豆腐(サラ)には全力疾走はできません(涙)
はあはあ…はあ…
もう走れない……ゲホ…ゲホ………。
アーレン……たすけ…て……
少し前
扉の前で警護していたスレイは部屋から物音が聞こえた様な気がして耳を澄ますと
“うぎゃ”と、微かに悲鳴が聞こえ慌てて部屋に飛び込むが誰もいない。
部屋を見渡すとバルコニーの扉が空いている、警戒しながらも覗き込むが暗くて何も見えなかった。
「チッ」
サラ様はどこに、スレイは執務室にいるであろう団長に報告すべく走って行った。
ノックもせずに飛び込んできたスレイを見てさらの身に何かあったと瞬時に察知し、
スレイに問いかける。
「何事だ!サラに何かあったのか」
「物音がしたので部屋に入ったのですがサラ様のお姿がありませんでした。
バルコニーの扉が開いており、風の加護を使った形跡がありました。
外部からの侵入は考えられず、加護のたどたどしさから新人団員ではないかと
思われます」
リカルドが少し考えて
「新人で風の加護持ちはカートだな、寮に行こう」
3人は団員寮に向かった。
アレイドが扉を蹴り壊し部屋に飛び込んだ。
「何事ですか!」
「カートはどこだ!!」
殺気だったアレイドはエバンスの胸倉を掴んで怒鳴った。
いつも怖いがこんな風に怒鳴る姿を見たことがないエバンスは
震えあがったが友達の為に勇気を振り絞って言った。
「許してやってください、サラちゃんと会いたかっただけなんです
団長が大切にしているのは分かりますが婚約してるわけでもないんですし
過保護すぎではないですか?あいつにもチャンスをやてくださいお願いします」
アレイドはエバンスを放り投げ睨みつける。
「お前たちに何がわかる!時間がない何処だ!」
〝殺される〟あまりの迫力に命の危機を感じ、ごめんカートっと心の中で
あやまりながら「・・・う、裏の森です・・」
アレイドは聞いた瞬間はじけるように走って行った。
それに続きスレイも走る、リカルドはエバンスに向かい
「何をしたか確かめに来い!」
「はい」
リカルドの後について走りながらエバンはリカルドに話しかけた。
「俺たちが知らないってどうゆうことなんですか?」
「俺が勝手に話していいことじゃないからな、だが知っておかなくては
いけないこともあるだろう、あの子は体がとても弱いんだ、俺たちが
大丈夫なことでも命を落としかねないほどに」
「そんな・・俺たち知らなくて」
「知らないから罪がないわけじゃないが、それよりもなぜ裏の森に行ったんだ」
「先輩たちが話してるのを偶然聞いて、夜間訓練で綺麗な泉があるって
だからカートはサラと行きたいって、俺は応援してやりたくて」
「あそこは魔犬がいるんだ、魔獣討伐訓練に使われる場所だ」
「!」
「アレイドがなぜ焦っているかわかったか?わかったならもっと
スピードを上げて走れ!」
「はい」
もう走れないよ、アーレン・・・。
後ろからついてきた魔犬がそこまで迫ってきた、もう走る気力もなく倒れこみ
魔犬が襲い掛かってきた。
バシュ!何かを切り裂く音が頭上で響き渡り、一番聞きたい人の声が上から降ってきた。
「サラ、サラ大丈夫か!もう大丈夫だ!」
アーレンが抱き上げて抱きしめてくれた、ほっと安心しカートの危機を伝えたいのに
息が上がり話すことができない、どうしよう。。。
「・・アー・・レ・ゲホゲホ・・カ・・カー・・ト」
「大丈夫だわかっているから」
追いついたリカルドがアレイドに叫ぶ
「俺とスレイとオマケのこいつに任せとけ、お前は早くサラちゃんを連れて医師に
見せろ!!」
一瞬とまどったが、サラの具合が悪くなっていってるようで早く医師に
見せる方を選んだ。
「リカルド、スレイ頼んだぞ!」
「まかせとけ!」
「はい」
「俺は無視なの~」
アレイドはサラを抱えて走って行く。
「いくぞ!」
リカルドが森の奥に走って行く、すぐにカートを見つけ助けに入る。
幸い腕に怪我をしているようだが、致命傷は見当たらない。
リカルドは風を剣の纏い魔犬達を薙ぎ払いスレイは大地を裂き魔犬を穴に落としていく
エバンスは只々何もできずに立ちすくんだ。
「何をしている、水の加護をもらっているのだろう、加護の水でカートの
傷を洗って清めてやれ」
「は、はい!」
あっという間に魔犬達は蹴散らされた。
カートは二人に「サラは無事?」と真っ先にきいたが、誰も答えてくれない。
「ねえ、無事なの?教えてよ!」
「怪我はねえよ」
「良かった」
「良くねえよ!あの子は体が弱いんだ、今回の事でどれだけ体にダメージを
うけたかわからねえ、アレイドに殺されてもしかたないからな!」
カートはその場に崩れ落ちた。
エバンスも先ほどのアレイドの殺気を思い出し本当に殺されるかもと恐怖に
慄き、崩れ落ちた。




