警備が厳しいな、簡単には中に入る事は出来ないだろうな。リリスに迷惑はかけたくない。他の奴らも潜入している。そいつらにバレるわけにもいかない」
ヴァルゼオンが言った。
「そうですねヴァルゼオン様。この町はとても豊かで発展しています。この魔導学院も最新の警備結界など導入されて防衛面もしっかりしているのでしょう」
エストレアが言う。
「では、まずは周りを探ってみるとしようか」
「はい、かしこまりました」
ヴァルゼオンとエストレアはリベルタの町を歩いてまわった。
多くの商店が建ち並びそれぞれが賑わいを見せている。
ふと、エストレアが一つの店が気になり足を止めた。
「ヴァルゼオン様、あのカフェというお店に行ってみたいのですが、そこで一度、休憩をしませんか?」
「ああ、ちょうど休憩しようかと思っていたところだ。そうしよう」
この店は魔導学院のすぐ近くにあり、講義の後に学生も多く利用するであろう。
今はまだ講義中なので学生の姿はないが店内は賑わっているようだ。
席に座り待っていると店員が注文を取りに来る。
「ヴァルゼオン様、私、この『ぱふぇ』という物を頼んでもよろしいですか?」
「ああ、お前の好きな物を頼むといい」
エストレアに言い、続けて捕まえた別の店員に問いかけた。
「ここは魔導学院の側にあるが、やはりそこの学生も利用するのだろうか?」
「はい、講義が終わった後など友人たちとここで集まっておしゃべりをしたり、お互いにわからないところを教え合って勉強したり、学生たちの利用は多いですよ」
店員が言った。
「もし知っていたらでいいんだが、人を探していて、レイと言う学生に心あたりはないだろうか」
「そうですね、あそこの学生さんものすごく人数がいますし、ここを利用される方も大変多くて…利用された事があるかもしれませんが、一人一人の名前まではちょっとー」
「そうだよな、いや悪かった、ありがとう」
そのようなやりとりをしていると注文した品が届いた。
エストレアは届いた『ぱふぇ』とやらを見て目をキラキラさせている。
ヴァルゼオンは今までいた薄暗い場所からエストレアを連れ出しこれで良かったのではないかと感じていた。
「ん〜おいしいー!ヴァルゼオン様も一口どうですか?––はい、あーん」
エストレアに差し出されるまま口に入れた。
「すごく…甘い」
「お気に召しませんでしたか?」
「いや、うまいよ」
「よかったー」
ヴァルゼオンはこの平和な日常も悪くないのではと思った。
店を出てエストレアが襲われた場所に行ってみる事にした。
エストレアを見つけた場所。
レイは向こうの方、
ユノベルの方から現れた。
ここからはユノベルが一番近い町だ。
普通に考えたならユノベルに住んでいて間違いないであろう。
二人はユノベルに向かう。
町に着くとリベルタには及ばないものの発展していてとても大きな町だとわかった。
特徴的なのはこの町には温泉が出て観光客で賑わい、周りの商店も非常に賑わっているという事。
それにその温泉街の奥には非常に大きな屋敷が聳え立っているという事。
「まずは、町の住人に聞いてみるとしよう」
ヴァルゼオンが言った。
町の住人が数人集まって話をしている所にヴァルゼオンが声をかけた。
「すまない、人を探していて、命の恩人なんだ。名前はレイと言うことしかわからない、とても強い奴なんだ、知っている者はいないだろうか?」
「さぁねぇーレイなんて名前全く珍しいって訳でもないし強いって言われても心あたりはないねぇ。強いってんならギルドには登録してないのかい?そこで一回聞いてみたら」
「ありがとう、恩に着る」
––そしてギルドへ
ヴァルゼオンが受付嬢に聞く
「人を探してるんだ、名前はレイ。途方もなく強い人物だ。命の恩人なんだ、ここに登録はされていないだろうか?」
「途方もなく強いと言うと一人いるのですが、最近現れ始めたゴブリンやボアの変異種を一人で難なく倒してしまう…しかし、レイと言う名前ではないです。見た目は銀髪に青い瞳」
受付嬢が言う。
「どうやら特徴も違うようだ、他にレイと言う名前は?」
「登録はありません」
「そうか、じゃましたな」
「そろそろ魔導学院が終わる頃だろうリベルタに行って見よう」
「はい、ヴァルゼオン様」
––再びリベルタ中央魔導学院付近
「…これは思っていた以上にやっかいだな」
ヴァルゼオンが言った。
「はい、ヴァルゼオン様、何という人数でしょう。まさかこれほどまでとは…それに出入り口もこの正面からと他に東西にもあるようですね」
エストレアが言った。
その瞬間、
エストレアは誰かに一瞬見られた様な気配を感じた。
「どうかしたかエストレア?」
「いえ、なんでも…多分気のせいだと…」
「そうか、それよりここにいても埒が明かない。またで悪いんだがユノベルへ移動しよう」
「はい、かしこまりましたヴァルゼオン様」
––ユノベル
ヴァルゼオンとエストレアが町を歩いて行く。
そして、温泉街を通り過ぎ、
引き寄せられる様に最奥の大きな屋敷の前に来た。
ヴァルゼオンとエストレアの背後に気配!
「二人とも動くな。言う事を聞け、おかしな真似をするんじゃない。その瞬間、あの世行きだ」
「わかった、俺たちは今、争いに来ている訳じゃない。言う事を聞こう」
「聞き分けがいいのね。じゃあ、そのまま屋敷に入って」
ヴァルゼオンとエストレアは言われるがまま屋敷に入った。
広い庭に出た。
そこでようやくヴァルゼオンとエストレアは黒十華と呼ばれる者たちに包囲されている事に気がついた。
「まず、何故あなたが生きているのかしら?さっき魔導学院で見て目を疑ったわ」
エルフィがエストレアに言った。
「それと、なぜあなたたちは私たちの主様の事を嗅ぎまわっているのかしら?」
エフィリアが言う。
「主様…だと?つまりエストレアを襲ったお前たちの主がレイだというのか」
ヴァルゼオンが言った。
「お前たちを襲ったのではない、主様の町を襲おうとしたお前たちの阻止をしただけに過ぎない」
ルピナが言う。
「今度はきっちり殺してあげる」
エルフィが言った。
一触即発、今にも戦闘が始まる。
––その時、
「ただいまー…って何、この状況!?」
レイが屋敷へ戻ってきた。
(あの二人ってこの前、助けたやつ?やられた黒いやつってもしかしてこいつらだったのか!!すごく雰囲気悪くて戦闘とか始まりそうなんだが…?頼むから屋敷をこわさないでよー?またいくらかかるか!もうあんな胃の痛くなる思いはしたく…いや、あいつらが壊したんならあいつらが払えば…って雇ってるメイドに給金は払っても払わせるとかプライドが!!)
「待て、まず向こうの話を聞こうじゃないか、敵意も感じない」
レイが黒十華に言った。
「では、このヴァルゼオン、レイ殿にお願いがありここまであなたを探してやってきました。俺はあなたの強大な力に惚れ込みました。そして、エストレアの命の恩人でもあるあなたの配下にしていただきたく参上しました」
「このエストレア、命を救って頂いた御恩を返したく私も配下にしていただきたく参りました」
「えっ命の恩人?あの女、助けたの主様?えっ主様があの女は死んだって…」
エルフィが言う。
「主様はこうなる事がわかっていた。だからあなたたちが追いかけてとどめをさしてしまわないようにあなたに嘘をついたのね」
エフィリアがエルフィに言う。
「俺はエストレアを背負い隠れ拠点へ戻るまで数日かかった。追っ手がこなかったのはそれでだったのか、レイ殿は強大な力を持っているだけではなく先も見えているのか」
ヴァルゼオンが言った。
「主様は先の先まで見えているのです」
セフィラが言う。
「でも、あいつら魔族だよ?」
エルフィが言った。
「私も魔族だよ?」
ルナがエルフィに言う。
「そうだね。ごめん、今のは言い過ぎた」
エルフィがみんなに謝った。
「お二人が裏切る可能性は?」
エルミナが言う。
「主様の力を知った上でこられてるのです。裏切ればどの様になるかはわかっておられるでしょう」
ミリエルが言う。
「その前に私たちが消すけどね」
リズが言う。
「消すにゃー!!」
ニアも言う。
(これって仲間に入れないといけない流れだよね)
「じゃあ二人には屋敷の護衛件、俺の執事をやってもらおうかな」
(屋敷が壊れなくてよかった)
そして、ヴァルゼオンとエストレアは片膝をつく。
「このヴァルゼオン、命ある限りあなた様に忠誠を誓います」
「このエストレアも同じく」
そう言って頭を下げた。
黒十華の面々はその様子を見ていた。
冥府十王の一角。
それほどの強者ですら主様の前では膝をつく。
それが当然であるかのように。
だが、
レイは思った。
(執事って何やらせればいいんだろう)
冥府十王が仲間になりました
これからどのような展開に!?




