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三話「ノリノリ!メロディーファラオ!」

「な!!ん!!て!!こ!!と!!してくれてんだよバカ!!!!!」

「ご、ごめん…」

卍固めをかけられた渋木に俺は怒鳴る。


お前何やったか分かってんのか?どこでパスを入手したか知らないが願う力、すなわちエゴが鍛えられてない素人がサイバーファイトに参加したら最悪植物人間になる可能性も…って聞いてんのか渋木は!


「許してってば!ほら!みんなの初戦の結果が出てるよ!」

全く反省してない渋木。こいつ本当に人の話聞かないよなぁ。と言いながら渋木の指差すモニターを見る。



◯レースクイーンvs×ブロックシェル

◯ミセスオールキャンデーvs×ザ・武士道

◯リーフ・シードラゴンvs×創成王

◯フィーバーカジノvs×リミックス

×白露流五代目当主 黒座vs◯ツッタンリズム

×サンダーナイトvs◯スプラッシュ

×メタフィクションvs◯山野徹

◯アーティスティックvs×フレイマー


「やはり素人だったか。そして金子の坊ちゃんがいるってことは…何か裏事情がありそうだ。」

控室の扉を見ると、荷物を持ったサンダーナイトが立っていた。


ーーーーー


リングの上で見るサンダーナイトと控室で見るサンダーナイトは全くと言っていいほど別人だった。

勝っちゃった素人の僕にも優しいし。

「ってことで次の戦い…すなわち明日までにお前をゼロから鍛えなおす。素人にとってこの競技は危険だ。だから『素人ではなくす』。」

サンダーナイトはまっすぐな目で言った。この人についていけば強くなれそうだ。

「というかお前は控室があるんじゃないのか?なぜ荷物を持っている?」

金子が当然の疑問を言った。確かにそうだよね、そっちの控室に置けばいいじゃん。

「金子の坊ちゃんも現場のことは知らねえみたいだな。負けた奴の控室は明日にはないぞ。で、荷物はここ置いていいか?」

え…世知辛い…って!控室って泊まるの!?僕泊まる用意持ってきてないんだけど!?


「そんなことより、次の相手はオレと同期のツッタンリズムだ。」

サンダーナイトが控室のホワイトボードにツッタンリズムと名前を書く。

「リズムに乗せられたらどんな相手でもイチコロ。水色仮面のエジプトヒーローでしょ?」

僕だってサイバーファイトに詳しいファンだ。デビュー当時からヒーロー名鑑で追ってる。

「甘い。やつは人間じゃないんだ。」

そんなに強いってことか…人間の限界を超えるほど…。って!同期だからってサンダーナイト盛りすぎじゃない?この前なんてザ・武士道に負けてたよ?

「違う。物理的に人間じゃないんだよ。」

は?何言ってんの?

「ツッタンリズム、便宜上『彼』とさせてもらうが彼は生物学的にも人間じゃない。人間から生まれた存在じゃないんだ。」

この前飲みに行ったが飲み屋の喧騒の「音を食べて」満腹になって帰っていた、と続けるサンダーナイトにまたまたと笑う。


「…ともかく、次の戦いに向けて、明日までにどう対策するかを考えておく。…からそれまで一旦スクワット1000回だ。」

なんてスパルタ。でもあこがれのサイバーファイト。せっかくだから鍛えなきゃ。

このトレーニングのおかげで今日はよく眠れた。



あの日。


いよいよツッタンリズム戦だ。サンダーナイトに言われたことを思い出そう。

ー第十回戦ー

「ツッタンリズム」vs「スプラッシュ」


「スプラッシュ、出番だぞ、行って来い。お前ならできる。」

「渋木!…絶対負けんなよ。」

控室の二人から熱い激励を受けてリングに向かう。

大丈夫、サンダーナイトの特訓メモ、ちゃんと覚えてるから。


「さぁさぁ!!次の戦いもォッ!!対戦相手が出揃いましたァッ!!!」


「〜♪」

ツッタンリズムはずっとチップチューンのようなメロディを奏でている。

この人(?)裏でもこんな感じなんだね…。喋らないのはてっきりキャラ付けだと思ってたけど。


「赤コーナー! ファラオ・オブ・ビーピーエムゥッ!!!!ツッタ〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!リズムゥ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

歓声が上がる。人気ヒーローだから当然だね。


「青コーナー! 期待の水滴ィッ!!!!スプラッシュ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

こちらの歓声も負けてない。だって制服を着た謎のヒーローなんだからね!!


「それではいざいざ見合って見合って〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


「『着装』!/『チャクソウ』」

視界がサイバーなエフェクトに包まれた。


ーーーーー


ハア…最近負け続きだ…。電脳甲冑もリメイクしてもう賞金がねえし…。

これじゃあ意気揚々と送り出してくれた母ちゃんに顔向けできねえ…。


とか思いながらぼんやりと喫茶店でコーラフロートを飲んでいると、スーツに髭のある知らないおじさんが座ってきた。

「君、ヒーローなんだってね。」

「誰だアンタは。」

「名前なんてどうでもいいだろう。聞いて欲しいことがあってね。」



「私のために戦ってくれるかい?資金援助は好きなだけしてあげよう。」

そうして俺は名前も顔も変え、プリズム杯に参加することになった。

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