第三章《ノートを買いに》
「また、明日」あと何回言えるのかな?
次の日、そんなことを考えながら私は起きた。
そして朝ごはんを食べた。
「忘れ物大丈夫?」母のいつもの声が聞こえた。
「はーい」私は答えた。
ローファーを履き、家を出た。
「今日は早いね!」茜音に言われた。
「あと一カ月だから、できるだけみんなといたいから。」私は答えた。
「ねぇ。」茜音が何か言いたそうだ。
「何?」
「最後の一カ月でやりたいことをノートに書かない?」もじもじしながら茜音は言った。
「いいね!楽しそう!」
そんなことを話していると校門が見えてきた。
「よう!」月斗が話しかけてきた。
「何話してんの?」
「最後の一カ月で何がしたいか、話してたの。」茜音が答えた。
「ふーん、俺も混ぜてくれよ。」
「いいよ!」私たちは勢いよく答えた。
「じゃあ、俺は……あとで書く。」
「えー!ずるい!」
茜音が頬をふくらませる。
「秘密ってことで。」
月斗は少しだけ笑った。
「なんか怪しいな〜。」
「別に。」
「学校終わったら、ノート買いにいこーぜ!」月斗が言った。
「勝手にしきんな!」茜音が怒った。
そして放課後私たちはまた集まった。
「どこがいいかな?」茜音が言った。
「隣町の文房具屋でいいんじゃない?」月斗が言った。
「確かに、よしっ、じゃあ行こー!」
そして駅へ歩いて行った。
電車に乗って隣町へ。
(次は、潮凪駅。)
(次は、星凪駅。)
(次は、森凪駅。)
「着いた」
「よしっ、行こー」
三人で文房具屋へ入る。
店内には色とりどりのノートが並んでいた。
「たくさん色があるね!」
茜音が目を輝かせる。
私は並んだノートを見つめながら、一冊の淡い水色のノートを手に取った。
「……これ、海みたい。」
少し勇気を出して言うと、
「いいじゃん!」
茜音が笑った。
「じゃあ、これに決まり!」
会計を済ませると、茜音が聞いた。
「題名どうする?」
月斗が少し考えてから言った。
「最後の一カ月ノートってのどう?」
「よしっ、決まり!」
帰り道、駅前にクレープ屋があった。
「ねぇ、クレープ食べない?」茜音が言った。
「いいぜ。」月斗が言った。
「私はチョコバナナ!やっぱ一番おいしいもん!ひーちゃんは?」
「私はこれ......」
「ひーちゃん、またいちご?」
「……好きだから。」
「月斗、何にするの?」
「……これ。」
「えっ!? いちごチョコ!?」
「意外。」
「悪い?」
「いや、全然! なんかかわいい!」
「うるさい。」
「絶対甘党じゃん!」
月斗は少し照れながら、
「……甘いの好きなんだよ。」
「ふーん」
茜音と私は顔を見合わせて笑った。
「月斗の秘密、一個知っちゃったね。」
「……秘密にするほどでもない。」
そう言いながらも、月斗は少しだけ照れたように笑っていた。
みんなでクレープを食べて帰った。
「また、明日。」その言葉を、あと何回言えるのだろう。




