魔力測定
第三王子レイの魔力測定。
最近、同じ夢を見る。
魔王と呼ばれる者と剣士たちの戦闘だ。
だが目が覚めると、魔王の姿も戦っている剣士たちの顔も誰の姿も思い出せない。
ただ一つだけ覚えているものがある。
「ごめんなさい。」
そう言ってこちらへ手を伸ばす、綺麗な手。
とても細くて白い指。
女性の手だろう。
きっと綺麗な女性なのだろうと想像した。
「ふわぁ……」
ルーヴェン王国、第三王子のレイはゆっくり目を覚ました。
「最近、同じ夢ばかり見る。魔王なんてこの世界にいないよな。なんだこの夢。」
「んー」
大きく伸びをする。
その瞬間――
ガタガタガタ
ギシギシ
ミシミシミシ
「やばっ!」
夢を見るようになった頃から、自分の中に膨大な魔力を感じるようになっていた。
そしてその魔力を自在に操作することができる。
もう一つ。
この魔力は性質を変化させられる。
炎と闇。
自分でもよくわからないが、確かに両方扱えるんだ。
今日は十五歳の誕生日。
属性、魔力測定の日だ。
炎と闇が使えるのだから、どちらか……あるいは両方の属性が出るだろう。
まぁ、それはそれとして。
「さぁ今日も日課の猫と戯れてから行くか。」
――
そして測定、
(こんな魔力さすがに抑えないと大騒ぎになる。騒ぎはごめんだ。)
レイは水晶に手をかざした。
しかし――
反応がない。
王が思わず声を上げる。
「ぞ、属性は?魔力量は?」
神官が慌てて水晶を確認する。
「な、な、なにもありません!」
場が凍りつく。
「無属性です!前代未聞です!必ず何かの属性が現れるはず……ですが何もない!」
「魔力もごく少量……剣技を多少されるようですが、属性もなければ魔力もない。正直、戦争にも魔物討伐にも役に立ちません。」
王は言葉を失った。
「……なんと……」
神官は続ける。
「過去、第一王子が雷、第二王子が風、第一王女が水でしたからな。」
大臣が口元を歪める。
「もう出涸らしという事なのでは?おっとこれは失礼、ははは。」
レイは心の中で呟く。
(無属性ってなんだ??魔力を絞りすぎたのか?)
(まぁいい。目立って大騒ぎになるよりいいだろう。)
王は静かに口を開いた。
「……ここにいる者に告ぐ!」
「第三王子レイについては、火属性、魔力量は人並み程度と国民には公表せよ…よいな?」
大臣が水晶を見ながら言う。
「ち、ちなみに水晶にヒビとか入っていないよな?後からピシッとか……」
神官が慌てて答える。
「は、はい!問題ありません!」
その時だった。
水晶がバランスを崩した。
コロコロと転がり――
床へ落ちた。
次の瞬間。
パァァァァン!!
「はうあっ!!」
神官が叫んだ!
水晶が粉々に砕け散る。
「ど、どうした!?神官!」
「い、いえ……水晶が転がり落ちて……粉々に……
落としたくらいでは壊れないはずなんですが……」
「……」
「……」
大臣と神官はしばらく顔を見合わせていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ序盤ですが、これから少しずつ物語が動き出します。
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