行ってきます ふたたび
<ほんとに行ってしまうのかえ?>
“うん、待っていてくれてると思うから”
<じゃがな、もうあれから3年もたっておるぞ、
人の気持ちは揺らぎやすい、そなたなら精霊になる
こともできるのじゃ>
“ふふふ。。。私も人だよ、そして最後まで人
でありたい、あの人のもとで”
<わかった、じゃがな辛くなったらいつでも
帰っておいでわかったな?さあ行っておいで>
“行ってきます!!”
「アレイド、いつまで待つつもりだ?もう3年だぞ」
「何年でもだ、と言いたいがもう限界だ」
馬に乗りながら寂しそうに微笑みを浮かべ
サラたちが消えた森を見つめていた。
あの時、サラが倒れた時精霊に何が起こったかを
問いただした。
《サラはあやつが集めた人々の悪意を一身に受けたのじゃ
あの子でなかったら、そこの女のように廃人になって
おったじゃろう》
「では、サラは目覚めるのですか?いつ目覚めるのですか?」
涙にくれサラを抱きしめるアレイドは縋る気持ちで問うが
精霊の答えは無情にもサラは目覚めないかもしれない
という。
<心の中の悪意を消すことができれば
目覚めることができるじゃろう>
「どうやって消すのですか?俺は何をしてやれる?」
<何も・・、この子次第じゃ>
そう言ってサラを抱こうと手を伸ばしてきた。
アレイドは抱え込むように抱きしめ子供が
イヤイヤをするように首を振る。
フィーリアが諭すように話しかける。
<このままじゃとサラは衰弱して死んでしまうぞ
それでもいいのか?>
アレイドはフィーリアを見上げそっと
サラを渡した。
「どうかサラを助けて下さい・・どうか・・」
フィーリアは優しくうなずくとエールの光とともに
消えていき、アレイドの慟哭だけが、その場に
響いた。
「誰も咎めないさ、精霊様もサラちゃんは目覚めない
かもしれないって言ってたし前を向いてもいい頃
じゃあないか?」
「ん?何を言ってるんだ?サラは目覚めるに決まっている
俺は待つのが限界だと言ったんだ、だから会いに行く」
「マジかよ!お前嫡男なんだぜ、どうすんだよ!」
「父や母には了承済みだし、それに必ずサラを連れて
帰ってくるさ、それまで仕事は頼むな」
「うえ~!!まじかよ」
その時、森の方からフワフワと無数の漂う毛玉の
群れが向かっているのが見えた。
「あれは?」
リカルドが目を凝らしつぶやいた。
「ウーサだ!ウーサの群れだ!サラがいなくなって
からいなくなって・・」
毛玉の間から風に舞うようにキラキラと
艶やかな黒髪がたなびいていた。
「・・・サ・・ラ・・・」




