それぞれの戦い 8
「……なんと、傷を負った警官、果てには犯されて倒れていたはずの女性たちまでもが凶暴化し、周囲を襲い始めたのです…!」
「えぇーっ!?」
「しかも、止めに来たはずの人たちが次から次に凶暴化して……まるで感染でもしたかのように一気に広がっていったんです…!」
「まずいまずい」
それ、まんまじゃん!
某作品の某ウイルスに感染した奴みたいになってるじゃん!
…あ、でもあっちは食べるために襲ってくるけどこっちは異性を犯すために襲ってくるから厳密には違うのか……いや、そういう問題じゃない!
「街が騒然とする中、私は命からがらなんとか家に逃げ帰ることに成功しました。家の扉を開けると、母が勢いよく私を抱きしめてきたのです。訳が分からず目を白黒させる私に母はこう言いました。【ごめんね…ごめんね…】と……そこで私は、やっとすべての真実を知ることになったのです」
真実とは、ドール自身が本当は半分サキュバスであることだろう。
この騒動も、半分サキュバスであることが関係しているに違いない。
子宮の疼き、体液の摂取、暴走者の広がり方……
ここまで揃えば、この騒動の理由もおのずと分かってくる。
「……貴方も気づいたようですね。そうです。私はサキュバスの数ある能力の中で唯一、ある能力だけ受け継いでいたんです。それは…【催淫液】」
「…催淫液?」
「はい。サキュバスの体液は取り込むことで催淫状態にすることが出来ます。催淫状態になったものは自身の性欲をコントロール出来なくなり、サキュバスの操り人形になってしまうのです。しかし、私のそれは本来のものと違いました。中途半端に受け継いだ【催淫液】は、私の感情や体調に酷く影響を受けます。そして、当時の私は知らなかったとはいえ半分はサキュバス。もちろん、サキュバスとして生力を取り込む必要があったのですが、それを一切してこなかったので私自身の性欲が暴走しかけていました。身体が生力を求めていたために、身体の疼きとして禁断症状が表に出ていたのです」
「禁断症状……」
子宮の疼きというやつがそれなのだろう。
身体が成人を迎えてサキュバスとしての本能が抑えきれなくなったのだろうか。
その状態で長い間放置していたものだから、限界を超えてドール本人が発情状態になってしまった。
そして、ドールの【催淫液】はドールの感情と体調にリンクしている。
発情しているのにそれを無理矢理押さえつけ、身体が生力を渇望している状態のドールの【催淫液】を体内に取り込んでしまえば……どうなるかは火を見るより明らかだ。




