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竜のニンジャ


 ここはFEのマチュアンカにあるUCPO本部の大会議場。


 衛星通信で参加しているテクト警部から、組織幹部に対して惑星タウに関する報告が行われていた。

 テクト警部が声を張り上げて言う。

「議長! アトロス軍は惑星タウをグリーゼのように消滅させるつもりです」

「至急、全市民の避難活動をするため大規模な支援を要請します」


 まずテクト警部は先の惑星タウ、ニュージャパン市でのアトロス軍の戦闘を報告した。

 続いて惑星タウではアトロス軍関係者の星からの撤収命令がでていること、ひいては自分の能力でみた将来の惑星タウのビジョンについて説明した。


 1時間後、UCPOの会議は終了した。

 時間はかかったが、結果的にUCPO幹部もテクト警部の案を了承した。

 議会はこの惑星タウの件をテクト警部に一任、UCPOの他の部門からの応援も受けて、大規模な惑星タウの住民救出作戦を展開することになった。

 テクトはまず人道的支援ということで近隣の惑星に住民避難用の大型スペースシップを拠出してもらうよう要請した。

 すでにアトロス軍による惑星グリーゼの破壊や、惑星タウへの軍事攻撃を目の当たりに見ていた近隣の国々は、明日は我が身と次々に最大限の支援を決定した。

 アトロス軍に対しては、各国とも鬱積した不満をもっていてそれが噴出した形になった。

 避難活動では、惑星タウのどの国でも混乱が起こった。

 しかし、先のアトロス軍の軍事介入以来、タウの各国ではいつか自分たちの星も惑星グリーゼのように破壊されるのではないかという噂がまことしやかに囁かれていた。

 そのため激しいパニックにはならず、UCPOの地道な活動や周辺惑星の協力により、住民の避難活動は徐々に進展しはじめた。


 だが・・。

 その矢先、惑星タウの軌道上に複数の宇宙戦艦が現れた。ついにアトロス軍の艦隊が再び惑星タウにやってきたのだ。

 惑星タウの軌道衛星の秘密基地でタウの周辺空域を監視していたハットリ老も肉眼でその艦隊を確認した。オメガ基地の情報担当から次々に報告があがる。


「ハットリ老、惑星タウの軌道上に多数の熱源を確認」

「アトロス軍の主力艦隊がMDF航行にて出現したものと思われます。その数100艇以上。まだ数が増えます」


「きよったな。思いのほか数が多いのぉ」

 ハットリ老は眼前に広がるアトロス軍の艦隊を前につぶやいた。

「よし。予定通りイガ・コミッティの部隊は作戦行動に移れ」

「今後、アトロス軍は惑星破壊のためポジトロン・ウェーブを使うはずじゃ」

「イライザ、その発生元のバトル・ベッセルを特定せよ」

「ロジャ!」

 情報処理班のリーダーであるイライザは大きな声で答えた。


「プロセシオン、ベス、ケイト。準備はできておるか」

 ハットリ老がチームIGAのパイロットに呼びかけた。

「はい。いつでも発進できます」

 隊長機のプロセシオンが答えた。


「カイル、ノエミ。ツイン・コンドルの調子はどうじゃ」

 今度は試験飛行中のカイル達に呼びかけた。

「はい。良い機体です」とカイル。

「操縦もだいぶ慣れてきました」とノエミも答える。


「うむ。頼もしいの。おぬし等は斥候として敵の動向を探れ。近づきすぎるでないぞ」

「ロジャ、ザッ」


「ヒロ達はまだこんのか」

 ハットリ老は通信班のイライザを見た。しかしイライザは首を振るのみだった。

「困った奴らじゃの。もう戦いが始まると言うのに」

 ハットリ老は至急連絡をとるようにに指示した。




 その頃、ヒロはまだFEの孤島で一人、暗黒波動剣の訓練をしていた。

 技はまだ完成していない。ヒロは焦っていた。

 FR550が頭のLEDをピカピカさせて、ヒロの近くに来た。

「ヒロさん、ヒロさん。惑星タウのオメガ基地から通信です」

「アトロス軍艦隊がタウ周辺域に現れたそうです。急行されたしとのことです」


「なに!」

 ヒロは構えていたドラゴンブレードを収めながらFR550のほうへ振り返った。

 FR550は続けて状況を説明する。


「その数120。巨大バトル・ベッセルも複数いるようです。アトロス軍の主力艦隊と思われます」

「イガ・コミッティの部隊は作戦行動にはいりました。ハットリ老は現場の指揮にあたっているため話せませんが、急ぎタウにくるようメッセージが届いています。」


「くっ! まだ技は完成していないというのに」

 ヒロは苦い顔をして自分の未熟をのろった。

「FR550、マリー達と交信できるか」

「はい。ヒロ」

 FR550はすぐにミス・アリスの研究所にいるビューティに接続した。ビューティは即時に応答した。

 ビューティは指先を自分自身にむけ、その映像をFR550に送ってきた。

 FR550の3Dプロジェクタにビューティが映る。マリーやミス・アリスもその映像に入ってきた。


「みんな。アトロス軍の惑星タウへの侵攻が始まった。ハットリ老が教えてくれた」

「こちらでもハットリ老からのメッセージを受けているわ。いつでも出発できるわよ」

 マリーが興奮気味に答える。


「マリー、実はまだ技が完成してないんだ」

「何か大事な要素が足りないらしい。すまないが、マリー達は先にタウに向かい、ハットリ老を助けてくれないか。僕も必ずあとから行く。」


「え?」

 マリーは驚きを隠せない。


「・・・わかったわ。ヒロ」

「私たちはハットリ老達と合流する。必ず来て」

「わかった」

 マリー達との通信が切れた。


「マリー」

 ヒロは夜空を見上げマリー達やイガ・コミッティの仲間を思った。

 もう猶予はない。

「必ず行くよ」

 空には満天の星空が広がり、美しい天の川銀河がよく見えていた。




 マチュアンカでは、ビューティ、マリー、ゴンザの三人が、スティングレイに乗り込み、ミス・アリスの研究所から発進するところだった。


 ブリッジの最前列にビューティ、マリーとゴンザは二列目のシートに座っていた。

 ビューティは体を固定し、延髄に接続された神経針から船を操作していた。

 ビューティの指示により、スペースシップ・スティングレイが発進シーケンスに入る。

 船を格納庫から注水ハッチに移動し、ハッチのドアを閉鎖。ビューティは注水ハッチに水を入れ、外部の水圧と注水ハッチの圧力を同じにするため水圧調整を行った。


「マリー、ゴンザ、準備はいい? ふふ」


 ビューティ特有の感覚なのか、深刻な様子が感じられない。マリーとゴンザはかなり神経質になっている。

 ハッチのドアが開き、スティングレイが勢いよく飛び出す。

 スティングレイは水中を航行したのち海上に浮上。そして超高速で上空に舞い上がり、そのままMDF航行に突入した。

 機体はアンビジブル・モードで運転され外観は完全に見えない状態になっていた。

 海面浮上時に一瞬、大きな波しぶきが上がったが、仮に近くに漁船などがいたとしても、その発見は困難だっただろう。

 特殊な装甲とレーダー波の位相中和装置により、この機体は現存するほぼ全てのレーダーから探知できない。それほどスティングレイの隠密活動能力は優れていた。

 太陽系のFEから、惑星タウまでのMDF航行の所要時間は約24時間。

 マリーとゴンザは運転をビューティにまかせ、仮眠を取るべく睡眠カプセルに入った。


「ヒロは間に合うかしら」

 睡眠カプセルの中で、マリーは一人つぶやいた。


 おそらくヒロは、その強力なユニバース・センスにより、サー・アトロスの意識を感じているのだろう。だから、我々に先に行けと言ったのだ。自分が後から行く事になっても必ず間に合う確信があるに違いない。

 マリーは希望を込めてそう考える事にした。

 ゴンザは、少し離れたカプセルで完全に眠ってしまっているようだ。

 ゴンザはすごい鼾をかいて眠るが、スティングレイの睡眠カプセルは、ゴンザの鼾の音を完全に消していた。


「ふ。ゴンザはどこでも寝られるのね」


 マリーは、ちらりとゴンザを見て、自分も少し休もうと目を閉じた。

 静寂とMDF航行特有の適度な振動から緊張の糸が緩んだのか、マリーはすぐに深い眠りに落ちていった。


 ビューティは、スティングレイのコックピットでタウの情報を集めていた。

 惑星タウの周辺では、すでにアトロス軍による殺戮行為が始まっていた。

 避難民を乗せた脱出用スペースシップが何百隻も惑星タウから宇宙空間に向かって発進していたが、最悪なことにアトロス軍による殲滅攻撃を受けていた。

 多くの脱出用シップは、武器を装備しておらず、一部の船を除き、多くのスペースシップが民間人を乗せたまま宇宙の藻屑となっている、とメディアは伝えていた。


「ひどいものね」

 ビューティはマシンでありながらため息をついた。悲しみの感情はないが、どのような状況で人類が悲しむかはデータとして持っており理解はできる。


 メディアは惑星タウの天変地異についても伝えていた。各国で大きな地震が発生しているという。地震による被害は甚大で、都市部を中心に多くの死傷者がでていた。

 まさにテクト警部が予言したことが現実に起こり始めているようだ。

 アトロス軍が惑星グリーゼを破壊したのと同じ武器を使っているのだろう。

 ビューティは、惑星タウの軌道空域にいるハットリ老と話をしてみることにした。


「ハットリ老。こちらスティングレイのビューティです」


「ガガッ。おお、ビューティか」

 ハットリ老が応答しているがノイズが多く、かろうじて聴き取れる程度の音声だ。

 画像は激しく乱れている。


「現在、FEのマチュアンカを出発し、マリーと共に惑星タウに向かっています」

「そちらには、あと20時間ほどで到着予定です」

「ハットリ老、メディアによればすでに惑星タウでは、各地で大地震が発生しているようです。アトロス軍の惑星破壊工作が始まっているのでしょうか?」


「うむ」


「すでに地上では地震や火山活動の活発化など、惑星規模の異変が始まっておる」

「解析によれば、周辺空域では強力なポジトロン・ウェーブ波が確認され、これが惑星タウの地核に影響を与えているようだ」

「アトロス軍艦隊のどの船が、そのポジトロン・ウェーブ波を発射しているかはまだ特定できておらんが、それもすぐにわかるじゃろう」


「はい」


「それと・・、実はヒロがまだFEに残っています」

「まだ術が完成しておらず、必ず後から行くと、そう伝えてくれと言っていました」

「そうか・・」

「ですが、マリーや私達でヒロが来るまで、できる事をします」

「FEのミス・アリスから武器の支援も受けています」


「うむ。頼むぞよ。ガガッ」

 激しいノイズ音と共に、ハットリ老との通信は途切れた。


 タウの軌道上では激しい戦闘が続いている。惑星タウ連合軍や周辺惑星の軍隊も出動し、アトロス軍のバトル・ベッセルや戦闘機と必死に戦っていた。

 イガ・コミッティの戦闘艇も惑星タウ連合軍とともに奮戦していた。


「イライザ、味方の戦闘艇の状況を教えてくれ」

 ハットリ老師は情報担当のイライザに聞いた。彼女は老師のすぐ近くに座っている。


「はい」

「先程報告して以降変化ありません。味方機の損害は3機です」

「チーム・海ツバメ、2機ロストしています」

「チーム・ペリカーノ、1機ロスト、また1機は被弾して基地に戻っています」

「チーム・雷鳥、ツイン・コンドルともに健在です」

「チーム・鳳凰、 隼、禿鷲、ともに損害ゼロです」


 イガ・コミッティの友軍機でチームサンダーバードの戦績は際立っていた。

 イガ・コミッティの中の特に優秀なメンバーがチームを組んでいるのだから当然かもしれないが、アトロス軍の戦闘艇を次々に撃墜していった。その数は、20機を超えていた。

 また、戦闘艇だけにおよばず、必殺技のファイナル・サンダーバードを繰り出し、敵の大型バトル・ベッセルも2機沈めている。

 ツイン・コンドルのカイルとノエミの戦果もすばらしい。

 二人は初めて乗る機体にも関わらず、まるで古くから慣れ親しんだ機体のように扱っている。

 撃墜したアトロス軍の戦闘艇は、すでに15数機だ。

 時に二機のスペースシップに別れ、時に合体して縦横無尽にアトロス軍の艦隊の中を飛び回っている。


「うむ、ノエミとやらも、なかなかやるのう。もとは味方じゃろうに」

 ハットリ老はあご髭を触りながら、中央のスクリーンでノエミ機を見て言った。


 その時、情報処理班のイライザが叫んだ。

「ハットリ老、ポジトロンウェーブを照射している敵のバトル・ベッセルが判明しました」

「座標NE5032.40、この基地から距離約1200キロの位置です」

「全長約5キロの超級クラスのバトル・ベッセルです」

「チーム鳳凰 のアンジェラが、光学映像を送ってきています」


「画像、出します」

 中央の巨大スクリーンに、イライザの言う超級クラスのバトル・ベッセルが映し出された。


「う、メガロドン!」

 ハットリ老がうなる。

「諜報部よりアトロスが巨大戦艦を建造中との報告を受けていたが、グリーゼを破壊したのはこいつじゃったか」

 その姿は巨大なサメであり目撃情報からコードネーム、メガロドンとして呼ばれていた。

 周りのバトル・ベッセルも全長1キロから2キロはあろうかという巨大な戦艦だったが、この船の大きさは際立っていた。

 口には巨大な円筒形のものが埋め込まれていて、その中心部がキラキラと煌めいている。

 円筒形のものは真っすぐに惑星タウの中心部を向いていた。

「これがポジトロンウェーブ照射装置じゃな。しかし恐ろしく巨大な装置じゃの」

「アトロスめ、とんでもないもんを作りおったわ」

 ハットリ老はしきりに長いあご髭を触っていた。そして思い立ったように言った。

「よし! ワシ等も発進するぞえ」


「戦艦グレゴリアス、機関始動!」


 軌道衛星オメガにあるイガ・コミッティの秘密基地が轟音とともに揺れ動く。

 中心部のビル群がいくつもせり出しパズルのように建物が変形して、そこから巨大な宇宙戦艦が現れた。戦艦はゆっくりと宙に浮き、少しずつ速度を早めて進む。


「推力50。微速前進」

「発進シーケンス、オールグリーン」

「甲板上のビル群、トランスフォーム異常なし」

 イライザがマイクを通じて、艦内の全員に伝える。


「老師、グレゴリアスでは、艦長とお呼びした方がよろしいですか」

 イライザが報告に続いて聞いた。その視線はハットリ老に対して好意を感じる。

「好きにせぃ」

 ハットリ老はチラリとイライザを見て照れながら言った。


「戦艦グレゴリアス、最大船速じゃ! 全砲門開け!」


「イライザ、ニュートリノ・トルネード砲のエネルギー充填は、完了しておるな」

「はい、艦長。充填率100%臨界です」

「うむ」

「ニュートリノ・トルネード砲発射後、全砲門一斉掃射じゃ」

「目標、敵艦隊中央、バトル・ベッセール、メガロドン。超級クラスの大物じゃ」

「目標線上の味方機および惑星タウ連合軍に緊急回避信号をだせ」

 ハットリ老はイライザに伝えた。


「通達完了」

「・・・目標線上の味方機は全機離脱しました」


「よし!」

「ニュートリノ・トルネード砲、発射!」


 すさまじい轟音とともに、ニュートリノ・トルネード砲が発射された。

 ニュートリノ・トルネード砲は、戦艦グレゴリアスの甲板全体を砲門とする、強力なエネルギー砲だ。

 素粒子ニュートリノの核連鎖融合をエネルギー源としていて、戦艦グレゴリアスの武器の中で最も強力の武器だった。

 巨大なエネルギーが、渦を巻きながら真っすぐアトロス軍の中央艦隊めがけて突き刺さる。

 直撃を受けた敵の戦闘機がつぎつぎに融解してゆく。その威力は凄まじく、何隻ものアトロス軍の巨大戦艦を貫き、直撃を避けた敵までも巻き込んで粉々にした。

 ニュートリノ・トルネード砲は、周囲の敵をなぎ倒しながら、目標のバトル・ベッセール、メガロドンに向かっていった。

 しかし目標の戦艦に当たる瞬間、エネルギー砲はかき消されてしまった。

 何事が起こったかと誰もが目を見張る。


「む!」

 これをスクリーンで見ていた、ハットリ老が渋い表情をした。

 こんなことができるのは奴しかいない。ハットリ老は唇をかむ。


「・・ハンズオー」


「こざかしい攻撃では、このわたしは倒せんぞ」

 地の底から響き渡るような声。

 サー・アトロスがハットリ老の脳に直接コンタクトをとってきた。老師もそれを受ける。


「アトロス。やはり、その艦に乗っておったか」

 ハットリ老は、アトロスがその艦にいる予感があったのか、さほど驚いた様子は無い。

「おぬし、なぜ、惑星グリーゼを消滅させた」

「そしてなぜ、惑星タウを消滅させようとするのじゃ」

「幾億の命をうばい、おのれに何の益がある」

 

「益? 益などはない。これは天命。我に与えられた使命だ」

「そして、きさま等イガ・コミッティ、我が憎しみの源を滅ぼすこともな」

「ヒロ・オライオン・・」

「数々の銀河がある中で唯一、我の存在を脅かすユニバース・センスを備えしもの」

「かつてのハンズオー、お前のように」

「ヒロを倒し、イガ・コミッティを滅亡させることで、我が使命は達成できる」


「それは・・・全ユニバースの支配」


「全ユニバースを支配するじゃと? たわけたことを」

「ハンズオー。お前の運命もこれで最後だ・・」

 アトロスのセンスが感じられなくなった。


 戦場ではアトロス軍の物量の前に、イガ・コミッティとタウ連合軍は苦戦を強いられていた。このまま長期戦に持ち込まれると勝ち目は無い。


「ヒロ・・。まだか」

 ハットリ老はブリッジ中央のスクリーンに映る、巨大なサメを見ながらつぶやいた。

 奥のスクリーンには、炎と溶岩で赤く燃え上がる惑星タウが見える。


 その頃、ビューティの操るスティングレイが惑星タウの軌道上に近づいていた。

 マリー、ゴンザともブリッジに上がり、ビューティの後ろの席に着いている。

 二人は戦闘用のスペース・プロテクターを着ていた。

 ヒロのNJプロテクターをベースに、宇宙空間でも高い運動性能を発揮できるよう、ミス・アリスがチューニングしたものだ。


「マリー、惑星タウに向けてポジトロンウェーブを照射している艦が判明したわ。そこにアトロスが乗っている」


「う、アトロスが来ている・・・。」


 マリーは恐れた。

 この広大な宇宙で圧倒的な力をもつアトロス。強力なユニバース・センスはマリーのもつそれの比ではない。

 一度は奮い立ち、今回の戦いを決意したマリーだったが、諸悪の権化のアトロスがそこにいると考えるだけで、例えようも無い恐怖を感じた。

 かつて、マリーはMEでアトロスを見たことがある。そうMEのジャパン市。そこにかつて存在したイガ・コミッティ本部とアトロス軍の戦いの時だ。そのとき多くの仲間がアトロス軍との激しい戦いの中で死んでいった。

 ヒロの父のタケル・オライオンはこの戦いで死んでいる。ハットリ老と共にアトロス軍の中枢に攻め入り、アトロスと直接戦って死んだのだ。

 ハットリ老は、アトロスの圧倒的な強さの前になすすべもなく、幼いヒロとマリーを連れて命からがら脱出した。アトロスはハットリ老とマリー達を執拗に追ってきた。

 その時、マリーは三つ。幼いながらもアトロスの凶悪なセンスを感じ取っていたのだ。

 その感覚が今もマリーを恐怖に陥れる。

「あの、悪魔がここにいる・・・」


「マリー」

 震えるマリーを見て、ビューティは呼びかけた。


「マリー。大丈夫よ」


「今回の戦いはヒロもいる。彼はFEを出発したと、今ミス・アリスから連絡があったわ」

「新型の機体に乗ってくると。その機体ならあと3時間ほどでここに着くわ」

「彼の到着まで頑張りましょう」

 ビューティは恐怖で震えるマリーを元気づけようとして言った。


「そうでガス。ミス・アリスに武器をいっぱい貰ったでガス」

 ゴンザが何回も頷きながら言った。

「そうね。頑張らなくっちゃ」

 マリーは、少し涙目の笑顔で言った。

 

「マリー、ゴンザ。そろそろ戦闘空域に入るわ」

 スティングレイは光学迷彩の機能により、機体色を銀河を映す宇宙の色に変えた。

 そして真っすぐにアトロス軍中央のバトル・ベッセール、メガロドンに飛んでいった。


 イライザは、スティングレイがこの空域に到着したことをハットリ老に伝えた。

「マリー達が来たか」


「ワシも出掛けるとしよう。惑星タウもそろそろ限界じゃ」

 ハットリ老はそう言うと、ブリッジの席を立った。

「艦長?」

 イライザをはじめブリッジにいた全てのものが、ハットリ老を見た。

「今のマリー達では奴に勝てん。ワシにはわかる。行かねばならぬ。奴を止められるのはワシだけじゃ」

 イライザはハットリ老にただならぬ気迫を感じた。

 しかし、あのマリーでも敵わないというのにハットリ老が勝てるとはとても思えない。


「みな、ワシが行っても役に立たないと思っているの」

「じゃがの、取って置きがあるんじゃよ。取って置きがの。フフフ」

 みなの驚きを尻目に、ハットリ老はブリッジをあとにした。

 その足でハットリ老はスペースシップの格納ドックに向かった。


「準備はできておるな、ケイン」

「は」


 ケインと呼ばれた整備士は、最敬礼をしてハットリ老にうなずいた。

「では発進じゃ」

「で、ですが老師、スペース・スーツは着ないのですか?」


「余り好きではなくてのう。ほれ窮屈じゃろ」

「大丈夫じゃ。簡単に宇宙に投げ出されるようなまねはせん」


 ハットリ老はそう言うと、格納ドックにある1台のスペースシップに乗った。

 デザインは古めかしいが、とても奇麗に手入れされている機体だった。

 ハットリ老専用の機体で、コックピットは1座のみ。その昔MEのある国の空軍で使用していた戦闘機を模したデザインだと言う。

「ではイライザ、そこまで行ってくる。アトロスの奴に目にもの見せてくれるわ」


「ハンズオー・ハットリ。発進する!」

 ハットリ老の声が、ブリッジに響いた。そして一台のスペースシップが、戦艦のカタパルトから勢いよく飛び出していった。

 何機もの敵機や味方機がすぐ近くを行き交う。ここはすでにアトロス軍との戦闘の中心だ。


「おうおう、みんな頑張っとるのぉ」

 ハットリ老の戦闘機は、その古めかしさとは裏腹に俊敏な動きを見せた。

 何機も敵を撃墜し、激しい戦闘空域を疾風のように駆け抜けてゆく。

 かつて全銀河随一と言われたニンジャ・マイスターの腕は今も衰えてはいない。

 しばらくしてハットリ老は、目標の巨大戦艦、メガロドンを捕捉した。


 そこにはマリー達の乗るスティングレイがいた。巨船に取り付こうと躍起になっているが、船の弾幕と敵戦闘機に阻まれ近づけないでいる。


「マリー、苦労しとるようじゃの」

「老師!」


 ハットリ老は、スティングレイを追尾していた2機の敵戦闘機を瞬く間に撃墜した。

「老師、出てこられたのですか?」

「うむ。呑気にブリッジで腰掛けておる場合ではないわい」

 ハットリ老の加勢により、士気が上がった友軍機は次々にサメ型の巨大戦艦に攻撃を加えた。

 一瞬、敵の弾幕が薄くなる。その瞬間を見極めマリーが叫んだ。


「今よ!」

 まずスティングレイが巨大ザメの腹の部分にあったカタパルトデッキめがけて突っ込んだ。

 デッキに進入した直後に、スペース・NJプロテクターを着たマリーが船外に飛び出す。

 幸いデッキ内は重力制御されていた。マリーにとっては無重力より戦いやすい。

 マリーはアマリリス正宗を構えセンスを集中した。

 正宗は真っ赤に燃え上がり、刀は完全に目覚めた。

 マリーはデッキ内の敵を殲滅すべく、俊敏に飛び回った。その動作は、ミス・アリスがチューンナップしたプロテクターの助けもあり、まさに目にも止まらぬ早さだ。

 アマリリス正宗の切れ味も凄まじく、ほんの一瞬でカタパルトデッキ内にあった戦闘機数機と、全ての武装兵士やアームド・スーツが切り刻まれてしまった。


 そこに、スティングレイに続きハットリ老の戦闘機がカタパルトデッキに飛び込んでくる。

 ハットリ老は、デッキの開閉口付近の操作盤をちらりと見て、ユニバースセンスを使いハッチを閉鎖。酸素を注入するよう操作した。

 酸素はすぐに満ちてハットリ老が戦闘艇から降り立った。

「さすがのワシも、酸素がなくては死んでしまうでの」

 ハットリ老は機敏な動きで戦闘艇を飛び降りる。まるで老人には見えない。


「マリー、腕を上げたの」

「老師、スペース・スーツもなしで。相変わらず無茶をしますね」

「ふぉ、ふぉ、ふぉ。さて、奴のところへいくかの」


 ハットリ老、マリー、ビューティの三人がメガロドンの深部に進んでいった。ゴンザはスティングレイでお留守番だ。

 先頭はステレオグラム表示で敵兵士に変身したビューティが進む。次ぎにハットリ老、殿にはマリーが就いた。この配置なら突然の攻撃でもハットリ老を護る事ができる。

 ハットリ老は敏感にアトロスの存在を感じ取っていた。


「奴め、ワシ等を誘き寄せておる。間違いなく罠じゃ」

「それでも行くかえ? マリー」

 マリーもアトロスの気配を感じていた。強力な負の力。しかもヒロがここにいない。


「ヒロは来る。もう、そこまで来ておる」


 マリーの不安を見越したように、ハットリ老は言った。

 3人は、巨大戦艦メガロドンの深部に進んでいく。途中敵の兵士ロボットに遭遇し、戦闘になったが、ビューティがいとも簡単に破壊した。

 三人は狭い通路を抜け、広大な空間にでた。空間は遥か上空から、真っ暗な地下に広がっておりどこまで続いているかわからない。


「ビューティとやら。アトロスはこの上にいる・・」

「ワシをそこまで運んでくれんかの?」

 ビューティはこくり、とうなずき、ハットリ老を抱えてシュパッと飛び立った。

 マリーもヘルメットのバイザーを降ろし、ビューティに続く。

 マリーのプロテクターのバックパックには飛行ユニットが搭載されていて、ビューティに劣らず高速飛行が可能だ。

 ハットリ老を抱えたビューティとマリーは、広い煙突状の空間を上に昇っていった。

 ビューティとマリーのバックパックにあるエネルギーコアから、反応済み大量の粒子がキラキラと後を引いて流れてゆく。


「着いたぞえ。ビューティ、あそこの通路に入ってくれ」

 マリーは激しい恐怖を感じていた。アトロスの感覚がいよいよ近くなる。

 三人は広い煙突の天井近くにあった横通路に飛び込んだ。そしてそのまま飛行しながら通路をすすむ。そして三人は正面が大きなガラスで覆われた、広い部屋に到着した。


 そこは巨大戦艦の展望室だった。

 天井の高い部屋で、正面に広がる窓からは、ふつふつと煮えたぎる惑星タウが見える。地表に亀裂が入り、山々からは噴煙がもくもくと上がるのが宇宙空間からも見る事が出来た。

 その姿は今にも破裂しそうだ。

 ビューティは部屋の入り口に降り立ち、ハットリ老を降ろした。マリーもその後に降り立つ。

 惑星タウを覗く窓の近くの玉座とも言うべき椅子に、彼は座っていた。


 そう彼の名はサー・アトロス。

 世界を恐怖に陥れ、今も惑星タウを破壊せんとする悪魔の化身だ。

 アトロスは黒のマントに身を包み、絢爛な椅子に座っていた。

 その顔には、額からあごに懸けて大きな刀傷があり、過去の激しい戦いを物語っていた。


 アトロスのすぐ横には、やはり黒のマントを羽織った一人の小柄な少女が立っていた。

 可憐な顔つきだが表情には陰りがあり、鋭い目つきでハットリ老達を見ている。歳のころはマリーより少し若いぐらいだ。

 広い部屋の中には、アトロスとその少女の二人しかいなかった。


「久しぶりじゃの。アトロス」

「じゃが、今日で最後じゃ。覚悟せい」

 ハットリ老が、背負っていた自分の刀を抜きながら言った。それは見事な日本刀だ。

 レーザーソードではない。近年では博物館でしか見ないような金属の刀だった。

 古いものの様だがよく手入れをしてあり、鈍い光を放っている。


「ハンズオー。やっと来たか。待ちわびたぞ」

 アトロスは不敵に笑う。

「ワシもじゃ・・」


 隣に控えていた少女が、アトロスに刀を差し出す。アトロスは刀を引き抜いた。

 これもハットリ老と同じ、みごとな金属の日本刀だった。


 ハットリ老は、自分の持つユニバース・センスを解放した。

 いつもは優しいハットリ老の目が、大きく見開き瞳孔の奥からアトロスを睨みつける。

 チリチリとハットリ老の体が白い光りに包まれる。その光りは大きくはないがとても力強い。


「ゴクッ」

 マリーがつばを飲んだ。こんなハットリ老の姿をこれまで見た事が無い。

 アトロスは不敵にその様子を見ている。


「ゆくぞ」

 白い光りが揺らめき、ハットリ老は輝く日本刀でアトロスに斬り掛かっていった。

「キンッ!」

 ハットリ老の刀と、アトロスの刀が合わさり火花が散る。

 アトロスの着ているマントがはらりと広がる。


「老師! 加勢します」

 マリーがアマリリス正宗を持ち、ハットリ老に向かいシュパッと飛び出した。

 ビューティも続く。

 しかし、その二人の前にアトロスの横にいた少女が立ちはだかる。

 目だけが怪しく光り、体中からユニバース・センスが溢れ揺らぎ立っている。


「あなた達の相手はこのわたし」

「わたしはカレン。・・サー・アトロスの血を受け継ぐもの」


「ア、アトロスの?」


 マリーが驚いて言った。

 この華奢な少女が、完全武装したマリーとビューティの相手をするという。

 カレンと名乗った少女は、アトロスと同じマントを羽織っている。

 プロテクターは着ておらず、マントの下には薄手のブラウスにショートパンツを履いているだけだ。軽装でとても戦闘用の服装には見えない。刀が当たれば重傷は免れないだろう。

 マリーはアマリリス正宗を構え直した。

 そして自分のもつ最大のユニバース・センスをまとった。

 ビューティは両ももに格納されているレーザーソードを取り出した。

 胸のニュートリノ・エンジンから粒子が溢れ出る。ビューティもパワー全開だ。


「はい!」

 マリーがカレンに斬り掛かった。

 カレンはマリーの渾身の一撃をはらりとかわす。

 続いてビューティが、二本レーザーソードをエックスの字に振り下ろす。その動きは素早い。

 アリスのチューニングによって、ビューティのパフォーマンスは更なる進化を遂げている。

 科学の英知の結晶。現存するヒューマノイドの頂点に位置するのが今のビューティだ。

 しかし、カレンはその最強のヒューマノイドの攻撃でさえも簡単にかわした。

 くるり、くるりと回転し、相手の攻撃を寄せ付けない。

 マリーの立ち回りに似た部分もあるが、例えて言うならマリーは風にそよぐ竹。カレンは力強く廻る独楽のようである。

 マントを翻しながら、くるくるとマリーとビューティの激しい攻撃をかわすカレン。

 そしてふとした二人の攻撃の切れ間を見つけて、カレンは術文を唱えた。


「遥かなる太古の昔に凍てつき氷の刃よ。その力を我が手に与えん」


 一種の召還忍術だろう。ふっとカレンの背後に氷の巨人が現れ、そしてその姿が霧散しカレンの両手に集まる。

 振り下ろしたカレンの左手から氷の刃が現れ、勢いよくマリーに飛んでゆく。

 マリーは正宗で氷の刃をたたき落とすが、その一本がマリーの頬をかすめる。

 攻撃の拍子にマリーは後ずさり片膝を付いた。頬からは血がしたたる。


「マリー!」

 ビューティは、マリーの前に立ちカレンを睨みつけた。

 カレンは今度は右手をかざしその手を一振りした。すると手の平に異形の薙刀が現れた。

 カレンの身長の2倍はあろうかという薙刀の両端には氷の剣が付いていて、その周りには妖しい影が揺らめいている。

 その薙刀を大きく構えてカレンはビューティを睨みかえした。


「きえぇー!」

 ビューティは、気合いとともにカレンに斬り掛かった。

 カレンは体を廻し寸でのところでかわす。そして廻りながら薙刀をくるりと振りかざした。

 カレンの薙刀が、ビューティの左腕をかすめた。


「ベコンッ。」

 なんと、切られたサーメット製の腕がわずかに傷ついたかと思ったら、その部分が大きく凹み、内部の回路が剥き出しになった。

 思わずビューティは、その手で持っていたレーザーソードを落とした。左手首から先が全く動かない。


「この薙刀は、斬ったものを暗黒空間に送り込む。おまえ達も消えて無くなるがいい」

 カレンは不敵に笑って言った。


 マリーとビューティは、眼の前に立ちはだかる華奢な少女に戦慄した。




 一方、サー・アトロスとハットリ老の戦いも熾烈を極めていた。

 ハットリ老がアトロスに斬り掛かったかと思えば、アトロスはこれを受け、力任せに老師を吹き飛ばす。

 老師は軽快な着地で次の攻撃に移る。アトロスも老師の攻撃で後ずさった。

 ハットリ老の肉体は、いつもより二周りも大きく、戦闘服から覗く腕はたくましかった。

 アトロスはと言えば、顔は若々しくこちらも筋骨隆々で立派な体躯をしている。

 力と力がぶつかり合い、二人の日本刀が火花を散らす。

 二人のセンスが干渉しあって周りに激しい波動をもたらす。その空間は戦いで地面が軋み壁が波打っていた。


「ハンズオーよ。悲しいな」

「かつて銀河随一と唱われた腕前もこんなものか。強大であったユニバース・センスも衰えて見る影も無い」


「わたしを見よ」


「能力は高まり、全宇宙の頂点にいる。生きとし生けるもの全ての頂きにいるのだ」

「歯向かう者は全て消し去る」


「ハンズオー。お前のようにな・・」



 サー・アトロスが術文も唱え始めた。


「バク、オン、リョウ、ミ、サラ、ミ、ポン・・・」

「さらばだ!」


「くっ!」

 ハットリ老が腕をクロスし、防御の姿勢をとったそのとき、なつかしい意識がすぐ近くまで来ていることを感じた。



「ヒロ!」


 ハットリ老、マリー、ビューティがヒロの気配を感じて同時に叫ぶ。

 アトロスとカレンもヒロのこれまでとは比べ物にならない強力なユニバースセンスを感じ、気配のする方向を見た。


 巨大戦艦メガロドンの遥か彼方に、輝く機体が現れた。その飛行物体はみるみるサメ型戦艦に近づいてくる。それは金色に輝き、姿はドラゴンそのものだった。

 ヒロはそのドラゴン頭の上に立っていた。

 戦闘用プロテクターをまとい、ドラゴンブレードを構えていた。プロテクターは、これまでのNJプロテクターではない。竜の頭のヘルメット、鱗を模したボディ、かぎ爪の形にみえる手甲など、いたるところが竜を意識したデザインになっている。


 宇宙空間を飛び回る金色のスペースシップ、メタルドラゴンの勇姿と、その頭に立つ竜のニンジャ、ヒロ・オライオン。


 ヒロの乗る怒り狂ったメタルドラゴンは、周りのアトロス軍艦を撃破しながら、巨大戦艦メガロドンに迫ってきた。


「マリー!」

「ヒロ!」


 二人のセンスがリンクして、ヒロの乗ったスペースシップが、マリー達のいる展望室に引き寄せられる。


「そこかい。マリー」


 スペースシップ、メタルドラゴンが展望室に近づいた。巨大戦艦の弾幕が激しくなる。

 ヒロはすぐに巨大なスフェアバリアを展開、メタルドラゴンは激しい攻撃をものともせず、展望室に取り付いた。

 展望室にいるマリーを確認したヒロは、朧げの術でメタルドラゴンの頭から展望室の中に瞬間移動した。


「マリー! 遅れてごめん」

 ヒロがドラゴンブレードを構えながら言った。その顔は凛々しく引き締まっている。


「ヒロ、遅いのう。間に合わんかと思うたぞ」

 ハットリ老がちらりとヒロを見て言った。


「やっときたか・・」

「この日を待ちわびたぞ。お前を倒し 全ユニバースの支配者となる、この瞬間を・・」


「カレン。下がっていろ。お前では敵うまい。ここからは二人の戦いだ」

 カレンは黙ってこくりと頷き後方に下がった。彼女にはヒロの強さがわかるのだろう。


「みんなも下がってて」

 ヒロはマリー、ハットリ老、ビューティに下がって見ているようお願いした。

 三人もそれに従う。

 すでにヒロとアトロスの間には、いかなるものも受け付けない雰囲気が漂っている。


 戦艦メガロドンの外ではアトロス軍と、イガ・コミッティを含む惑星タウ連合軍の戦闘がますます激しくなっていた。


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