こぼればなしパート4
「おい!カート、嫌な話し聞いちまったな、背筋がゾワゾワ
するんだけどカートは平気なのか?」
「平気なわけないよ!くそ!絶対、からかわれてるんだよ」
サワサワと風が吹き二人の産毛を揺らす。
ビクー!!二人して飛び上がり手をはたいた。
「うえ~想像しちまってヤバイ!」
「なあ、ちょっと俺たちだけこんな気味悪い思いするの
不公平じゃね、誰かに話してそいつにも気味悪い思い
させね~か」
カートがエバンスに悪い顔して誘い掛ける。
「ほほう、して誰にしかけますかな?」
エバンスも悪い顔になる。
「そうだな~、へたな先輩にすると殴られそうだしなあ」
「スレイ先輩は?」
「ダメだろうってか、あの人が怖がったり気味悪がったり
する姿が想像つかね~」
「だよな、いつもクールだもんな」
いやいや、夜中に落ち込んで体育座りしてみたり犬になったり
君らの知らないスレイは、なかなかのおちゃめさんである。
「じゃあ誰にする?」
「おい!あれ、マックス先輩じゃね?」
散歩しているマックスをみつけ二人して顔を向かい合わせて
にま~っと悪い顔で笑い、マックスの方に向かって走った。
「マックスせんぱ~い!」
「あれ?カートにエバンス?こんな所で何してるん?」
「副団長から特別訓練を受けてたんです」
「ああ、おしおきね」
「「・・はい・・」」
「そんなことはいいんです!それより先輩、マルマル虫の・・」
ガサリと草が揺れマルマル虫が顔を出した。
固まる二人を横目にマルマル虫を手に取りコロコロろ転がし
ながらマックスが言葉を繋いだ。
「マルマル虫がどうかした?てか今、繁殖期だよね~。
こいつらの子供のマルマル虫ってうまいんだぜ」
カートとエバンスは“こいつ何いいだんすんだ”と言う
信じられない顔になった。
そんな二人を尻目に話し出す。
「俺の育った村は少し貧しくてさ、おやつなんてなくてさ
今の時期ならマルマル虫の子供が最高のおやつになんの
火を焚いて大釜に油をたっぷり入れてさ、立候補かクジを引くんだ」
『立候補?クジ?』二人の頭の上には?マークが山盛りついていた。
「そう、誰がマルマル虫の餌になるかを立候補かクジ引きで
決めるんだ、決まったらパンツ一丁になって火の横で
マルマルダンスを踊るんだ」
『マルマルダンス!?』
「そう、こう手を斜め上に挙げて横にステップする」
そういうと手をフリフリ踊りだした。
「それは何のダンスなんですか?」
意を決意してカートが聞くと。
「これで、しっかり汗をかくんだ、子マルマルがしっかり
寄ってくるようにな。そして母マルマルがいる草原に
立っていると母マルマルが体をよじ登り腹袋を破り
大量の子マルマルが食らいつきワサワサとしがみ
ついてくるんだ、もう人型のマルマル虫にしか
見えなくなったところで、そっと大きく広げたクロスの
上に行き、ドンと飛ぶんだ。そしたらバサーと子マルマル軍団
が落ちる、それを素早く鍋に放り込んでカリカリに炒めて
食うんだ、うまいぞ~」
ひい~!!声にならない悲鳴をあげ身震いをする。
「お前らも食うか?」
手の持ってるマルマル虫を二人の前に差し出すと
「「いりませ~ん」」
と、仲良く走っていった。
二人が見えなくなったのを確認すると手に乗せていた
マルマル虫を振り落とした。
マルマル虫はコロコロと転がりモゾモゾとしたかと
思うと伸びてカサカサと歩いて行ってしまった。
ウヒ〜気持ち悪い、こんなの食うわけねえだろ、
副団長とお前らの話を聞いてたんだよ!
鳥肌もんだってのに嬉しそうに走ってきやがって
ちょっとくらい意地悪させろ!
誰も意図せずに勝手にトラウマを作ったマックス!
7人目の犠牲者になった。
そして、トラウマの上にトラウマを作った2人。
今日も平和だった。




