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実戦訓練

セラがだいぶ疑ってきます。

 ––学園


「一週間後、新入生を対象とした実戦訓練があります。ランキング形式で順位も発表されますので頑張って下さい。ソロから五人まで自由にパーティを組んで下さい。A〜Cクラス関係なく組んでもらって結構です」


 エルナがそう学生たちに伝えた。


 すぐにレイのところにクロエ、エルフィ、ニアがやってきてパーティを組もうと言う。


「きみらと組んだら面白くなくなっちゃうからダメ」


「えーいやだー、一緒にやろうよー」


 エルフィが言う。


「他が勝てなくなっちゃうじゃん。それより勝負した方が面白くない?」


「勝負にゃ!」


 ニアが目をキラキラさせている。


「勝負、面白いですね」


 クロエも乗ってきた。


(さて誰と組もうか)


「私を一人にするつもりかしら?」


(ですよねー)


 ミオがレイを見つけて話しかけて来た。


「もちろん、ミオ姉を呼びに行こうと思ってたところだよ。後はどうする?無属性の俺なんかと組みたいやつなんかそういないと思うけど」


「そんな事ない、あなたは強いから安心しなさい」


「俺の同志たちは…どうやらあの様子じゃ二人だけで行くようだね」


「パーティ組むのにお困りならわたくしたちのところに入れてあげなくもないですわよ?」


 アウレリアが急に入って来た。


「でも、いつも周りにいる子たちと組んだら五人超えちゃうでしょう」


「確かにそうですわね。ではまたの機会にお願いします」


(アウレリアが来たのは予想外だった)


 講義室のすみで人だかりができている。


 エリシアだ。


 次々に誘いが来て困っているようだ。


 セラと組むのだろうが今はBクラスにいるだろうからな。


(助けてやろうか)


「エリシアは俺たちと組む事になってるよ、だからほら散った散った」


「少し困っていました、助かりました。ありがとうございます」


「いや、大した事してないよ、じゃあね」


「はい、それではまた後で」


「ん、後で?」


 ––放課後


「レイさん、ミオさんお待たせしました。もうすぐセラも来ますのでお待ちください」


 エリシアが声をかけてきた。


「もしかして、パーティの事かな?」


「はい、そうですよ。先程、俺たちと組む事になっているとおっしゃっていたじゃないですか」


 エリシアが悪戯な笑顔でレイに言う。


「あれはあの人だかりからきみを助け出そうと…」


「あの言葉は…うそだったんですか?……なんて、わかってますよ。だけど、私たち今、二人パーティでレイさんとミオさんと組めば四人パーティになってちょうどいいんです」


「他にもっといい人いっぱいいるんじゃない?」


「他の方々はお声をかけていただくのですが、あまり知らなくて。レイさんでしたら何回もお話した事があらますし、それにセラと面識があります。なので何かと都合がいいのです」


 セラが講義室に入って来た。


 こちらを見つけ寄って来た。


「エリシアから聞いてるわ。この四人でパーティを組むのね。ミオさんはいいけど、レイと組むのは不本意だけど」


「セラ、そんな事言わないの。ミオさんはいかがでしょうか?」


「私はレイと一緒なら誰でも構わないわよ」


「それではパーティ『レイと愉快な仲間たち!』結成です!」


 エリシアが言った。


「パーティ名も決まってるの!?しかも俺がリーダーみたいじゃん!」


「言い出しっぺですからね」


 エリシアがふふふと笑いながら言う。


「連携の確認しに行っておきましょうか」


 ミオが言った。


「「賛成!」」


 エリシアとセラは行く気満々だ。


「俺もいいよ」


 みんな行く気だしここは同意しておこう。


「森に入れば何か魔獣かモンスターがいるわよね

 隊列はどうするの?」


 セラがみんなに問いかける。


「私は剣と氷魔法が使えるから中衛かな」


 ミオは中衛があってるだろう。


「私は後衛でみなさんの補助をします」


「私は近距離攻撃だから前衛をまかせて。

 レイあなたはどうするの、無属性なんでし

 ょ?前衛で敵を倒すの?」


 (どうせ本気もださないしなー)


「そうだなー俺は後ろから見て倒せそうな敵を倒すよ」


(やっぱり役に立たない。カインさんならもっと……ってなんであいつと比べてるの私!)


「さぁ、来たわよオークだわ!」


 ミオがモンスターを発見。


 全員が戦闘体制に入った。


 セラ  「エリシア!私に攻撃強化して!」

 レイ  「エリシア、ミオ姉に魔法強化、ミオ姉

     氷魔法ぶっ放して」

 エリシア「ミオさん魔法強化します、開幕第一撃

     お願いします!」


 三人が同時に喋る。


 同時にミオへ魔法強化がかけられた。


「えっ」

「えっ」


 エリシアとセラが驚きを隠せないでいる。


 それはレイがエリシアに指示を出した事についてではない。


 つい先日の話。


 エリシアとセラ、カインと戦闘した時の事。


 カインの指示に的確に合わせるエリシア。


 エリシアとセラにはその時の場面と重なったのだ。


(なんでまた合ってるの?それも今度はレイ?

 あの指示のタイミング、カインさんと一緒じゃない!もう、どうなってるの!)


 セラは無意識にカインとレイを重ねる。


(いやいや、違う違う、そんな訳ない。あの人とは違うんだ!)


 ミオがオークに向かい鋭い形をした氷の槍の魔法を放つ。


「––氷結槍アイス・ランス!」


「エリシア、次だ。全員に防御結界」


「今、かけるところです」


「かけ終わったらすぐにセラに攻撃強化!」


「わかってるわ」


 全員に防御結界が張られた。


「セラ、一歩下がれ」


(えっなんでカインさんみたいな指示出してくるの?)


 一歩下がったセラに攻撃強化のバフがかかる。


「セラ、ぶちのめせ!」


「言われなくても!!」


 数体いたオークたちはあっという間に片づいた。


(また…何でエリシアだけあんなに合うの?それも今度はレイと…さっき、さすがエリシアって…まるで一緒に戦った事があるみたい…それに無属性で役に立たないとか言われてるの嘘みたい、何であんなに的確に指示がだせるの?)


 セラの脳裏にカインとレイが重なる。


「ねぇ、さっきさーさすがエリシアって言ったよね。まるで一緒に戦った事あるみたいな言い方」


(…やばい…俺、レイだったー!)


「い、いや、エリシアはクラスでもトップクラスの優等生だろ?だから、さすがエリシアって言ったんだよ」


「じゃあ戦闘の指示は?悔しいけど的確だった」


「レイは努力してきたの。あのくらい当然にできるわよ。誰にも無属性だからって役立たずなんて言わせない」


 ミオが言った。


(努力してきたは姉補正がだいぶ入っていると思うけど、ははは)


「そうだったんだ」


(そうよ、たまたま、たまたまよ!カインさんとレイが同じ人物じゃないかだなんて私どうかしてる)


 セラはそう思い込もうとする。


 だが――


 視線が自然とレイに向く。


(……でも)


 さっきの動き。


 指示のタイミング。


 全部、あの時と同じ。


(そんな偶然ある?)


 胸の奥がざわつく。


「次行くわよ」


 ミオが言う。


 全員が再び構える。


 森の奥。


 さっきよりも大きな気配。


「来るわよ」


 現れたのはオークの上位種。


 ハイ・オーク。


 体格が一回り大きい。


「セラ、前出すぎるな」


「言われなくても!」


 セラが踏み込む。


 だが――


 ほんのわずかに焦っている。


(証明してやる)


(私だってできるって)


「――今」


 レイの声。


 セラが動く。


 少しだけズレる。


「っ……!」


 オークの攻撃が振り下ろされる。


「危ない!」


 エリシアの結界が先に展開される。


 ガキン!!


 攻撃が弾かれる。


(また……!)


(なんでエリシアの方が早いのよ!)


「下がれ」


 レイの声。


 セラは反射的に従う。


(……今の)


 考えるより先に体が動いた。


(なんで私はレイの指示に……)


 一瞬の違和感。


 だが戦闘は続く。


「エリシア、強化」


「はい!」


 即座に発動。


「ミオ姉、次で決めて」


「ええ!」


 氷が集束する。


「セラ、左から回り込め」


「……!」


 まただ。


 また、あの言い方。


(カインさんと同じ……)


 ゾクッとする。


 それでも動く。


 完全に連携が噛み合う。


「––氷結槍アイス・ランス!」


 オークが崩れ落ちる。


 静寂。


 全員が息を整える。


「……やるじゃない」


 ミオが言う。


「レイ、あんた本当に無属性?」


「一応ね」


「一応って何よ」


 軽く笑う。


 だが――


 セラは笑っていない。


 じっとレイを見ている。


「ねぇ」


 低い声。


 レイを見る。


「さっきの指示」


「何?」


「どこで覚えたの?」


 一歩、近づく。


 距離が詰まる。


「……独学かな」


「へぇ」


 さらに一歩。


「すごいね」


 褒めているようで、違う。


 探っている。


「カインさんと同じくらい」


 その名前。


 レイの心臓がわずかに跳ねる。


(来たな)


「そう?」


「うん」


 セラの目が細くなる。


「動きも、タイミングも」


「そっくり」


 沈黙。


 空気が張り詰める。


 エリシアが少し不安そうに見る。


 ミオは黙っている。


 レイは肩をすくめる。


「それは光栄だな」


 軽く流す。


「でも会ったことないよ、その人」


「……そう」


 セラは少しだけ目を逸らす。


(やっぱり違う?)


(でも……)


 完全には消えない。


 疑いが残る。


「まぁいいわ」


 息を吐く。


「とりあえず今は」


 前を見る。


「勝つこと考えよ」


 いつもの調子に戻す。


 だが――


(絶対、何かある)


 その確信だけが、残る。


 エリシアは後ろで胸に手を当てる。


(……カイ)


 エリシアの脳裏に名前が浮かぶ。


 でも言わない。


 言えない。


 レイは二人の様子を横目で見る。


「次、行くぞ」


 四人は再び森の奥へ進む。


 それぞれの思惑を抱えたまま。

でも確信はない。

エリシアの脳裏には別の人物が浮かぶ。

続きをお楽しみに。

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