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二人で転生しました!が、  作者: 西野ゆいと
成長編

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30/103

半端

お披露目会も近づいてきたある日のこと。

二人で外国語の授業を受けたあと、ラーナはおずおずとレイノルズに話しかけた。

「ねぇ、レイル。お願いがあるんだけど…」

「なんだ?」

「あの、レイルは成人のお披露目会に一緒に行く相手は決まってるの?」

レイノルズの肩がビクッと震えた。

「…まだはっきりとは決まっていないが、俺の立場上ほぼ絞れてはいるよ。」

ラーナの顔は見らずに、うつむいて、少し赤い顔をしてレイノルズが言った。

「そっか…そうだよね。王子様だもんね。あのね、レイル、私、お相手が決まってないの。」

レイノルズの心臓がバクバクと音を立てている。

「…それで?」

「それでね…、あの…、私に、レイルのお友達を紹介してもらえないかしら!?」

『ううっ、恥ずかしい!やっと言えたわ!』ラーナは頑張った。が、

「は!?」レイルの顔が怖くなった。

『え?何か聞き方がいけなかったかしら?怒ってる?』焦ったラーナは慌てて付け加えた。

「あの、お友達がダメなら、騎士団の方でもいいの!お知り合いに誰かいないかしら?」

「騎士団だと?」レイルの顔が般若になった。

『なんで!?怒るようなこと!?でもレイルが最後の頼みの綱だ。』ラーナは半泣きで目をウルウルさせて訴えた。

「ダメ?もうレイルしか頼る人がいないの。お願い!」上目遣いの潤んだ瞳…レイノルズは真っ赤な顔を横にそむけた。

『頼む方向を間違えてるだろ!なんでそうなるんだっ…』レイノルズは苛立ちを隠し切れなかった。

「友達で相手の決まっていないやつはいない。今から探すのは難しいだろうな。」ラーナはしゅんとなった。

「そうだよね…。私の行動が遅過ぎたんだよね…。」がっかりするラーナを見て、レイノルズがふてくされながら、

「まぁいざとなったら、おれ…」と言いかけた途端、

「そうだ!私これから騎士団に行ってみる!」

『なんだと!?』レイノルズは頭を殴られた感覚に陥った。そんなレイノルズにラーナは追い打ちをかける。

「このあともう授業もないしね。レイル、困らせてごめんね!」と部屋を出ようとした。

「待て!」レイノルズがラーナの腕を掴んだ。

『狼の群れに子羊を入れるようなものだ。我こそがとラーナのエスコートを買って出るだろう。下手をすれば乱闘騒ぎも必至だ。そしてラーナが他の男にエスコートされるなど…もっての(ほか)だ!!』

「レイル?痛いよ?どうかしたの?」

ラーナの声に慌てて手を離して言った。

「いや、ごめん。騎士団に行けば見つかるかもしれないが、お前のエスコートともなると、同じ公爵家の人間が妥当だ。ただ騎士団所属の公爵家の子息はあまりいない。『はずだ。』」

「そっか…そうなると…お父様に相談した方がいいかな。」そう言うラーナに、

「公爵は忙しい。そんな中、娘の相手を探すのも大変だろう。俺が探してきてやる。」レイノルズが言った。

「本当!?ありがとう、レイル!やっぱり持つべきものは友ね!約束よ!」

レイノルズの心臓がチクッとなった。

「ああ。」その一言しか言えなかった。


その日の夕食はなぜか味がしなかった。

レイノルズはウサギのようにひとかじりしては深いため息をついていた。

メルリーナが素早く肉を奪った。それにも気付かないで葉っぱを、いや野菜を食べている。

「デジャブかしら。」王妃コーネリアが言った。

「またラーナ嬢か…。」国王ジョーゼフが言った。

「レイルに至ってはそれ以外ありませんわ。」姉メルリーナが奪った肉を頬張って言った。

「私がせっかくお膳立てしてあげたのに、上手くいきませんでしたのね。お披露目会の件。」メルリーナのその言葉を聞いて、レイノルズが食いついてきた。

「姉上!なぜそのことをご存じなんですか!?」

「ふっふっふっ、私を誰だと思っているの?すべてを見通すことができる、メルリーナよ!」

王と王妃は黙々と食事を続けている。


「ねぇレイル、あなたラーナと話すときは、王子らしく堂々と、なんていうのかしら…悪く言うと上から?もっと悪くいうと王子の立場を利用した?…ような態度で、ラーナは『俺のもの!』という感じで接しますわよね?」

「なんでわかるんですか?」レイノルズが怪訝そうに尋ねた。

「フッ…だから私が、メルリーナだからよ!」………。メルリーナは何食わぬ顔で続けた。

「ところがですわ、どうして時折弱気になりますの?今日だって強気に誘えば、それで済んだ話ではなくて?変なところで強気だったり、当然のところで弱気だったり。今みたいにラーナがいないところで、そんなに悩んで…。思春期とは言え、あなた、ラーナに関しては落ち着きがありませんことよ。」レイノルズが静かに答えた。

「私にだってわかりませんよ…ラーナに関してはいつもその繰り返しです。」そんなレイノルズにメルリーナがひとこと。

「そんな初恋をこじらせたような中途半端に強引な王子なんて、まったくもって引きますわ!」

レイノルズはそれ以上下がらないくらいに、肩を落として言った。

「今日メルリーナから、お披露目会のエスコート役を紹介して欲しいと言われたんです。」

頭からはウサギの耳が、しょんぼり垂れているようにも見えた。

「そこで名乗りを上げれば良いだけでしょう?」メルリーナがサラッと言った。

「そうしようとしたんですが…タイミングが悪くて…。ラーナが騎士団にエスコート役を探しに行こうとしていたので、慌てて止めるのが精一杯でした。」

「はぁ~。」他の三人が一斉にため息をついた。

「それで?」父が続きを促した。

「私が探してやる、と約束してしまいました。」

「はぁぁぁ。」三人はさっきよりも深いため息をついた。

「お前は何をやっているんだ?」父の言葉に、ウサギは、いやレイノルズはぐうの音も出なかった。

「そんな約束して、あなたどうするの?」母もあきれている。

そしてメルリーナの登場だ。

「ふっふっふ。私に名案があるんだけど、聞きたいかしら?」

「聞きたいです!姉上!」

「よろしい。耳の穴をウサギにして良くお聞きなさい!」

「またこのパターンなの?」ため息をつく母。

「名付けて!エスコート役が見つからなかったから、これを着けて俺にエスコートされてくれ!アクセサリー大作戦よ!!」

「だから…名付けられてないだろう…」ため息をつく父。

「姉上!詳しく聞かせてください!」キラキラの目のレイノルズ。

このあと夜更けまで、家族会議は続いたのだった。

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