おねがい・・助けて!!
振り下ろされた剣より炎が舞い上がり腐葉土に固められた
黒い霧を炎で包み込んだ。
《やめろー!!ギャー!!》
閉じ込められた黒い霧が怒号をあげるが、火は劫火となり
飛び散る火の粉が空を覆いつくしていく。
「終わったのか・・。」
誰ともなく漏れる言葉にその場にいた全員が立ちすくんでいた。
ただ一人少し離れた所で静かに紫に輝く瞳から涙が
こぼれていた。
「やっと仇がとれた・・父さま母さま・・」
あまりの美しさに見とれていたアレイドだったが
泣いているサラを抱きしめようと側によろうと
したとき、灰色になり始めた塊から邪悪な声が漏れてきた
《悔しい!ただで消えるものか、お前の大事なものも
連れて行ってやる!この世のすべての邪悪をうけとれ!!》
アレイドに向かって黒い靄がすごい勢いで放たれた。
“すまないサラ!!もう守ってやれない”
覚悟をきめ目をつぶる。
トン
衝撃は想像よりも遥かに軽くふわっと花の香りがして、
胸に暖かな温もりを感じて目を開けるとサラが胸に
もたれ掛かっていた。
「サラ?」
ずるりと体がずり落ちるのをあわてて抱き留めた。
「サラ?サラ?どうしたの?返事をしてくれ!サラ!!」
抱きしめたサラの顔色は悪く硬く目も閉じられ全身の
力が抜けていった。
「何があったんだ?なぜ?」
リカルドがアレイドの肩に手を置き静かに話しかける。
「お前にあの黒い霧から何かが向かった瞬間サラちゃんが
お前の代わりに受けたんだ」
「そんな・・・。あれは何なんだ!どうしてサラは動か
ないんだ!誰か教えてくれ!どうすればいい!!」
サラをきつく抱きしめ青い瞳からはハラハラと涙がこぼれ
落ちていた。
誰も答えることができず下を向き静かにたたずんでいた。
どれくらいたったのかキラキラと光る無数の光の玉が
アレイドたちをフワフワと取り囲んでいた。
「エールの光?」
リカルドのつぶやきに光の中から長い白い髪をたなびかせ
黒い瞳をした女性が現れた。
「貴方はもしかして高位精霊でしょうか?」
呆然としながらもリカルドは問いかけた。
<そうじゃな、サラの養い親でもある>
リカルドの問いかけに答えるとサラの方へ近ずき
サラに向かって手を差し伸べてきた。
アレイドはサラを守るように抱きしめフィーリア
を見つめていた。
<人の子よ・・アレイドよその子をわらわに返して
くれぬか?>
ただただ子供のように首を横に振りサラを抱きしめる
腕に力を入れる。フィーリアはその様子を哀し気に
見つめ、アレイドの言葉を待つ。
「守ると約束したんです、この子の笑顔を守りたかった、
なのに守られてばかり。なにが・・サラに何が起こって
いるのですか?どうして目を開けないのですか?
どうすればいいのですか?どう・・す・れば・・目を
覚ましてくれるので・・す・・・・か?」
成人してから誰にも頼ることなくいつでも頼られる
立場でいなくてはならなかったアレイドが流れる涙を
隠すことなくとぎれとぎれに話す姿は憐れみを帯びていた。
「あなた様に・・サラを渡せば‥目・・を、目をさまし
ますか?サ・・ラ・・を、、、たす・・け・・て・・。
おねがいします、助けてください!!」




