安堵と優しさ
「心配かけてごめんなさい」
ペコリと皆に頭を下げる。
「お嬢様!頭をお上げください、私共がお嬢様を
お守りできなかったんです、申し訳ありません」
使用人一同が頭を下げた。
「みんなは悪くないわ、私が落ちたからなのよ
あやまらないで」
自分の不注意で皆に心配かけてしまって心が痛んだ。
「違うよ、あんな所に穴があるなんて誰にもわからなかった
事だからね、誰も悪くないんだよ」
アレイドが優しく慰めるとリカルドが不服そうにアレイドに
耳打ちする。
「おい!俺たちとえらい態度と口調が・・・。がは!!」
アレイドの見事なアッパーが決まった。
遠くに飛んでいくリカルドにサラは目を丸くし使用人達、
団員達はあ~あっと見送った。
「アーレン!副団長さんどうしたの?なんで殴っちゃったの?」
「サラ大丈夫だよ、ちょっとリカルドの顎に悪い虫がとまってた
からね、つぶしておいたんだよ。噛まれると可哀そうだからね」
「そうなんだ~噛まれなくてよかったね副団長さん」
“えっ!信じちゃうの~!純真な少女”という目で
優しく皆が見守る中、微笑みながらサラは思った。
そんなわけないでしょう!いくらなんでも無理あるよ
アーレン何があったのかしら、聞くに聞けない!
副団長さんの無事を祈ろう。頑張れ副団長さん!!
「そんなことよりサラに見せたい場所があるんだ
きっと気に入ってくれると思うよ」
スイっと抱き上げられる。
いや~もう慣れだな、恥ずかしいとか飛んでったな。
だって楽なんだもん。
アレイドに連れてこられた先には大きな塀と門があり
ここだよっと降ろされた。
「ここは何処ですか?」
「公爵邸の秘密の庭園だよ」
「秘密なんですね」
「そう秘密」
アレイドはちょっぴりいたずらっ子のような笑みをみせ
ウィンクして見せる。
サラは、いかにもわかってますとも
と、いう風にニッコリと笑ってアレイドに言う。
「わかりました、近づかないようにしますね」
スタスタとその場を離れようとする。
「あ~!違うよ!サラはいいんだよ」
「でも、私はただの居候の身ですし秘密を教えて
もらうなんて」
「サラと見たかったんだよ、今、ちょうど満開なんだ
この門は守りの加護をかけてあるから、登録してある
人しか開けられないんだよ、サラも登録しようね
そうしたら何時でも入っていいからね」
「どうしてこんなに親切にしてくださるんですか?」
サラは思い切って聞いてみた。
「サラは命の恩人だからね、もっと我儘も言って良いんだよ」
その言葉にサラの胸はツキンと痛む。
「命の恩人って、もうそれ以上の事をしてもらって
います。こうして大切にしてもらって綺麗な服
だって買ってもらっています、だからもう。。。」
サラは少し俯いて悲しそうな顔になってしまった。
“イヤイヤその服も必ずスカイブルーか銀色の
刺繍のはいった独占欲の塊ですよ、恩人の名の
元に囲い込まれてるのに気がついて〜”
と皆が思う。
「ごめん、そんなに思い詰めないで本当は私が
サラといたい言い訳なんだ」
アレイドはサラの両手を救い上げてサラの顔を
覗き込みそれはそれは優しく微笑みかける
下心を隠しまくって。
「本当?それなら嬉しい、私もアーレンと
いると楽しいの」
やっとサラに笑顔がもどった。
「さあ、登録しようね」
門に手をかざすと薄緑色に輝き光がサラを覆う。
「これで大丈夫だよ」
「これだけ?」
「そう、さあ入るよ」
大きな門が開き一面紫色が目に飛び込んできて、
余りの美しさと前世、今世の懐かしさが一気に
込み上げてきて心が震えた。。。
。。。おまけ話。。。スレイの受難と小さな幸せ
サラ様が消えた!またお守り出来なかった。
情けなさで涙が出そうになったが、今は泣いてる
場合じゃないと自分を奮いたたせる。
犬笛が聞こえた!サラ様は無事だ!地面に
這いつくばり耳を澄ます。
「あっ!笛の音が聞こえます、サラ様が犬笛を吹いてくれてます」
聞き逃さない、絶対に!心に誓い犬笛の音を
追いかける。
「さあ!い・・スレイ!サラを嗅ぎ分けるんだ!」
後ろで団長が応援してくれてる!
お二人のために頑張るんだ!
「わん!」
心はすでに犬だった。
急に犬笛の音が消え不安になったが、また聞こえ
始めたと思うと急に遠くなる。
サラ様が走ってる?かと思うと止まる?
少し悩みながら耳を澄ますと急に凄い速さで横に
音が進んでいく、慌てて四足歩行で追いかける。
「スレイ!どこに行くんだ!」
アレイドが走って追いかけて来るが今度は
また元の方で音が聞こえ、また慌てて戻る。
やっと笛の音の方向が定まり青くなってしまった。
「団長!サラ様は裏の森に向かっておられます」
スレイの言葉を聞くや否やアレイドは走り出していた。
やっとのことで無事なサラ様を見つけたサラ様は
しきりに謝ってくださって安堵と不甲斐なさで
また、泣きそうだった。
サラが心配そうな顔でスレイの前にきてそっと手をとる。
「スレイ?手の平から血が出てるわ、私を
探してくれた時に怪我をしたのね、ごめん
なさい、そしてありがとう」と言って両サイドで
髪を結んでいたリボンを2本取りスレイの両手の
ひらに巻きつけた。
「後でちゃんと治療してもらってね」
「ありがとうございます、サラ様」
なんてお優しいんだ、もっと訓練してどんな時も
お守りできるように精進しよう。
心に固く誓いサラのリボンはスレイの宝物になった。
お礼に七色に輝く綺麗なリボンを買ったのだが
なかなか渡せず、モジモジする姿が怪しいと
白い目で見られるスレイだった。




