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二人で転生しました!が、  作者: 西野ゆいと
成長編

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近づく想い

成人のお披露目会まで残り数日となった日の昼下がり、レイノルズはラーナを自室に呼び出した。ノックをして入ると、窓から入る光に亜麻色の髪をきらめかせて、レイノルズが窓際に立っていた。ラーナを見る紺碧の青色の瞳は、果てしなく続くオーシャンブルーの色だ。そして整った鼻筋に、程よい厚みの唇。

『うーん…やはり王子様なのね…。美しいわ。お披露目会、誰と出席するのかしら?ご一緒のご令嬢はさぞ大変ね。他の令嬢からの妬みを一身に受けるわよ…。怖いわぁ。』とラーナが考えていると、レイノルズが席に座るように言った。カイリが来て椅子が引かれ、侍女がお茶を用意してくれた。

『うん、やっぱり王宮のお茶は香り豊かでおいしい!』ラーナが嬉しそうに、お茶を飲み、茶菓子を頬張っている向かいで、レイノルズは深刻な顔をして腕を組んでいる。

『お茶も飲まずに黙ったまま…。呼び出したくせにどうしたのかしら。あ!もしかして、エスコート役の男性を見つけてくれたのかしら!?最終的に誰を紹介するか悩んでいるのかもしれない。ここはひとまず何も言わずに、静かに待っていよう。』ラーナはひたすら茶菓子を食べていた。危うくレイノルズの茶菓子に手を出しそうになった頃、

「はあぁぁぁ。」少し離れたところで、カイリが大きくて深いため息をついた。それを聞いて、ハッと我に返るレイノルズ。

「カイリ、人払いを頼む。あ、お前もな。」

「…承知しました。」ちょっと不服そうなカイリが退室したあと、少し赤い顔をしたレイノルズがラーナに向き直った。


王家の家族会議で決まったことはこうだった。

「いいこと?まずラーナの相手が残念ながら見つからなかったことにする。そしてあなたの相手も都合がつかなかった。そこで『せっかくだから二人で出席しないか?これをつけて、俺にエスコートさせて欲しい。』と言うのよ!我ながらいい演出だわ。」もちろんメルリーナの言葉だ。

『これ』とは姉メルリーナに協力してもらい選んだネックレスだ。メルリーナがラーナの部屋に足しげく通い、お披露目会当日のドレスは何色で、どんな形で、何の刺繍が入っているのか事細かに聞いてきてくれた。その情報をもとに、レイノルズが選んできたネックレスだった。

家族会議で決めた通りに実行するはずだったが、カイリに(いさ)められたことで、いらない御託(ごたく)はやめて、ラーナに想いを伝え『一緒に出席して欲しい』と言えばいいだけなのでは…と思っい始めたのだ。告白を今にするか、先延ばしにするか…それが現時点でレイノルズが直面している課題だった。


厳しい顔の上に、レイノルズが黙ったままなのでラーナが心配そうに様子を伺っている。

「あの…レイル?もしかしたらエスコート役がなかなか見つからないから、私になんて伝えればいいか悩んでるんじゃないの?もしそうだとしらた、大丈夫だから!家族に相談すればなんとかなると思うから、気にしないで!」幸か不幸か、ラーナがこのタイミングで、その話題を振ってくれた。レイノルズは気持ちを固めた。

「ラーナ…これを着けて、一緒にお披露目会に出席してくれないか?」自分の心臓の音を、なるべく聞かないようにしてレイノルズが言った。急に、わからないことが二個出てきたことで、ラーナはポカンとしている。一つ目はそのベルベットの箱の中身は何なのだろう?そして二つ目は、なぜ私がレイルと出席することになるのだろう?

レイノルズは続けて言った。

「俺は、お前のこ…」言い終わらせないうちにラーナが被せてきた。

「レイル、どうしたの!?お相手の方と何かあったの?」レイルが言葉につまる。

「もしかしてそれ、その方に渡すはずだったものなの!?」

「違う!!」とっさにレイノルズが叫んだ。ラーナがビクッと肩を上げた。

「…ごめん、怒ったわけじゃないんだ。」レイノルズは片手でぐしゃぐしゃと髪の毛をかき回した。

少しの沈黙のあと、何かをあきらめたように、もしくは何かを吹っ切ったように、レイノルズが箱を開けて見せた。ラーナは一瞬で目を奪われた。落ち着いた赤色の石…ガーネットだろうか?透明感を帯びたその赤色の石は、一粒一粒が小さく、それぞれの粒が銀色の小さい器に入れられて、控えめに光っていた。だがその粒のネックレスが三連に重なっているため、控えめながらも華やかさを放っていた。

「俺からの…成人のお祝いだ。」そう呟くレイノルズに、ラーナは驚いて顔を上げた。

「ちょっと待って!私何も用意してない!こんな高価なもの、もらえないよ!」焦るラーナを後目(しりめ)に、レイノルズはネックレスに手を伸ばし、ラーナの首にゆっくりと回した。留め具がうまくかけられない間、レイノルズの吐息と温もり、首元に時折あたる指先の感触に、ラーナはドキドキとゾクゾクが止まらなかった。ようやく留め具がかかり、レイノルズの手が去って行こうとしたとき、ラーナは無意識にその手を自分の両手で掴んでいた。レイノルズは息を飲み、ラーナは彼の手を握りしめた両手を、頬に引き寄せた。そして、

「レイル、ありがとう。」とだけ言った。瞬間ラーナはレイノルズに抱きしめられていた。お互いの温もりが心地よくて、二人はしばらく離れることができなかった。

「ラーナ…俺と一緒に、お披露目会に出てくれ。」その言葉に、ラーナはただ、コクンとうなずいた。

空はもう日没前…ネックレスのような優しい夕焼けが広がっていた。この感覚とこの温もり…どこか懐かしい気がすることをラーナだけではなく、レイノルズも感じ取っていた。


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