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孤高にして影の王  作者: mikaina
2章
41/72

熟練ぼっちは感謝する4

 


 ……。


  その場に残ったのは彼等の視界に収まっていたはずなのに気づかれなかった影の薄さを競わせたら学校一、それどころか町一番、何だったら全一クラスの俺、唯独り。


 視界に収まっていて気付かれないって相当だぞ。


  いつもなら気付かれなかった事に傷ついたかも知れないが、今回ばかりは自分の影の薄さに感謝しかない。


「レン君だから」と彼女、桂花センパイは言った。それはどういうことか。お判り頂けるだろうか。


 それ即ちレン以外が見たら許さないということを意味している。


 もしもこの場所で見つかっていたなら見えていなくとも見えたと誤解され、俺は警察のお世話になっていたことだろう。



  また君か、って、だから違うんですよ、俺は下着なんて見てないんです。第一見たといえば別の男がですね。……えっ、その人は合法、君のは違法ですって。

 いやだから俺はまず見えてないんですって。水色の可愛らしい下着なんて見えてないんですよ。なんで色を知っているのかって? それはさっき言った合法男が大声で言ってたんです。ちょっと手を引っ張らないで。水色にレースが付いてヒラヒラしてたなんて俺は知らな、…………。

 違っ! 冗談です、お茶目な冗談なんです! 影莉わるくなーい! 影莉ジョーク! やめっ、引っ張ら、あ、あぁぁぁ――――。



  こうなる事間違いなし。



  嵐のようなラッキースケベが過ぎ去り、俺は誰もいない廊下を独り当初の目的の場所へと歩み始めた。


  結局アイツ、レンは一体何しに別棟へ来たんだろうな。図書館に来たのか、それとも別の場所に用があったのか。もしくはこうなる事を予想してここを通ったのか。


  まぁ、死ぬほどどうでもいいや、アイツの事なんて。時間がもったいねぇ。


 そんなことよりも、記憶の奥底に大事に大事に幾ばくもの封印を施され仕舞われた水色のレースの下着。俺はこの記憶をきっと忘れない。そして墓場まで持っていく。


 ラッキースケベとか舐めやがってレン君滅びろ! と普段の俺なら言っていただろう。だが今の俺にそんな気持ちは一切ない。


 嵐が過ぎ去った後には凪が訪れるようにラッキースケベが通り過ぎた俺の心は凪そのもの。マジ涅槃。


 リア充ども今日ばかしは感謝しよう。俺は誰もいない廊下で独り、片手を天へと突き出す。それは歴戦の戦士よりも情熱の篭った拳。



 --俺の影の薄さと影春学園の制服、水色のレースのパンツ、そしてラッキースケベに乾杯っ!







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