再会と出会い
謁見が終わり広間から出ると、ラーナは恐怖と疲労で、歩きがおぼつかなかった。城内に敵がいる…。それも命を狙うほどの…。考えれば考えるほどふらふらした。見かねたカイリが、
「ラーナ様、私につかまって下さい。」と手を差し出してきた。思わずいつものように、その手につかまろうとしたが、ラーナの脳裏に先ほどのレイルの顔が浮かんできた。
「ありがとう、カイリ。でもいつまでもあなたに甘えるわけにはいかないわ。ここはもう王城だしね。」と苦笑いしてみせた。カイリが若干苛立ちを見せたかと思った瞬間、ラーナの体が浮いた。気付いたときにはカイリに抱きかかえられていた。
「カ、カイリ!?」ラーナは慌ててカイリを見た。
「大丈夫です。急ぎますから。それよりも、今のあなたをそのまま歩かせるのは、側近としての使命に反します。」とそのまま部屋へと歩いていった。
『レイルに見つかりませんようにっ!』と、ラーナは祈った。
レイルには会わなかったが、部屋の前には二人の騎士が立っていた。一人は見覚えがあった。
「ケビン副団長!」ラーナは久しぶりに会う顔に思わず明るい声を出した。
『ということは、あと一人がノーランか。』
「ラーナ様!どうされたのですか!?」ケビンが駆け寄ってきた。そして、
「カイリ殿、私が代わります!」と言うと、カイリがムッとした表情で淡々と返した。
「いいえ、結構です。もう少しでお部屋なので。」と、ケビンをおいて、つかつかと歩いていったしまった。ラーナはカイリの腕の中で、慌てて振り返りながら、
「ケビン副団長も、ノーラン、よね?二人とも中に入って!」と自分たちが部屋へ入ってしまう前に、なんとか叫んだ。
ラーナを椅子に座らせると、カイリは、
「お茶の準備をして参ります。」と去っていった。ラーナは手持ち無沙汰にしているケビンとノーランを、自分の向かいの椅子に座らせた。向こうの控室からは、
「カイリ様!これは私たちの仕事です。とらないで下さいませ!」とテスの声がする。
「ラーナ様専用の薬草茶は私にしかお出しできないので、私が準備します。」と、カイリが反論。
「入れ方を教えていただければ、私たちでしますので!」ハンナが食いつく。
「繊細なお茶なので無理です。お二人は騎士団の方たちへのお茶を入れてください。」カイリの言葉に、二人は「キーーーーッ!」となっていた。
『仲良くしてほしいなぁ…』そう思いながら、ラーナは騎士たちに話しかけた。
「ケビン副団長、お久しぶりです。それからノーラン、初めまして、ラーナ・クリスガルドです。」
ノーランはラーナよりも若干年下だろうか、照れくさそうにしている。ケビンは懐かしそうにラーナを見つめ、
「ケビンでいいですよ、ラーナ様。久しくお目にかかれていなかったので、この度ラーナ様にお会いできたこと、恐悦至極に存じます。」と言った。そしてノーランを紹介した。
「こちらは私の部下、ノーランです。なかなかの腕の持ち主なので、お役に立てるかと。」ラーナがノーランに視線を移すと、
「ノーラン・エドモスです!よ、よろしくお願いいたします!」と、頭を下げた。ラーナが笑って、
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。私の前では気楽にしてほしいわ。」と言うと、ノーランは顔を赤らめて下を向いた。
カイリと少しふくれっ面のテスとハンナが、お茶と茶菓子を乗せたワゴンを持ってきて、テーブルにきれいにのせてくれた。焼き菓子がおいしそうだ。ラーナが、
「ありがとう!ほら、三人とも、早く座って!」というと、カイリが真っ先に、
「では失礼致します。」と、ラーナの右側に座った。テスとハンナがまた「キーーーーッ!」となって、ラーナの左側に陣取った。
『ぎゅ…ぎゅうぎゅうだわ…』一つの長椅子に四人、向かいの長椅子には二人。異様な光景に、ケビンとノーランは唖然としていた。




