第十一章《林間学校⑴》
今日も学校に行く。
茜音と月斗と葵と一緒に。
こんな毎日が続けばいいな。
そして、学校に着いた。
教室では、林間学校の話をしている人が何人もいた。
「本当に行けるのかな?」
「延期になったときは中止だと思ってた。」
「あと二週間しかないし、思い出作りかな。」
教室のあちこちからそんな声が聞こえてくる。
私も席に座りながら、窓の外を見つめた。
そして舞園先生が入ってきた。
「えー、隕石衝突の影響で延期になっていた、林間学校だが、来週から三泊四日で実施することになった。」
舞園先生は朝の会で急に言った。
「今日の三時間目に班などを決めるから、ある程度決めておいてくれ。部屋は女子が三部屋、男子が二部屋だ。班は男女好きに組んでくれ。」
そう言って、朝の会は終わった。
「ひーちゃん、班一緒になろー!」
「あと、月斗とあおちゃんも!」
「オッケー。」
「えっ、俺、男子一人なんだけど?」
「まぁまぁ、気にしない〜。」
「いいの?」
葵は申し訳なさそうに聞いた。
「もちろん!」
「ありがとう。」
「部屋どうする?」
「うちのクラスが女子、九人だから、私たち三人で一部屋かな?」
「……じゃあ、茜音とあおちゃんと私の三人でいいかな?」
「よしっ、決まり!」
「じゃあ、あとでね!」
四人は顔を見合わせて笑った。
そして三時間目。
「では、班を決める。もう決まっているところはあるか?」
「はーい!」
茜音が大声で言った。
「私たちの班は私、氷雨、葵、月斗で。」
「では、火燈、豊咲、早乙女、八神は同じ班でいいか?」
「他の班どうする?」
「うち人数足りない!」
教室は文化祭の時みたいににぎやかだった。
茜音は何度も私たちの名前を呼びながら手を振っていた。
そんな感じで班が決まっていった。
「では、次は部屋決めだ。」
「はーい、私たちの部屋は私、氷雨、葵で。」
茜音はまた大きな声で言った。
「では、火燈、豊咲、早乙女は同じ部屋だ。」
そんな感じで部屋も決まっていった。
「では、林間学校のしおりを配る。」
クラス中でしおりをめくる音が一斉に響いた。
「これで三時間目を終わる。」
そして放課後。
「みんな同じ班だねー。」
茜音は嬉しそうに言った。
「そうだなー。」
「てか、林間学校って何するんの?」
月斗が聞いた。
「……BBQとかキャンプファイヤーとかじゃないの?」
「確かにな。」
「BBQ楽しみ!」
「私は星空が見たいな。」
「俺は川かな。」
「あおちゃんは?」
「私は……みんなと写真撮りたい。」
「それ最後の一カ月ノートにも書いてあるね!」
四人は笑った。
「それじゃあ。」
「バイバイ。」
家へ帰ると、夕日が少しずつ傾き始めていた。
カバンを机の上へ置く。
制服を脱いでリビングへ向かう。
テレビではニュース番組が流れていた。
リモコンを手に取ろうとした、その時だった。
また速報がやっていた。
〔専門家によると、隕石衝突での死者は全世界の約80%だそうです。〕
「80%か……。」
「みんなも生きられないかな……?」
〔隕石の落下予測は日本の首都の東京ということです。〕
「えっ、日本?」
テレビを見つめたまま、言葉が出なかった。
東京。
そこには、ついこの前転校してきた葵が暮らしていた街がある。
葵はどんな気持ちで東京を離れたんだろう。
大好きな街だったのかな。
友達とも、急に別れることになったのかな。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
「そんな……。」
「氷雨、ご飯だよ〜。」
母が呼んでいる。
「はーい。」
まぁでも奇跡は起こるかもしれないし。
『未来は私たちの中にある!』
私は茜音の言葉を思い出した。
「氷雨、ご飯だってば〜。」
「はーい、今行くよ。」
そうだよね、不可能はない。
私たちはきっと……。
まだ、諦めたくなかった。
食事を終えて部屋へ戻ると、机の上に配られた林間学校のしおりを置いた。
一日目 出発・ハイキング
二日目 川遊び・BBQ
三日目 キャンプファイヤー
四日目 帰校
私は「二日目 川遊び・BBQ」の文字をしばらく見つめた。
「みんなで笑えるといいな……。」
そう願いながら、しおりを閉じた。
林間学校まで、あと一週間。
残された時間は、少しずつ減っていく。
それでも私は、その一週間を楽しみにしていた。




