ルーミアの笑顔
遅くなりました
すこしして
「お待たせいたしました、本日のランチでございます」
ウエイターが4人分の料理を持ってきた
「こちらでは料金はかからなかったかしら?」
アルシーはルーネとミーナが気にしてるであろう事を聞いた
「はい、生徒様たちの食事代や被服費は学費より工面されていますので遠慮せずにお召し上がり下さい」
「「は、はい!」」
「ふふふ、そんなに緊張しなくてもいいのに」
「あれ? ルイスのご飯は?」
「私でしたら……あちらに」
そこにあったのは……一つのテーブル
「うん……まあ、ご愁傷様」
「そう言わないでくれるかな、アルシー」
「あら、私たちより凄く格の高い食事なのに何の不満が」
「わかっているくせに……」
「アルシー意地悪はダメだよ!」
「う、ルイス申し訳ありませんわ」
”やっぱりアルシーはシルに弱いな”そう思うルイス
「あ、あの、話が見えないのですが……」
そもそもの話の内容がつかめないミーナ
「それもそうよね、貴族の風習なんてあなたたちには無縁だもの」
「そうですね、かみ砕いて説明しますがこの国の貴族にはそれぞれの家ごとに食事のルールが存在します、私の家では食事は静かに優雅に厳かにがもっとうでして……」
「ルイスの家の風習は貴族の間でも有名なのよ、それでね」
貴族のルールは本来は守らなければならないものであり、特例を除けばそれに倣うことが礼儀とされている
「そうなの? 私がルイスの家に行った時はそんなの言われなかったよ?」
「「え?」」
なので、シルベリータのこの爆弾発言には二人ともが驚いた
「いつも通り食べていいよってルイスのお父様が」
「……どういうことなのよ?」
「わからん」
「もしかして、ルイスの父上ってそういうの煩くないお人な……わけないわね」
「ああ……」
「どうしたの?」
(アルシー&ルイス)
『シル補正!』
『そんな訳が……』
『だけど、シルの笑顔は反則的よ!』
『それはお前もだ!』
『私が?』
『自覚がなかったのか……』
元男のアルシーにとっては自分の容姿がどの程度なのか客観的に判断できていない
「何話しているの?」
「なんでもないわよ、シル」
とりあえず、アルシーとルイスはここでは話し合うのを諦めた
「では私は一先ず失礼させていただくとしよう」
「私たちはここでまったり寛いでいると思うわ」
「そうですか、ではまた後程」
「では、私たちは早速食事にしましょう」
「うん!」
「そうね」
「は、はい」
みんなで食事に入ろうとしたとき、ルーネとミーナの動きが止まった
「二人ともどうしたの?」
「早く食べないと冷めちゃうよ!」
「わ、分かっているの……でも」
「どう食べればいいか分からない……」
アルシーは”あっ、それは考えてなかった”と思った
「作法があるとは知っていたのだけど……」
あまり作法に煩くないアルシーとシルベリータ
しかし、貴族としての矜持がそれを許さなかった
「シル、どうする? さすがに無作法で料理を食べるのは失礼よね?」
「うん……」
「そうだわ! 少し待っていてもらえるかしら?」
「どうしたの?」
「いいことを思いついたわ!」
そう言ってアルシーは食堂から出て行ったのであった
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<アルシー>
私が向かった先は自室
「ルーミア、お願いがあるの」
部屋に入るなり私は掃除していたルーミアにそう言った
「なんでしょうか?」
「私たちと一緒にいた平民の娘たちに食事のマナーを教えてもらえないかな?」
「問題ないですよ」
「どうすればいい?」
「そうですね、ここで行いましょう、食事は私が取りに行きますね。」
「わかったわ、お願いするわね。」
「任せてください、必ず習得させてみます!」
「ありがとう! じゃあ、ちょっと一緒に来て」
「はい!」
ルーミアはそういって凄くいい笑顔をしていたの……あの時みたいに
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その頃食堂では
「アルシー遅いね」
「そう? そんなに経っていないと思うのだけど」
「私もそう思いますけど」
「アルシーが私を5分も待たせるなんて事今までなかったのに……」
「「え?」」
アルシーこと安見安吾は約束の時間の30分前に行動するとかいう類いの人間だった
それはこの世界に転生した今も変わることはなかったのだった
ちなみに、この世界において、時間厳守という風潮は無く、基本的に10分遅れぐらいが日常的であったため、彼女の特異性が覗える
そんなことを知らないシルベリータにとっては5分という時間を待ったことがなく故に長いと感じていたのであった
「シル、それはいくらなんでも……」
「そうですよ」
勿論そんなイレギュラーな存在を信じる事が難しい二人だった
「嘘じゃないもん! アルシーは……」
「お待たせー! あれ? どうしたの?」
「アルシー! 遅いよ!」
「ごめんね、これでも急いだのよ」
「アルシー様、早くしないと周囲の目を惹きます」
「ああ、そうね、早くしないと」
因みに既に惹かれているのは言うまでもない
「アルシー様からあなた方二人に作法を教えるように要請されました、料理は私が運びますので、アルシー様とミーナ様の部屋に移動していただきます」
「「は、はい!」」
「では、アルシー様、シルベリータ様、また後程」
「うん! 二人ともがんばってね!」
「ルーミア、程々にね」
「はい!」
ルーミアの凄くいい笑顔と共にアルシーとシルベリータのもとから二人が席を去った
「一気に淋しくなってしまったわね」
「うん……」
「ルーミアのことだから今日中には二人は大丈夫な状態にはなると思うわね」
「ルーミアさんの本気は怖いの!」
アルシーとシルベリータはルーミアに一度本気で怒られたことがある
その時、二人は恐ろしさのあまり泣き出したとか
因みに、ルーミアは笑っていたらしい……なにそれ怖い
「さて、冷める前にいただきましょう」
「うん!」
基本的に二人の食事はアルシーの家の作法になっている
「アルシー、あの二人のことどう思ってるの?」
「急にどうしたの?」
「アルシーはどう思ってるのかなって」
「いいお友達になれそうね、そういうシルはどうなの?」
「私もそう思う!」
「ふふ、それは良かったわ」
「貴族の生活が長いと自分を隠してしまう癖が出るからな」
「本当にそうよね……ってルイスか」
「あ、ルイス!」
「お前らかなり目立っていたぞ」
「「本当?」」
「自覚なしかよ!」
”こいつら、自分らが静かに佇んでいても注目を集めるってことを分かっていないな……”ルイスはそう思ったのだった




