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孤高にして影の王  作者: mikaina
2章
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熟練ぼっちは十変千貨する4

 


 プハー。


  外へ出て白い煙は吐き出した。


  天気は晴天。雲ひとつない気持ちのいい空だ。


  プハー。


  そんな空に向かって、白い雲を生み出した。


  心は何処か上の空で、だけど虚無感は訪れない。


  須鳥は煙草を携帯灰皿に押し付けてケータイを手にとった。


  ピピピッ、と番号を押せば電話が掛かる。


「母ちゃんか?」


  相手は母親。


「俺さ、もう一回頑張ってみるよ、満足できることをやりたいんだ。父ちゃんにも言っといてくれ」


  ケータイからは歓喜の声が聞こえ、思わず、須鳥の頰も緩む。


「目標も出来たしさ」


  母親がその目標はなんなのか、問いかけてくる。


「そうだなぁ、上手く言えないんだけどさ」


  須鳥はその男の姿を思い出す。


  須鳥を圧倒したその男を。


「とりあえず――ナンバーワン」


  須鳥は未だに薄っすらと浮かぶ白い煙を見つめて微笑んだ。




  須鳥と『死者人』のいなくなったゲームセンターには安寧が訪れていた。


「助かったぁぁぁ!!」


  店長の叫びが木霊する。


  被害と呼ぶ被害は出ておらず、これならばメダル落としを朝からしている年寄りの方が怖いぐらいだった。


「それにしても良いもんが観れたなぁ!」


「だな。あんなん滅多に見れるもんじゃないって」


  穏やかな空気の流れるゲームセンター。


  そこに一人の男が来店した。


「……えっ?」


  店長はその姿を捉え、驚きで固まってしまう。


  男は中肉中背、左腕に包帯を巻いたコートを羽織った二十代だろう男だった。


  男はその業界では『死者人』と呼ばれ、名の知れた男だった。


「あれ……『死者人』……? じゃあ、さっきのは誰なの!?」


『死者人』じゃないとしたら一体……? 店長の疑問は一瞬にして忘れ去られてしまう。


  何故なら『死者人』がメダル落としに向かう姿が見えたから。


「って待って! じゃあまだ私の人生終わるかも知れないの!?」


  店長の安寧はまだ遠い。





「聞いてくれよ、俺、メダルゲームでめっちゃ稼いじゃってさー。なんかいかついヤンキーみたいなさーオッチャンがさー、めっちゃ当ててさー」


  観たいアニメの時間帯に間に合った俺はアニメを観ながら、俺の栄光の一ページを妹に聞かせてやる。


 千枚越えって早々ねーぞ、十枚から千枚。俺凄すぎないか? 崇めよ、妹よ。俺は十を千に変える兄だぞ。



  一人盛り上がっている俺に妹は、


「メダル貯めてなんかあるの?」


  冷静に一言。


  そしてお風呂入るからと去っていく。


「……」


  あー、なんだろ。


  悲しいなぁ、何も言えなかった。悪気があって言った言葉ではないだろう。が、なんか凄い傷ついた。


 メダルが千枚もあっても俺の場合使わないしなぁ。


「……なんかアレだな」


  冷静に考えるとこう、最高に時間の無駄だった気がする。


  俺も風呂入って寝よ。







ちょっと休憩。


新作読んでね!

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