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二人で転生しました!が、  作者: 西野ゆいと
前世編

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10/22

突然

夕食後の帰り道、夜空に向かって、左手をまっすぐに伸ばしてみる。もちろん、グーでもチョキでもない、パーにして。

薬指の光をうっとりと見つめる奈央。右手は将太の左手をしっかりつかんでいる。そんな奈央を将太は愛おしそうに見つめていた。

「聞いてもいい?」さすがにだるくなった左腕を降ろして、奈央が言った。

「なんだ?」

「これ、どうしたの?」

「もちろん、買ったさ。」

「どうやって⁉ってごめん、高そうだから…大変だったんじゃないかと思って…」奈央がうつむいた。

「バイト代、ずっと貯めてたんだ。」将太のその言葉に、奈央はまた涙ぐんでしまった。

「っ、じゃ、じゃあなんで…私の好みの指輪がわかったの?」

「いつだったか、雑誌の特集で指輪が載ってたの、奈央が必死に見てたことがあったんだ。その形の指輪のところばかり見てたから、だいたいの想像はついたさ。」奈央が驚く。

「じゃあなんでサイズがぴったりなの⁉」将太がフッと笑った。

「お前よくテーブルで寝てただろ?そん時に測った。紙ぐるって巻いて。」

奈央はもはや尊敬の眼差しで将太を見ていた。

「じゃ、じゃあ最後の質問。なんで今日、指輪持ってたの?」照れくさそうにしている奈央に、

「ここ最近、お前に会うときはいつも用意してたんだ。渡したいときに渡せるように。」と、将太も照れくさそうに言った。

「俺、お前のことなら誰にも負けない自信あるよ。」そう言って微笑む将太に、奈央は思わず抱きついていた。将太は驚きつつも、優しく奈央を抱きしめた。

「なんで……今日だったの?ごめん、やっぱりこれが一番最後の質問…。」そのまま奈央が静かに聞いた。

「ほんとはもっと早く、奈央を俺のものにしたいっていう気持ちもあったんだ。でも、お前があのとき『お互い就職できたら、いつかお嫁さんにして欲しい』って言ってたから…。二人の内定をゴールに決めて、そこからアルバイトして指輪を買えたら…プロポーズしようと思ったんだ。」将太の真剣な声が、奈央の心に響いた。

「将太…ありがとう。ずっと一緒にいてね。」

「離せって言われても離せねーけどな。」将太がニッと笑って、奈央に顔を寄せる。

奈央の唇に将太の唇が重なった。

大通りから一本入った裏通り。たまたま人通りがなかったことがこれ幸い。

二人は何度もキスをした。そして将太が言った。

「今から……うちに来ないか?」赤い顔で真剣に聞いてくる。

奈央も赤い顔で、黙ってうなずいた。


奈央は両腕を将太の左腕に絡ませて、二人で大通りのコンビニに向かっていた。お気に入りのアイスを買って帰る予定だ。夜も更けてきて、人通りもまばらな中、広い歩道は、婚約したてカップルの専用ランウェイのようだった。時折通る車のライトは、祝福のスポットライトだろうか。このとき、奈央も将太も『世界に二人だけ』の感覚を味わっていたに違いなかった。

この広い世界で、二人出会えたことに感謝した。ずっと切れなかった縁にも…。そして『未来はもっと幸せになる』そう確信していた。奈央も将太も、二人のこの縁を、絆を、宇宙の摂理のように感じていたのだ。


そんな二人に、そのときは突然訪れた。

「信号青になったよ。将太、行こう!」奈央が横断歩道に足を踏み出した。車も人もほとんどいなかった道路に、暗闇から、まるで急に現れたように強い光が二人を照らした。

「危ない!!」どこかで人の悲鳴のような声が聞こえた。奈央は光で何も見えなかった。が、

「奈央!!」将太の叫び声が聞こえたと同時に、抱きしめられたのがわかった。

強烈な光の中、将太の心地よいあたたかさを感じた。

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