懐かしい花の下で…私は……
一面の紫色の波が心を震わせる。
“藤棚だ”
「きれい・・・」
「綺麗だろ、ウィステリアの花だよ。この花は
この公爵邸だけしか育てていないんだよ」
「なぜ?」
「ずっと何代も前の公爵が今はもうない王国の
王様とお友達だったんだって、それであまりに
綺麗でもらってきたらしいんだ、その王国の
人達は黒髪だったらしいよ、サラももしかしたら
その血を引いているのかもしれないね」
“バリバリの直系の血筋です・・いつか言えたらいいな”
「さあ今日はもう疲れただろう?また来ればいいから
帰ろうね」
「うん」
早めにベットに入れられたけどなかなか寝付かれなかった。
そっと部屋を抜け出し藤を見に行くことにした。
門を開け入ると紫色の綺麗な藤が垂れ下がっていた。
前世はこのはなは一番好きだった、垂れ下がり風に揺れる
その花を見ると心が癒される気がした。
今世では父母と最後に見た花だった。
風に吹かれ、髪が舞い
自然と涙が零れ落ちる。
「こんな遅くに花を見に来たの?」
「うぎゃ!」
突然の言葉にビクリと肩が揺れた。
「ごめん!驚かせた?」
「アーレン・・」
「風邪をひくよ」
自分の着ていたガウンをサラにかけてやる。
そっと抱きしめ「どうして泣いてたの?」と
優しく語り掛ける。
アーレンは信用できるよね、ずっと助けてくれて
まだ全部は話せなくても愛し子くらいは言っても
大丈夫よね。でも王女っていうのはだまっとこう。
「アーレンあのね聞いて欲しいことがあるの」
「んっ?」
「あのね、まだ全部を話す勇気もないんだけど
嫌いにならないで欲しいし」
「どうしたの?言いたくなければ言わなくていいし
サラを嫌いになることなんてないよ」
「ううん、聞いて欲しいの。もう無い王国の話
をしてくれたでしょ、その国の花だって、それは
フルメール王国だよね、私もその国の血を引いて
いるかもって」
アレイドの顔が真剣になりサラの言葉を聞き
漏らすまいと頷く。
「私はその王国の最後の生き残りの愛し子なの」
「もうそれ以上言わなくていいよ、辛かったね」
「信じてくれるの?」
「サラが嘘つくわけないし、それにウーサリが
こんなに懐くのはありえないから」
風に揺られるウィステリアの花と一緒に
フワフワと浮かびながら揺れている
ウーサリ達。。。
ホッとして睡魔が襲ってきてアレイドに抱かれ
ウトウトし始める。
「今日は一緒に寝ようか」
「うん」
慣れとは怖いもので、また子供に見えることから
サラから恥とか羞恥心とかを遠いお空に飛ばして
しまっていた。
「そうだサラ、だいぶ健康になってきたから少し
遠出をしようか。良い温泉があるんだよ、サラの
体にも良いしねどう?」
「行きたいです、温泉大好き!」
寝ぼけていたけれど温泉という言葉に反応して
つい、うなづいてはいけない言葉にも返事を
返してしまった。
「じゃあ一緒に入ろうね」
「うん!」
「約束だよ」
しまった〜!!




