怖い夢はもう見ない、団長様の我慢大会の夜
暗い闇の中、争う声が聞こえる。
此処は何処だろう、何が起こっているんだろう。
耳を澄ましてみる、恐ろしいほどのしゃがれた悪意のある声と
誰かを護ろうとする威厳のある男性の声、そして優しくもリンとした
強い意志のある女性の声。
「要らないだろう、魂のない子供などワシがもらってやろう」
「何を言うか!あの子は私達の宝だ!」
「お前のような邪悪な精霊に渡すわけにはまいりません!」
ああ、これは過去の夢だ。。。サラと私がひとつになる為に “私” が今、
経験し直しているんだ。“私” が唯一受け入れられなかった記憶。
記憶として見ただけでも辛かった事を今から経験するなんて嫌だ、嫌だ!!
でも動けない私は赤ちゃんだから。ゆりかごの中で聞いた声、見た光景。
怒号、嘆きそして
「見つけた〜」
悪意ある声の主が私を見つける。
「この体に入り世界をもらうぞ!」
持ち上げられ体に食い込む指先から流れ出る血、痛い痛い
助けて!食われる!その時父と母が飛びかかり助けてくれた。
乳母が私をフィーに届けてコト切れた。
乳母に連れられる寸前に血まみれの両親が見えた。
もう嫌だ、見たくない、いやあ〜。
ふっふっうう。。。
うあああ。。。涙がとめどもなく流れていく。怖い怖い。
少しして落ち着きをとりもどしたけれど、目が覚めても怖い思いが残りじっとしていられない。
そっとベッドから降りてみる、どうやら真夜中のようでシンっとしている。
暗闇が怖くて扉の方にゆっくり歩いていく。
ゴン、ひょこん、ゴン、ひょこん
どんなにゆっくり歩いてもギプスがうるさい、まあいっかあと歩いていくと、
やっと扉にたどり着き扉を開けると眩い光が目に飛び込んでくる。
眩しい!何これ?廊下はゆらゆら丸い無数の眩い光に照らされてとても
幻想的な光景が広がっている。
きれい。色々な大きさの球体かキラキラとってもきれい。
これなんだろう、掴めるかしらっと手を伸ばしてみるが
手をすり抜けて行ってしまった。
すっかり光の虜になり光を追いかける。
ひょこ、ガコン、ひょこ、ガコン。
後ろから低音ボイスの声がして振り返ると
「何をしてるのかな、こんな夜中に悪い子だ」
素早くサラに近づき抱き上げる。
「アーレンちゃま!」
「どうしたの、目が赤いよ、また泣いていたのかな。ん?怖い夢でもみた?」
「あい、おわくてろうかにでちゃらきれいでびっくいちまちた」
「ああ、エールの光だね。夜は暗いからね廊下にエールの光を好物で呼び寄せるんだよ。
名前の通りエール(ビール)が好きなんだ。エールを薄めたものを廊下の壁の上の方に
置いてあるんだよ、沢山置いておくとこの廊下のように沢山あつまってくる綺麗だろう」
「あい、とれもきえいでちゅ」
「さあ、もう遅いから寝ようね」と言ってアレイド様の部屋に連れて行かれた。
あれ〜、どうしてアレイド様のベッドに連れてこられたのかしら?
そっか、妹枠の子が怖がって泣いてたから慰めてくれてるんだね。
でもでも、一緒のベッドで横になってるアレイド様の色気がハンパない!!
鼻血でそう。。。
オイオイ、あまりにも可愛くてついベッドに連れてきてしまった。
どうすんだ俺!おでこかほっぺにチュウ位は許されるか!いやダメか!
なんで連れて来ちゃった俺!ダメか!ダメだろう!我慢しろ俺!
うお!まさかの上目遣い、ああ可愛い。。。
きゃー!なんて涼やかな微笑み!真っ直ぐ見れない〜。そっと見上げて見る。
カッコ良すぎる、はあ〜。
きゃっ!抱きしめられちゃった、お、おでこにチュウとな!!
確か前世の外国映画で家族のおでこにチュウしてたわ、やっぱり妹枠かあ。
くっ!我慢出来ずにおでこにチュウしてしまった。俺は変態じゃない!
ロリコンでもない、あと5、6年位なんて余裕で待てる。
キチンと大人になるまで俺は待てる!
うん、家族だもんね、アレイド様のほっぺにチュウしちゃってもいいよね。
〝チュッ〟
「おやちゅみなちゃい」
「俺、待てるかな?」
大量の鼻血を噴きながら自問自答し、夜は深けていった。
「メイドちょう〜!マーサさまあ!」
「何ですリサ!行儀悪い!」
「それどころじゃあありません、お嬢様がお部屋におられないんです」
リサが泣きそうな顔をして報告する。
「何ですって!」
「お部屋の何処にもいらっしゃらなくて、、、」
「取り敢えずアレイド様に報告をして指示を仰ぎましょう」
マーサとリサは足速にアレイドの部屋に向かう。
まさかの光景を目にするとは思わずに。。。




