ルイスの苦悩
「お前らの事は置いといてだ、俺たちは同じクラスで、なおかつ学年で上位3人であるという自覚がいるな」
「そうかしら? 私たちよりできる人たちもいるんじゃないの?」
「そうだよー」
「お前ら……現実知ろうぜ……」
ルイスが言っていることは事実である
そもそも、ルイス自身も周囲から50年に一度の逸材という(非常に正確な)評価を受けており、今年度の首席は間違いないと言われていたのである
それを易々と超えているアルシーとシルベリータは500年に一度の逸材と言われても全く可笑しくないレベルなのである
ただ、これを彼女たちが認識できていないのはアーシャという規格外がいたからなのであるが
「まあ、お前らを教えていたのがあのアーシャ殿だから分からなくは無いけどな」
「お母さんがどうしたの?」
「お前、知らないのか? アーシャ殿の二つ名」
「確か”理を超えし魔女”だったかしら?」
「流石に知ってるな」
「先生って二つ名持ちだったのね!」
「あれ? シルは知らなかったの?」
「うん!」
「だけどそれがどうしたの?」
アルシーは厨二病患者が歓喜しそうな二つ名だなとは思っていた
「二つ名というのはその人物の人となりから決められるんだけどな、理を超える人間って意味だぜ、絶対普通じゃないだろ!」
「そうなのかしらね?」
「私も先生は普通だと思ったよー」
「……お前ら……アーシャ殿は5000年に一度の逸材と言われた人なんだぞ……」
「ルイス、冗談はやめてよ」
「そうだよ!」
「…………ほんとに冗談だと?」
「マジ?」
「?」
「そもそも、俺は他の貴族から、少し恥ずかしいが50年に一度の逸材だと太鼓判を押されていた……」
ルイスにしてみれば今年度の首席は自分の物だと確信していたので実のところショックを受けていた
「でも、私たちの方が高いわよ?」
「そうだよ!」
さらに追い打ちをかけんばかりに二人の認識は甘く甘々だった
「……それはな、単にお前らがそれ以上の存在ってことなんだよ」
半ば諦めた表情で言うルイス
しかし
「「それは無いって」」
「大有りだよ!」
彼はこの後の学生生活にある種の不安を覚えることになった
『俺、この世間知らず達の世話しねえといけないのか』と
ルイスは、ほかの人は知ってるであろう事を話し出した
「それと、Sクラスは全部で10人だ」
「あら、結構少ないわね」
「余談だが他のクラスは100人以上だぞ」
「凄く多いです」
「まあ今年度入学生が獣人を含めて2000人だそうだだからな」
「そんなに!」
「仕方ないさ、この大学校がこの世界で最も権威のある学校だからな、いろんな国からも留学生がやってきているんだからな」
「それにしても、詳しいわね」
この一言はルイスを奈落の底に突き落とした
「……全部親父の受け売りだけどな」
そう答える他ない、前にいるのは一応貴族だ、そこに大公嫡男としての矜持が彼女達の無知を指摘したい気持ちを抑え込んだ
「公爵って大変ね」
お前らのところも侯爵だ!と言いたいルイス
「お前らもそれなりじゃないか?」
それはこの程度の言葉に抑えられた
「父上は王都での仕事が殆ど無い人だし、爵位は高いけど忙しそうではないわよ、全部次官にやらせてるって」
「お父様はルイスなら知ってると思うよ?」
「確かに……シルの父は俺の親父の部下だからな……平和そうでなによりだよ」
大公としての教育が既に始まっているルイスにとっては二人がすごく自由だと思った
「私が成人したら父上に代わって内政の一部任せてくれるって言ってるからそうなったら忙しくなると思うわね」
「それでも何年か先じゃないか……」
「あら、ルイスも学校にいるときは何のしがらみのないのではなくて?」
「そこでお嬢様口調かよ……ああ、そうだよ」
確かにそうだった、今から数年間は自由である
長くはない……
すると
「みんなで楽しめばいいの!」
満面の笑みでそういうシルベリータがいた
男共はそれだけで報われた
『俺たちの癒しはここにあったのだ』
そんな事を言いたげな二人の視線に気づかないシルベリータはその素晴らしい笑みを続けていたのだった




