それぞれの夜は更けていく、色々な想いをのみこんで
「カート、お前入団そうそう何をやったんだ?さっき急に消えただろう?
戻っていたと思ったら傷だらけで謹慎させられてるしさ」
そう問いかけたのはカートと一緒に入団したエバンス・ロンサーフだ。
「関係ないだろ」
不機嫌そうに答える。
「いやいや是非聞きたいね」あきらめそうにない。
ハ~っとため息を出し、ポツリと話し出す。
「とっても綺麗な子に出会ったんだ、ひとめぼれしたんだ。
でも、団長の庇護下にあるらしくて団長も好きみたいなんだな~、その子は
気づいてなさそうだったけど」
「おま、それ横恋慕って言わないか?団長相手じゃあ不利だろう
俺たち、まだ14才だぜ団長の相手だと年上だろう?」
「いや、みた感じ10歳前後かな~」
「え?団長ってロリコンの人?」
「知らね~よ、とにかく何とか会いたいんだ」
「なんか面白そうだから協力してやるよ、婚約してなきゃ自由恋愛だしな、
とりあえず、もう寝ようぜ俺は朝から訓練なんだ。あっそうか、お前はお休みだったな」
エバンスに向けて枕をなげるが、受け止め投げ返される。
バフンと、もろに顔に当たる。
「うぷ」
「お前・・・どん臭いな・・・」
「うるさい、寝ろ!!」
夜は更けていった、カートの切ない思いをのみこむようにして。
そして、ここにも切ない男がひとり眠れない夜を過ごしていた。
少々殺気をこめて、あいつを何とか葬り去れないか、サラの気持ちがあいつに
向く前に。。。危ない考えを持ちながら・・・。いや一人ではなかった。
「顔に出てんぞ!危ないこと考えるんじゃあない、私情を挟んで団長だってこと忘れんな!」
「・・わかってる・・・」
「いやいや、わかってないね今日だってヤバかっただろう」
「酒を吞みながら愚痴ぐらい付き合ってやるから、頼むから落ち着いてくれよ、
あの子が悲しむぞ」
ワインを目の前で回しながら見つめる横顔が同性から見てもドキっとするほど美しい。
〝あいつ前から綺麗な顔してたが、なんか艶っぽくなってヤバくないか・・ダ~っ!!
俺はノーマルだ!女性が好きだ~!顔だけならドストライクなんだがな~、女性だったら
間違いなく押し倒してるな!うん!男でよかったずっと親友でいられるからな〟
「リカルド」
「なんだ?」
「親友でいてくれてありがとう」
「やめろよ!照れるじゃないか、俺はいつでもお前の味方だぜ」
「ああ、そうだな」
何となく変な雰囲気のなか夜は更けていく。。。
そして、今回いちばん切ない男が部屋のかどっこの壁に向かって体育座りをしている。
ブツブツとつぶやくその姿は哀れみさえ感じる。
「サラ様をちゃんと守れず団長の不況を買ってしまった・・・私はダメな男だ」
とポロポロ泣いている。周りにはどんよりとした空気が漂っている。
一見クールで無表情なスレイは実は根暗な男だった。
落ち込みやすく、すぐに泣く!
ひたすら落ち込み泣きながら、こちらも夜は更けていく。
そして、こちらの女性も別の意味で落ち込んでいた。
アレイド様の怒った声を聞かせたくなくて、耳を塞いで少しでも聞こえないように耳元で、
ひたすら歌を歌ったけれど実はすごく音痴だった。
こんな下手な歌を聞かせてしまったなんて、
専属メイド失格です。ああ、すごく耳障りだったのでは。。。
もっと歌の練習をしなくては!明日から特訓だわ!
意外と前向きな性格だった。
スレイに爪の垢を煎じて飲ませてあげたいほどに。
燃え上がりながら、夜は更けていく。
そしてただ一人、今まさにに眠ろうとしている女の子は自分が元凶で回りを落ち込ませてるとは
微塵も思わず、今日は楽しかったな~。
馴れ馴れしいカートには少し困ったけど面白そうな男の子だったし、よかったらお友達なんて
なれたらいいな。ケーキも美味しかったし、アレイド様にあ~んしてもらったし。
スレイはマントを広げる姿がすっごくかっこよかった。
耳を塞がれてたから、よく聞こえなかったけどリサの優しい歌声、今度はちゃんと聞いてみたいな。
なんて、考えていると睡魔がやってきてスピスピと一人平和に深い眠りについた。
そしてすべての人々の夜は更けていくのだった。




