表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人で転生しました!が、  作者: 西野ゆいと
恋敵編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/102

夢 その二

その後ラーナは急いで帰宅した。セシアナ王女に元気な姿を見られるわけにはいかなかったからだ。幸いなことに、心配していた毒の症状も出ず事なきを得た。

夕食のテーブルを囲み、起きたことを家族に話すと、父は怒りでテーブルをたたき、皿が浮いた。母は気を失いかけ侍女に支えられ、フィルに至っては泣くのをこらえて、ラーナを抱きしめていた。

「陛下に一言申し上げたいところだが、カイリの見解が正しいだろう。」父が怒りを鎮めるように言った。

「カイリが席を空けるときは俺が行くよ。」フィルの目にも怒りが込められていた。

「ラーナ、しばらくお休みをいただいたらどうなの?」母はもはや顔色が悪くなっていた。

実はラーナもそのことを考えていた。城にいなければ、命を狙われる可能性も減るだろう。だが、それではセシアナ王女の思う壺なのだ。

「私が城にいないのであれば、セシアナ王女は王宮に留まり続けるでしょう。それは、私の、いえ、皆の望むところではありません。彼女にとって目的がレイルであり、そのための障壁が私であるならば、私は立ちはだかって、彼女の企みを止め、国に送り返さねばなりません。」ラーナは自分に言い聞かせるように言った。

「どうして…あなたがそんなに…そんな目に…っ」母が涙した。

「あまりにも不条理だ…」フィルも苛立つ。

「私も黙ってはおられん。陛下に時間をいただき策を練る。場合に寄っては、陛下にも強く出ていただかねばなるまい。何かあってからでは遅い。いや、何かを…起こさせるわけにはいかんのだ!」父はテーブルの上で両手の拳をブルブルと握りしめていた。

「ラーナ、しばらく辛い思いをさせるかもしれん。なるべく早急に策を練る。それまでは決して無茶をするんじゃないぞ。」

父の言葉が胸にしみた。


その夜ラーナは夢を見た。

そこは、グリナリア王国ではない、でも、見覚えのある建物と景色。

少し離れたところに二人の男女がいた。来ている服も、グリナリアのものではない。

ラーナは気付いた。

奈央の夢を見ていることに。これは奈央の時代に見た景色だ。これは…奈央の視界だ。

『そうだ…この日は、将太が先輩に告白された日だ。…急がないと将太が先輩にキスされてしまう!止めなきゃ!』奈央は駆け出そうとするも、なぜか体が動かない。

「将太!」叫んでみたが、息が漏れるだけで声が出ない。

見ていることしかできない奈央の前で、将太と先輩がキスをした。

「いやだ!将太ーーー!」その声なき叫びに気付いて、二人が振り返った。だが将太と先輩ではなく、その顔はレイノルズとセシアナ王女になっていた。

呆然とする奈央を見つめるレイノルズは、ひどく打ちひしがれた顔をしていた。その隣で王女が、してやったりの表情でニヤリと笑った。

それから二人は奈央に背中を向け、ゆっくりと遠ざかっていった。

「レイル!レイルーーーー!」奈央はただ泣き叫ぶことしかできなかった。


「ハァ、ハァ、ハァ…」息苦しさで目が覚めたラーナの額には、汗がじわりと広がっていた。そして喉は締め付けられるように痛んだ。ラーナはベッドを降り、窓のカーテンを開けた。

外はちょうど朝日が昇ろうとして、空が(しら)んできていた。窓を開けると、冷たい空気が一気に入り込んできた。頭を冷やして、心を鎮めるには、ちょうど良い冷たさだった。

『この不条理な現状に苦しめられているのは、私だけじゃない。もしかしたら…レイルが一番苦悩しているのかもしれない。』

ラーナは夢に出て来たレイルの表情が、忘れられなかった。

『彼を…助けなきゃ。』

目の前の木々から飛び立った二羽の小鳥が、朝日に向かって飛んでいくを見ながら、ラーナはそう思った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ