話は最後まで聞こうよ!綺麗な光景と危機一髪
怖い!誰か!扉のそばにはスレイがいるはず、扉に向かってスレイを呼ぼうとした瞬間、
影は私のそばに走ってきて口を塞いだ。
〝アーレン助けて!!〟声にならない叫び声を心の中で叫んだ。。。
「たんま!!僕だよ手を離すから叫ぶなよ」
「!!!!!」
「え~っと、カーン?」
「カート!!覚えといてくれよ」
頭をガシガシ掻いている少年は不機嫌そうに文句を言う。
「それより、こんな夜にバルコニーから入ってくるなんて失礼じゃない?」
「おっと、あの時より上手く話せるようになったんだな、
怪我も良くなったみたいだね」
「そんなことより何の用なの?」
「夜の散歩のお誘いさ」
ニッコリ笑う美少年!いい!じゃない、そんなこと考えてる場合じゃあない!
「散歩って、行かないから。みんなに心配かけたくないから」
「大丈夫だって気が付かれる前に帰ればいいじゃん、だってサラと会わせて
くれっても会わせてくれないんじゃあ忍び込むしかないだろ」
「何で会いたいかわからないけど、それはアーレンに会ってもいいって
お願いするから帰って欲しい」
「やだね」いうが早いかサラを抱きかかえバルコニーから飛び降りた。
「うぎゃ」とてもレディとは思えない悲鳴が上がる。
ひえ~!!おちる~!!
「大丈夫だよ、僕は風の精霊の加護を受けているから風を纏って落下を
緩められるんだ、まだ大した事出来ないけどね」
そう言いながらそっと下ろしてくれた。
「こっちに来て、先輩たちが話してるの聞いたんだ。裏の森にすごくきれいな場所が
あるんだって、サラに見せてあげたいんだ」
手を繋いで引っ張られる。
そう、やっと謹慎がとけて訓練が終わったとき、先輩団員達が裏の森の話をしていたのを
エバンスと聞いたんだ。
「え~、お前あの女子団員と裏の森に夜のお忍びデートしたって!」
「おい、声が大きいって!前に夜間訓練に行ったときに泉にホーレルがキラキラ
集まっててロマンチックだったんだ、これはいけるって思ってさ」
「いけたのかよ」
「んふふ」
「なあ、エバンス、ホーレルってなんだ?」
「知らないのかい?小さな虫で七色に輝きキラキラ光る粉を撒きながら
飛ぶんだ。珍しい虫で綺麗な水にしか寄ってこなくて中々みれないんだぜ」
「それだ!サラを連れて行けば俺の事好きになってくれるかも、計画を練るから
部屋に戻ろうぜ」
カートは先輩団員達の話を最後まで聞かずに走って部屋に戻って行ってしまった。
「カート待てよ!」
先輩団員達の話は続く。
「だけど、あそこは訓練以外は立ち入り禁止だろ、初めて魔獣を討伐する新人の訓練に使われる
魔犬の住処があるだろう。森と庭園との境界線には結界がはられてるからこちらには来ないが
集団できたら厄介だろう」
「ちゃんと魔よけ珠を持って行ったさ」
「だよな、これをもっていかない奴はよっぽど無謀な奴か新人だけだぜ」
「だな」
そんなことを話してることも知らずにサラを森に連れてきてしまった。
「早くこいよ」
グイグイ引っ張られる。
「待って、そんなに引っ張らないで、ねえここは少し怖いわ帰りましょう?」
薄暗く月明りしか光のない森は冷たい風が吹き今にも闇に飲みこまれそうだ。
二人は木々の陰でいくつもの光る眼が隙を伺っているのをまだ気が付いていなかった。
「ほら、ここだぜ!見てみろよ」
カートが指さす先には小さな泉があり水が湧き出ている、その泉には無数の七色に光る
小さな光がキラキラと粉を撒きながら飛び交っていた。
その幻想的な光景に目を奪われ先ほどまでの恐怖はなりを潜めていた。
うわ~綺麗、ずっと見てられるくらい素敵。
アーレンと見れたら幸せだろうな~、今度誘ってみようかな。
「なあ来てよかっただろ、少しは見直したか」
「うん、とっても綺麗。連れてきてくれてありがとう、でも黙って出てきて
しまったから帰ろう、今度はちゃんと言ってからこようよ」
急に背筋が凍るような恐怖が走った。
カートも何かを感じたらしく剣を構える。
「サラ!側を離れるな!何かいる」
唸る声が至る所から聞こえる。
なに、何がいるの!どうしよう!落ち着け私!獣か何かがいるにしても急に動くのは
危険だわ、でも武器もないし、あったとしても私には使えない。
カートの剣だけだけど、この感じでは複数匹いる気がする。
カートを見ると暗がりでも分かるほど青ざめている。
「カート・・」
「大丈夫だサラ、必ず逃がしてやるから」
〝ごめん、無理な気がする〟とサラは心の中で思ってしまった。
木々の陰から光る眼を3つもち、牙をむき出し100㎏はありそうな
毛のない犬?が4~5匹出てきた。
悲鳴が喉まで出かかったが、なんとか飲み込んだ。
何で毛が無いのに耳の先だけ毛が生えてるの!!と考えるが今は
それどころではない、しっかりしろ私!!
カートが力強くサラを抱き寄せ耳打ちする。
「サラ、僕が風を起こして奴らの気をそらせるから走って逃げて、いいかい?」
サラは頭を横に振り「無理・・走れない」と一言伝えた。
「サラ、無理じゃあない、行くんだ頼むから」
カートは私の体の状態を知らない、ただ走れないんじゃなく、走ることが出来ないのだ。
カートは、まだ見習いでも加護を受けた団員だから1人なら何とかなるかもしれない。
でも、足手まといのサラがいればなんともならないだろう。
サラが走って逃げて助けを呼ぶのが一番いいのはわかる、でも・・・。
「わかった!」
カートはニッコリ笑ってうなづいた。
「今だ、サラ逃げて!」
風を放ち砂煙をおこして魔犬達の視界を遮り剣で切りかかる。
その隙に森の外に向かってサラは走った。
すぐに息が切れ心臓が早鐘を打つ。
〝誰か!カートを助けて・・・〟あと少しの所で意識が薄れて倒れこんだ。
アーレン




