森の住人
第18話ニア加入前のお話です。
ニアは森で生まれた。
猫獣人の集落。
人間の街から遠く離れた、小さな村だった。
朝になると
大人は川で魚を獲り、森で獣を狩る。
子供たちは森を駆け回る。
日が暮れるまで遊ぶ。
ニアはその中でも一番すばしっこかった。
「ニア!またそんな高いところ登って!」
母が笑いながら言う。
ニアは木の枝の上で得意そうに尻尾を振った。
「平気だよ!」
ぴょん。
軽く飛び降りる。
猫獣人は身軽だ。
普通の人間では考えられない高さでも平気で降りられる。
「見て!こんなこともできる!」
ニアは小さな石を三つ投げた。
空中で回る石。
落ちてくる瞬間——
カン、カン、カン。
爪で弾いて全部受け止める。
「またそんな危ないことして!」
母は怒りながらも笑っていた。
「そんなに器用なんだから、狩りも上手になるわね」
ニアは胸を張った。
「うん!絶対なる」
村は平和だった。
森の奥にあり、人間が来ることはほとんどない。
猫獣人は争いを好まない。
静かに暮らしていた。
だから。
誰も予想していなかった。
——あの日までは。
....深夜。
森の奥に松明の光が現れた。
人間だった。
武装した男たち。
「いたぞ!」
「猫獣人だ!」
悲鳴が上がる。
村人たちは逃げようとする。
しかし男たちは慣れていた。
網。
鎖。
眠り薬。
獣人を捕まえるための道具を持っていた。
「やめて!」
ニアは爪を振るった。
一人の男の腕を切り裂く。
もう一人の足を蹴り飛ばす。
だが。
背後から網をかぶせられた。
「こいつ元気だな」
「高く売れるぞ」
ニアは必死に暴れた。
しかし眠り薬をかがされる。
視界がぼやける。
母の声が聞こえた。
「ニア……!」
ニアは手を伸ばす。
届かない。
意識が沈んでいく。
その時。
ニアは思った。
(……強くなりたい)
誰にも捕まらないくらい。
誰も奪われないくらい。
強く。
——そして。
目を覚ました時。
ニアは檻の中にいた。
鉄の檻。
鎖。
周りには同じように捕まった子供たち。
ニアは静かに檻の隅に座った。
心の中では怒りで震えていた。
(覚えてろ)
(絶対逃げてやる)
(そして強くなる)
その檻を運んでいたのが。
奴隷商人。
ゲルド・ボッタクーレだった。
——そして。
猫獣人を助けに来た男が現れる。
レイ。
ニアは思った。
(……強い)
(めちゃくちゃ強い)
そして。
初めて思った。
(この人のそばなら)
(もっと強くなれる)
それが。
ニアの運命を変える出会いだった。
引き継ぎ更新頑張って行きたいと思います。
応援して頂けると嬉しいです。
ニア
https://x.com/kurohana_ren/status/2033895581064827293?s=46&t=1KMzW7eRjAUufzTsCFI3NQ




