名前を呼んで。。。私の名は。。。
雨が降り始めて3日目の早朝、少女が眠る部屋の叩く音がした。
お付きのメイドのリサがそっとドアを開けて確認すると。
アレイドが立っていた。
「早朝からすまない、連日の豪雨で川や村に行く前に
あの子が気になったんだ。熱は下がったか?」
「はい、だいぶ下がりました。今はぐっすり寝ておられますので
静かにお願いしますね」
そっとあの子の側に行くと、穏やかな息遣いで眠っていた。
ホッとして、手の甲で前髪をよけて額にキスをし見つめていると、
背後から痛い視線を感じ振り向くと、リサがじっと睨んでいる。
小さな声で「アレイド様、不埒な真似はご遠慮願います」
つい焦ってしまい大きめの声で言い訳をしてしまった。
「違う!下心があったわけでは、、熱!熱があるか調べたんだ」
「ううん、、、」
アレイドの大きな声に目が覚めたのか少女が掠れた声を出し
うっすらと目をあける。
「すまない、起こしてしまったか」
寝ぼけた瞳でアレイドのスカイブルーの瞳をじっと見つめる。
フルフルと首を横に振り、またウトウトと眠り始める。
“か、かわいい!!”
「行ってくるよ、いい子でな」
我慢しきれず頬にキスをすると、またメイドから咎められた。
取り繕うようにそそくさと部屋を後にした。
“ふわ~、よく寝た気がする。なんか団長さんがいたような”
目を開けて体を起こすとメイドさんが駆け寄ってきた。
「お嬢様、起きられましたか?お体は大丈夫ですか?
私はお嬢様付きのメイドのリサと申します、なんでもお申しつけ下さいね」
「あ、、、い、、、よ、、」
数れた声でそこまでしゃべるとケホケホと咽てしまった。
「お経様、無理に話さなくても大丈夫ですよ。お水を飲みますか?」
コクリと頷き、水を飲ませてもらう。
ゲホゲホ、、ゲホ、ゲホ
メイドがあわてて背中をさすってくれた。
<そういえば、モノを飲み込むのって初めてじゃない>
そう考えていると、ツキンと何か胸が痛んだ。
それと同時に悲痛な声が頭の中に響いた。
“すまぬ、すまぬ愛し子よ。わらわが外に出したばかりに
ひどい目にあった、すまぬ”
フィーが泣いてる!
窓の外に目をやると恐ろしいほどの雨が降っている。
その姿にメイドが
「びっくりされましたね、こんな雨はじめてなんですよ
皆、精霊の怒りに触れたのではと不安で、今ご主人様が
住人達を非難させに行っているんです」
フィーが哀しんでる、横になり目を閉じ神経を集中する。
メイドが「お休みですか」と問いかけていた。
こんなに雨が降ったら恐ろしい事になっちゃう
<フィー、フィー聞こえる返事してもう雨を降らせないでフィー>
だめだ聞こえてない。何度も何度も語り掛ける。
<フィー私は大丈夫だよ、哀しまないで>
<愛し子?>
<そう、私だよわかる?>
<私の愛し子。。サラ>
<そう私だよ、大好きだよフィー。ごめんね心配かけて、
もう大丈夫だから雨をやませて>
<いやじゃ、あやつはサラを傷つけた!わらわが外に出したばかりに
ずっと森に隠しておけばよかったのじゃ>
<違うよフィー、送り出してくれたから私はここの優しい
人達に出会えたんだよ。見ず知らずの私に親切にしてくれる
人たちに。これからも辛いことや痛いこともあると思う、
でも、それを乗り越えた時に人としての幸せがあると思うの>
<だが、サラが辛い思いをするのは見たくないのじゃ>
<ただ見守ってて欲しい、どんなことがあっても私自身で乗り越えないと
いけないから、お願い。どうしてもの時は雨を降らせて~ってお願い
するからね、だから優しい人達を傷つけないで>
<わかったよ、がまんするよ幸せにおなり>
雨音が静かになり雲が切れ青空が見えた。
安心して少し眠ってしまたけれど、ふと目が覚めると
泥で汚れて濡れ鼠のような姿の団長がベットの脇に座って
メイドに睨まれていた。
「こんな格好でごめんね、一刻も早く君に会いたかったんだ。
私はこの公爵領の嫡男で軍団長をしているアレイド・ウェルテックス。
アレイドと呼んで欲しい、君の名は?」
「、、、サ、、、ラ」
「サラ、いい名だ。サラと呼んでも?」
コクリと頷く。
「サラ、公爵家にようこそ。そして暴漢から私を
助けてくれてありがとう、可愛い命の恩人さん」




