教育?いえ特訓ですが?
アルシーとミーナの部屋にて
<ルーミア>
「さて、お二方、準備は良いですか?」
さて、人に何かを教えるのは久しぶりだなあ。
「「はい!」」
まあ、私のやり方はルナンさんの受け売りなんだけどね
「いい返事ですね、今から教えるのは基本的な食事のマナーとアルシー様とシルベリータ様両名の食事時の注意事項となります」
「覚えられるかしら……」
「だ、大丈夫だよ」
「心配しなくても私が覚えこませるので」
そう、これがルナンさんのスタンス
「「…………」」
「どうかしましたか?」
あれ? なんだか震えてる? 私まだ何もしてないんだけど……
「「い、いえ!」」
若干怯えてるよね……
「では、始めましょう、まずは……席に着くところからですね」
情けは人の為ならず! ご主人様がルナンさんに言った言葉らしいけど素晴らしい考えよね!
さて、がんばりましょう!
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<ミーナ>
「違います! そこでするお辞儀は角度30度、次が45度です!」
「は、はい!」
「ミーナ! 椅子に座る前にお辞儀をしなさいと何度言えばわかるのですか!」
二回目だよおおおおお
「は、はいいい!」
訓練は一人ずつ、だからルーネはこれを見てるのよね……
(無理無理無理無理! あんなの絶対耐えられないよーーー!)
って声が聞こえない筈なのに聞こえて来る……
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<ルーネ>
「まあ、それぐらいでいいでしょう」
「は、はいい……」バタン
ミーナの訓練が終わったわ、大丈夫かしら
「さて、ルーネさん、ずっと見ていたのだから少しはわかりますよね?」
ルーミアさんが……すごく怖いよーー!
見てただけでできる訳が……
「先ほど、あなたは何をしていたのですか! まったく分かっていないじゃありませんか! そこは両手でお手拭を受け取る!」
「は、はい!」
「スープを飲むときは音を立てない!」
「はい!」
見てただけじゃ無理だよおおおお
ミーナはぶっ倒れたまままだ起き上がってこないし……
いつまで続くのおおおお!
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「まあ、食事は基本的なルールはこんなところです、お二方覚えられましたか?」
「「はい!!」」
そもそも、覚えていなければ終わっている筈がないのだ
「それは良かったです、次はアルシー様の家のルールですが……」
((いったいどんなルールなの……))
「楽しく賑やかに食べましょう」
「「え?」」
「それだけです」
「「…………」」
「そしてシルベリータ様のルールは」
((ごくり))
「静かにゆっくり食べましょう」
「「え?」」
「それだけです」
(なんだかすごく拍子抜けなんだけど……)
(ほんとだよ)
「ですが、先ほど教えたルールの上に成り立つものですのでくれぐれもお忘れのないように」
「「はい!」」
しかし、彼女たちは知らなかった
基本的なルールを成り立たせた上でアルシーの家のルールを適用することの難しさが
考えてみたら分かるが、にぎやかに食べないといけないのに、スープを飲むときは音を立てず、会話の声量の限度も決まっている
つまり、雰囲気に流されて基本ルールをおろそかにできないということだ
それを若干10歳ほどの子供が行うのだから
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食堂にて
「でもアルシー」
「何?」
「アルシーの家のルールで食べるならアルシーが教えた方がよかったように思うの」
「それもそうなのだけどね、ルーミアの方が教えるの上手なのよ」
「俺はそのルーミアとやらに会った事はないな」
「ルイス、貴方、ごく自然に居ないでもらえるかしら?」
「さっきまで話していたんだ、お茶の席ぐらい同席するだろう」
「まあ、そうなのだけどね」
「ルイス、向こうで呼ばれてるよ!」
「うわ、あいつらかよ……」
ルイスには当然ながら既に取り巻きが発生していた
「あからさまに嫌な顔ね」
「そりゃな……」
「アルシー、なんか嫌な視線を感じる……」
「あん? どこのどいつだ!」
(こいつもぶれねーな……)
ルイスはこの二人の少女と関わることがどういう事なのか分かりだしてきたが
「俺と話してるのに嫉妬してる女子どもだろう」
それは失言だぞルイス
「よし! シルちょっと待っててね! 今すぐに」
「お、おい、何をする気だ」
「ちょっとお話しようかなって」
「やめとけ」
「あら、どうして?」
「俺が言っておくから」
「そこまで言うなら任せるわ、シル、部屋に戻りましょう!」
「うん! ルイス、またねー」
「おう!」
「ではまた、よろしくお願いねルイス」
「……おう」
あの権幕をみたルイスはアルシーのOHANASHIはきっと碌な事にならないと察した




