八話「サブタイトル?なんですかそれ?あ、好きな食べ物は食パンです」
気を取り直して次の相手は山野徹。
正直相手の戦術すら未知数だし、何を考えてるのかすらもよく分からない。僕が勝てるか不安だよ…。
彼の初戦の記憶もあんまりないし…彼どうやって勝ったんだろう…。
「知られていないってのはものすごいアドバンテージだ。ラッキーだったのかもな山野徹は。」
サンダーナイトは静かに語る。
「そもそも彼ルール理解してるのかしら…?プリズムコアを胸のど真ん中にそのままポン付けしてる奴初めて見たわよ?」
困惑しながらお煎餅をパリパリ食べてるレースクイーン。あなたもたむろするのかこの控室に。
「当然よ。ここまで飛行機で来たのよ?今さら帰れなんて言われてもやりきれないわ。弟妹たちにも顔向けできないしね〜。」
なるほど。だからレースクイーンは面倒見がいいのか。
「仕方ない!レースクイーンこと矢車真美が秘伝のオトし方を教えてあげるわ!」
えーっと?
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ちゃんと決勝までいけたようで何よりです。「フィーバーカジノ」。
私のあげたこの顔と名前、気に入っていただけましたか?
しょぼくれた売れないヒーローだったあなたをここまで人気にしたのは私のおかげ。
大丈夫。私の言うとおりに動いていればいいのです。なんてったって私が理なのですから。
そしてあなたが優勝した時の景品、「コスモプリズム」は私のものです。もちろん報酬は弾みますとも。お金ならたんまりありますからね。
これからも頼みますよ。フィーバーカジノ。そして…。シブキくん。
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ー準決勝ー
「スプラッシュ」vs「山野徹」
「さぁさぁッ!!!次の戦いもォッ!!対戦相手が出揃いましたよォッ!!!」
「あの〜…ずーっと気になってたんですが…。」
初めに口を開いたのは山野徹の方だった。
なんですか?と聞き返す僕の前で衝撃的な言葉が出る。
「さっきから皆さんが仰ってる着装?って何です?」
えっマジ?電脳甲冑着ずに戦ってたの?
驚いてる場合ではない。今から呼ばれるじゃないか。
「赤コーナー! 水滴はお前の汗かもねェ?!!!!!謎の制服中学生ッ!!!!!!!スプラ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッシュ!!!!!!」
ダメだ、さっきの衝撃が抜けない。まだ顔が引きつってる気がする。
「青コーナー! ジャージだからって舐めたらダメだァッ!!!!無色透明正体不明ッ!!!!!山野ォ〜〜〜〜〜ッ徹〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
それに比べて何もわかってなさそうな山野徹。まさか今回も電脳甲冑着ずに戦うつもりなのか?
「それではいざいざ見合って見合って〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「『着装』!」
僕は困惑しながらいつも通り叫んだ。
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「さて、スプラッシュちゃんはどうするのかしら?」
「アイツ…ここで勝ってくれるといいが…。」
控室で二人は手に汗を握りながらモニターを見ている。と。
プルルル…。
サンダーナイトとレースクイーン。同じタイミングで電話がかかってきた。
「わかった。すぐ取りに行く。」
「了解っと。今行くから待ってなさい。」
お互い同じところに行くのを本能で察知した二人は、顔を見合わせてニヤリと笑った。
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「さすがに知ってますよ。コレを破壊したら勝ちなんですよね。」
山野徹は悠長に胸を指差しながら言う。
じゃあお望みのとおりにいきますよっと僕が拳を突き出すより先に、山野徹は僕の死角に立っていた。
「で、貴方のはどこにあるんですか?」
山野徹が質問してくる。
答えるわけないだろ!と腕を水平に振るが山野徹はリンボーダンスのように不気味に避ける。
「残念。でも前の人、えーっと…メ、メ…メロンパン?さん?は差し出してきましたよ?」
何やってるんだメタフィクション。というかメタフィクションって誰だっけ…?
そんなことはどうでもいい。今はただ山野徹という人間を「理解」しなきゃいけないんだ。
「ヒーローごっこはおしまいですか?早くコア出してくださいよ、貴方も持ってるんでしょう?」
山野徹が急かす。
「ねぇ〜まだですか〜?」
山野徹が脚をバタバタさせている。ジャージ姿の20代の男性がすると本当に不気味だ。歪んでいるのに純粋なような。老いているのに幼いような。
「あ~…分かった。全身叩けばいいんだ。」
サイバーファイトでの常識を今さら閃いたかのように言う山野徹に僕は仮面の下で開いた口がふさがらない。
サイバーファイトのヒーローたちは基本的に全身を攻撃する。レースクイーンの『オールドロップ』、サンダーナイトの高速攻撃による攻撃箇所の分散、ツッタンリズムの音符攻撃のように。
今更何を言ってるんだ山野徹は。
とか考えてる場合じゃない。それに気づいたってことは…「攻撃が来る」ってことだ。
「おぉっとそこ貰いますねぇ〜!」
山野徹がツバを飛ばしながら胸アーマーを握り潰そうとしてくる。
これは避けられ…ない!胸アーマーが七色の結晶となり砕け散る。
こちらの攻撃は全て避けるのに何故あちらの攻撃は当たるんだろう…?
「ちょっと聞いてくれ!僕はな!みんなの思いを背負って戦ってる!大事な親友のために!勝ってきたライバルたちのために!」
ツッタンリズムや金子のことが脳裏をよぎって泣きそうになる。
相手を知るにはまず自分のことを伝えなきゃ。それが相互理解への第一…。
「あ、そういうのキョーミないんで。」
ナンダコイツ。
僕は怒りを握りしめて、コイツを絶対にぶちのめすと決めた。




