横槍
突然のことに目を疑うも、現実に起きていることは紛れもない事実だった。
レイノルズは冷静さを維持しつつも、捕らえられた腕をなんとか引き抜こうとしている。それを離すつもりもない女性が、チラッとこちらに視線を移した。
色白な肌に、金色の髪がかかり、鼻筋が通っている。つり目がギロリと光り、威圧感があるものの、キレイといえる類だ。そしてその唇が動いた。
「レイノルズ様、あのような格好の者を、この王宮に入れてよろしいのですの?他の者に見られては示しがつきませんわよ。王家の威信にもかかわります。早く出されたほうがよろしいのではなくて?」
おそらく彼女以外の、その場にいた全員が怒りを露わにした。その中でも一番行動が早かったのがカイリだった。
「レイノルズ殿下、恐れ入りますが、ラーナ様は疲れておられます。そしてこのあと謁見の間にて陛下にご挨拶があります。準備もありますので、今は失礼させていただき、殿下へのご挨拶にはのちほどお伺いさせていただきます。さぁ、ラーナ様…」と言って、ラーナの手を取り、部屋へと向かおうとした。そのとき、
「まぁ、あのお二人、とてもお似合いね。」と女性が言った。
その途端、レイルは目をカッと開いて、彼女の腕を引き離しながら言った。
「以前もお伝えしましたが、彼女が私の大切な婚約者です。あなたにも婚約者がおられたなら、同じようにその方を優先されるかと思います。寛大なお心をお持ちのあなたなら、私の今の気持ちをわかって下さるかと…。失礼致します。オルバー、王女をバラ園にご案内しろ。」
そう言うと、つかつかとラーナに向かって歩いてきた。そしてその場で力の限り抱きしめた。
「ラーナ…」そう呼ぶ声は震えていた。
「王女殿下、これよりバラ園にご案内致します。」オルバーという側近にそう言われた女性は、それは凄まじい顔でラーナを睨んでいた。レイノルズからの抱擁を味わうことなどできなかったほどに。それを見ていない彼はお構いなしに、
「カイリ、人払いだ。」と言い放った。カイリは黙って、ラーナの部屋の扉を開けた。レイルが続けて、
「お前もだ。良いと言うまでしばらく誰も通すな。」と言うと、カイリにドアを閉めさせた。
テスとハンナはすでに隣の控室に入っていた。その王女殿下は、つり目がそれ以上は上がらないほどに、怒りを露わにしていたのを、ラーナは見逃さなかった。




