いざ温泉へ
「さあ、サラ出かけよう、体調は?」
「大丈夫です」
「じゃあ行こうか」
サッと抱き上げ馬車に乗してくれる。
ガラガラ馬車が走り出し、護衛隊が馬で追いかけ馬車の上を
ウーサリ軍団がフヨフヨと浮きながらついてくる。
怪しげな一行は旅立った。
おお、ここに来てまともに外にでるの初めてじゃ無い?
馬車ももっと揺れるかと思ったけどクッション一杯置いて
くれてるし最高!窓の外も緑がいっぱいで素敵。
「アーレン、鳥が!黄色い鳥が飛んでるわ」
「セイレンだね、恋を実らす鳥と言われてるんだよ」
「まあ素敵、実るのかしら…」
思わず呟いてしまった。
「!サ、サラ!実らせたい相手がいるのか!」
しまった〜!つい口に出しちゃった!
ご、誤魔化さなきゃ、だってまだ女性として見て
もらえてないのに、軽くあしらわれたら泣いちゃう。
困らせたくないもの。
「いつか出会えたらって思っただけです」
ニッコリ笑って誤魔化す。
何たって元社会人、誤魔化すのは朝飯前である。
「そうか、そう言う相手が出来たら、すぐに教えてね
約束だよ公爵家に取り入りたい人間が多くてね
心配なんだ」
「うん、わかった」
そうだよね、利益が絡むものね。私の恋も迷惑
に思われたちゃうのかな?早く大人の体になりたいな。
あーあせったあ、女の子の初恋は早いって言うし
誰か好きなやつが出来たのかと…。
まあ、潰すけどね、ゴメンねもう離したくないんだ
その代わり必ず幸せにするから許して。
お願い早く大きくなって。
馬車は森の中に入り綺麗な湖の辺りに止まった。
「休憩だよ、ずっと馬車に揺られてるのも疲れただろう?」
「うん、うさちゃん達にごはんあげてくるね」
りさが大量のキャロットスティックを持ってきてくれる。
本当はスティックも自分で切ろうとしたのだけれど…。
ウーサリを飼うと決めてから飼うのは自分だから世話は
私がします宣言をしてエサの人参スティックを作るのに
包丁を握った。
前世の頃も得意というわけではないが自炊もしてたし
楽勝でしょっと力を込めるもプルプル震え危うく手を
切るところだった。どうやら筋力が足りず硬い人参が
切れない。使用人達もやんわりと、しかしキッパリと
見ていると怖すぎて私たちの寿命が縮まります、
どうか私達に任せてくださいと。
サラは頷くしかなかった。
うさちゃんズの口にスティックを一本ずつ
入れるとポリポリと音がしながら吸い込まれていく
う~ん可愛♪と思ってると後ろからひょいと抱き
かかえられてアレイドのお膝に乗せられていた。
「アーレ・・モゴ」
口を開けた瞬間キャロットスティックを口に入れ
られてしまった。
うっ・・人参嫌い・・でもアーレンの前でうえって
できない~。ポリ・・
諦めて齧ってみると、おや~爽やかな甘みで
前世の人参の臭みが一切なくまるでフルーツ!
美味しい・・・。
この時からサラの好物になった。
う~んポリポリ食べてか~わい!
「アーレン?お膝に乗るには私ってもう大きいのでは?」
「何を言ってるの?サラはずっと私の膝に乗ってていいんだよ」
ニッコリ笑うアーレンの圧にそうなのっと言うしかなかった。
「団長、ちょっといいですか?」
護衛に呼ばれ「チッ!」舌打ちをした。
「サラ、ごめんね、ちょっと待ってて」
「うん、大丈夫よ」
頭にキスを落として走っていく。
相変わらずキスが好きだな~。
ゾワリとっ背筋が凍るような悪寒が走った。
ウーサリ達も一瞬にして細長く擬態する。
しかし周りの者たちは何ともないようで普段と
変わらない。
じっとりとした汗が吹き出し限界に達しようと
した時、
「サラ、どうしたの?」
優しく抱きしめられ禍々しい気は消えホッと
体の力が抜けていった。
「ひどい汗だ、具合が悪いのかい?」
「わからない・・ひどく嫌な感じがしたの」
ひどく不安げなサラを見て、
自分たちには感じられない何かがサラを狙っている?
愛し子と関係があるのだろうか?嫌な予感がする。
「サラ、俺から離れるな」
サラを抱きしめるとサラも不安そうにしがみついてきた。
ウーサリ達は順番に元に戻り何事もなかったように
フヨフヨと浮いていた。




