その勇気間違ってますよエバンス君
「サラ、大丈夫だからな。すぐに邸に着くから」
「アー・・レ・・ン」
サラを抱きかかえ、すごいスピードで走っていく。
扉の前に待機していたリサが駆け寄ってきてサラの状態を見て
涙ぐんだ。
「先生はサラ様のお部屋に来ておられます」
アレイドは頷きさやの部屋に向かった。
体が痛いよう、心臓がドキドキする。
そうだ、インフルエンザの酷い時こんな感じだったなあ。
カートは無事だったかしら、アーレンが来てくれたんだし
大丈夫よね。あれ?呼吸が楽になってきた。
「アーレン・・」
うっすらサラがめを開けると緑がかった透明の膜に自分が包まれて
いるのがわかった。な、なんだこれ、目を凝らすと膜の向こうに
アーレンが心配そうに見つめている。
「サラ?気が付いたかい?しんどいね?可哀そうに、すぐに楽に
なるからね」
「うん、これは何?」
膜を触ってみるとプヨプヨしている。
「精霊の膜だよ、瘴気のせいで心臓への負担がかかっていたから、
それを軽くする為に君を包んでいるんだよ、それに走ったから
足も腫れて、熱も出てるからゆっくり寝なさい」
「はい、先生」
「サラ、すぐに良くなるからね」
「アーレン、助けてくれてありがとう。心配かけてごめんなさい」
アーレンの顔をみて、ひどく心配かけたことがわかって、情けなくて
涙がでてきた。
ポロポロと涙を流すサラを見て、大丈夫だよ怒ってないよって
アーレンが優しく膜の上から頭を撫でてくれたので、ホッと
したら余計に涙が溢れて出てしまったのでアーレンが困ったように
頭にキスをした。
小さな声で
「あいつぶちのめす」と言う物騒な言葉はサラには聞こえなかった。
眠りについたサラを医師にまかせ、執務室に向かう。
扉を開けると見事な土下座をした新人二人と、隅の方で土下座を
しているスレイがいた。
「リカルド、新人はわかるが、あいつは何をしてるんだ?」
「サラちゃんを守れなかったからだと」
「ああ、だが痕跡を見つけて俺に知らせてくれたお陰で
見つけるられたからな、どちらかというと、リカルドお前の
監督不行き届きのほうが駄目だろう」
「ええ~!!おれえ!!」
「森に入ることは違反ではない、瘴気や森になれるためにも
な、だが必ず魔除け玉を持っていくことが条件だ、その説明を
したかリカルド?」
「まだ行かねえと思って言ってない」
「と、言うことだ、上官がこれだ今回は不問にする。だが、サラを連れて
行ったことに対してはぶっ飛ばしてやろう位には怒っているがサラが望まないだろう
これに関しては私にも責任がある、お前とサラを近づけたくないばかりに若者の
行動力を侮っていた。こんなことならサラの体の状態を言っておけば無茶をしなかっただろう」
「サラは大丈夫なんですか」
「取り敢えず命に別状はないが、あの子は体が極端に弱い。俺たちが大丈夫な事でも
ふとした弾みで死んでしまうくらいだ。病気に対する免疫も無ければ筋肉もない。
だから、強い瘴気に当てられれが死んでしまう」
カートもエバンスも青くなって俯いて震えていた。
「サラは死んでしまうんですか?」
涙でぬ濡れた目でアレイドを見る。
「サラは死なない、少しづつ体力をつけていけば普通の体になれると
医師も言っている」
それを聞いてカートはほっとしたように力が抜けた。
「良かったあ、サラに会えますか?」
「会わすわけないだろう!」
先程まで穏やかに諭していたアレイドだったが、敵に塩を送るともりなど
微塵もない。
「やはり消すか…」
そっと剣を抜く。
「こらカート!アレイドを怒らせるな!死にたいのか!お前達はもっと反省しろ!」
「すみません、でも一目でいいから無事な姿が見たいんです僕のせいだから」
パタパタと涙を落としながら懇願する姿にリカルドも同情し陰から見るだけ
ならいいだろう、とアレイドに言った。
アレイドはため息をつきながら
「もう少し元気になってからだ、だがお前に譲るつもりもチャンスを与える
つもりもないからな、あの子は未来の公爵夫人になるんだからな」
言い切っちゃったよと皆唖然とした。
なんたって見た目は子供だ、ヤバい人にしか見えない。
エバンスが勇気を振り絞り無謀にも聞いてしまった。
「団長は幼児趣味があるんですか?」
「やはり死にたいようだな」アレイドの目が本気だった。
リカルドは焦りエバンスは涙目になりながら逃げ惑い、カートは
その光景を呆然と見つめた、僕の初恋は実らないのかなっと、今は
それどころではない!
殺伐とする空気の中、ひとり無言で土下座を続けるスレイだった。




