表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二人で転生しました!が、  作者: 西野ゆいと
今世編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/98

中庭全体に少し強めの風が吹き抜けた。ラーナは舞いそうな琥珀の髪を両手で押さえた。レイノルズは微動だにせずラーナを見ていた。

「何のことでしょうか?」ラーナは平静を装いながら答えた。

「あなたが倒れる間際に言った言葉だ。覚えてないのですか?」レイノルズは顔色を変えずに聞いた。

「あいにく私には何のことだか…申し訳ありませんが覚えておりません。動揺していたようなので、何か別のことをお伝えしようとして、殿下にはそう聞こえたのかもしれませんね。」ラーナは努めて、レイノルズの目を見て話した。嘘がバレないように。

レイノルズは黙ったまま、ただラーナを見つめていた。ラーナにとって、この時間は永遠にも感じ取れた。時計があるわけではないのに、秒針の音が聞こえるようだった。

『早く何か言って!そして早くその言葉を忘れて!』ラーナは心の中で叫んだ。思いが届いたのか、ようやくレイノルズがため息交じりに言った。

「そう…ですか。」言葉とは裏腹に、レイノルズは納得していないようだった。

『だがこれ以上掘り下げて聞くわけにはいかない。この前のようにまた倒れられてはかなわない。そのようなことになれば、もう二度とラーナと会うことはできなくなるだろう。それだけは避けねば…。』

「では、ラーナ嬢に二つお願いがあります。」レイノルズは気を取り直したようにラーナに微笑んだ。

「私にできることであれば…。」ラーナは表情を変えないように返事をした。

「『ショータ』の意味を、もし思い出すことがあれば、私にも教えて下さい。」笑顔でありながら、目は真剣そのものだ。ラーナはその言葉に反応しないようにすることが精一杯だった。

「善処致します。」と、一言だけ返した。そして、

「もうひとつは何なのでしょうか?」と尋ねた。早く話を変えたい一心だ。

「私たちの二人の間では、敬語はやめよう。」レイノルズの提案にラーナは少し戸惑った。

「あなたのことは、ラーナと呼んでいいかな?私のことはレイルと呼んでほしい。」ようやくラーナが、

「失礼ながら殿下、それにはお応えできかねます。殿下はよろしくても、周りが聞いたときにどうなることか…。私のことはラーナと呼んでいただいて結構ですが、」レイノルズが言葉を遮った。

「だから、私たち二人きりのときのみ、にしよう。」

『なるべく二人きりにならなければいいのか…。』ラーナの心を見透かすように、レイノルズが言った。

「これからは毎日一緒に学んでいくからね。二人きりの機会も多い。すぐに慣れるさ。」

「しかし殿下っ…」言いかけたラーナの唇に、レイノルズの人差し指が触れた。

「だから、レイル、だ。」

あまりに突然のことに驚きながらも、ラーナは首まで真っ赤になっている。それをみたレイノルズは嬉しそうだ。

「ほら、言ってみてごらん。」

「………ィル……さま…」ラーナは顔から火が出そうな勢いだ。

「んー、聞こえないなぁ。」レイノルズは楽しくなってきた。ラーナはプチ切れた。

「レイル様!…っ、こ、これでよろしいですか!?」

「んー、おしいね。『これでいい?』だよ。」と言いながら、今度はそっとラーナの手を握った。

『こんなんじゃ、こっちの身がもたない!』危うく座っていた椅子を倒しそうになったところに、スナイパー・フィルが慌てて駆け付けた。

『お兄様、見ていてくれたのね。でも、なんだか恥ずかしいわ。』ラーナの赤い顔を見たフィルは、息も荒く大声で叫んだ。

「レイノルズ殿下!そろそろお時間かと!お迎えに上がりました!」

「えー、まだ大丈夫だよ。ラーナとも話したりないし。」レイノルズの言葉にフィルがどう返そうか考えていると、ちょうどいいタイミングでカイリが来た。

「いえ、殿下、帰城(きじょう)のお時間が近づいております。()()()ご心配されるかと。」カイリの釘を刺すような言葉に、若干苛立ちつつも、レイノルズは従うしかないようだった。

「…わかった。」レイノルズが席を立ち、フィルがホッとしたのもつかの間。レイノルズは同じく席を立ったラーナの横に来て、

「ではラーナ、今日は君に会えて嬉しかった。明日から城で会えることを楽しみにしているよ。」と言って、ラーナの右手の甲にキスをした。

ラーナは手まで真っ赤になり、フィルは怒り?で我を失いそうだった。カイリはため息をついて、

「殿下、参りましょう。」と、レイノルズを連行していった。

そのまま中庭での解散となり、その場にはラーナとフィルが残された。呆然とするラーナを見て、フィルは、

「あーーーーー!俺のラーナがぁぁ!」と叫んだ。

『お兄様の私じゃないわよ。』ラーナはようやく我に返った。

『今回、将太の姿を見ることはなかった。殿下が『ショータ』の話を出したときには、さすがに焦ったけど…。まさか殿下に聞かれていたとは…。ますます気が抜けないわ。でも…今世の将太は、ちょっと違う人みたい。もちろん、別人だけど…中身がちょっと、強引な気がする。』そんな将太、ではなくレイノルズも悪くない……と、思っている自分自身に、ラーナは気付いていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分はフィル側の読者なので王族の傲慢さが気に入らないかな。まぁラーナがまんざらでもないならいいかなと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ