第二十八章《誕生日》
2026年10月2日金曜日。
刻一刻と時は流れて行く。
今日はなんの予定もないのでゆっくりゴロゴロすることにした。
「はー、暇だなー。」
ソファでくつろいでいると……。
ジャジャジャジャーン!
「あっ、電話だ。お母さん、スマホとって!」
「はいっ、てかいい加減その通知音やめなよ。」
「えー。」
「心臓に悪いから。」
「はーい。」
「電話、誰から?」
「えーと、茜音から。」
「もしもし、茜音。どうしたの?」
「ひーちゃん、明日!あおちゃんの誕生日だってー!」
「えっ!本当?」
「うん。それで、明日サプライズパーティーしたいから手伝って!」
「いいけどどこでするの?」
「うーん……。あっ、カラオケは?」
「いいよ、でもやってるかな?」
「やってると思うよ!」
「何その自信?」
「うちの近所のところが明日までだから。」
「へー、じゃあ、決定ね。」
「あと、クラッカー持ってる?」
「えーと、うん、持ってるよ。」
「じゃあ、持ってきて!」
「わ、わかった。」
「じゃあ、また、明日正門前に十時で!」
「はーい。」
誕生日パーティーか。
久しぶりだな。
前はいつやったかなー?
確か、茜音のパーティーかな。
懐かしいな。
次は私かな?
「……次か。」
まだ、ハロウィン来てないし、クリスマスもお正月も……。
まだまだやりたいことがあるなー。
ジャジャジャジャーン!
「あっ、LINEだ。」
「だから、その通知音!」
「はいはい。」
「何その返事!」
「変えるから!」
もうすぐ地球が終わりそうなのに母の様子は変わらなかった。
「ねぇ、お母さん。」
「何?」
「なんでそんなに変わらないの?」
「えっ?」
「明々後日だよ。」
「うーん。なんでだろうね?」
「へっ?」
「最期まで笑顔で楽しみたいからかなー。」
「ふーん。」
「何、そのそっけない返事。」
「でも、いいね。」
「ふふふ。」
そして、ゆっくりと時間は過ぎていった。
昼が夕方になり、夕方が夜へ変わる。
窓の外が暗くなり、街の明かりが増えていく。
やがて夜も終わり、朝日が昇った。
そして――。
今日は2026年10月3日土曜日。
葵の誕生日だ。
「おはよう!」
「おはよう、朝から元気だね。」
「うん、だって、あおちゃ……。」
「ストップ!」
「あっ、危ない危ない。」
「二人とも、どうしたの?」
「あー、えーと、なんでもないよ!」
「そうそうなんでもない。」
「ふーん。」
「ほ、ほらっ、行こう。」
「うん?」
そして、カラオケに着いた。
「じゃあ、行くよー!」
パーン!
「おめでとう!」
「わぁ、ありがとう。」
「happy birthday to you ――♪」
「ありがとう。」
「イェーイ。」
「カラオケで祝われたの初めて。」
「そっか、じゃあ、来年も祝う。」
「うん。祝おう!」
「ありがとう。」
来年がこないかもしれない。
そんなことは考えなかった。
私たちはただ今を楽しむと誓ったから。
「じゃあ、プレゼント!」
「あ、ありがとう。何かな?」
「えーと、ネックレス?」
「うん。」
「綺麗ね。」
「うん。」
「次は俺から。」
「ありがとう。」
「ハンカチ?」
「そうだ。」
「可愛いね。」
「月斗、意外とセンスあるじゃん。」
「うるせぇ。」
「じゃあ、最後は私。」
「これは、クラリネットのキーホルダー?」
「そう!」
「みんな、ありがと。」
「それじゃあ、歌おう!」
「おー!」
私たちは三時間歌った。
そして、解散した。
「また、明日!」
明日、明後日、そして来年。
これからもみんなで楽しみたい。




