それぞれの戦い 7
「貴方が考えている通り、それだけで終わるならただの気持ち悪い事件というだけで、こんなに大げさに言うことはありません。問題はその後です」
また考えを読まれた。
そんなにアタシは読みやすいのだろうか?
それとも、ドールとかいう女に心を読む力があるとか?
「……舐められたことで何か起きたってこと?」
「そうです。舐められた瞬間は気持ち悪すぎて思わずその男の頬を叩いてしまいました。そして、すぐに叩いた男が逆上して手を上げてくるかと思い至り身構えたのですが、何故か男は怒るどころか身動きもせずただ俯いているのです。不審に思った私は、おそるおそる男の顔を覗き込むと…男は急に豹変して私に襲いかかってきたのです!」
「なに?結局怒ってたってこと?」
「そんな感じではありませんでした。あれは暴走とも言うべき代物で、もはや男にまともな理性は残っていないように見えました。血走った目で乱暴に私の胸元の服を掴むと、力任せに引っ張って引きちぎりました。私の胸元は半分以上露出し、私は悲鳴を上げてうずくまってしまいました。ですが、男はあまりにも強い力で引っ張りすぎたのか、勢い余って後ろに転んでしまいました。その隙に私はなんとか逃げ出すことに成功したのです」
「なんだ。逃げれたなら良かったじゃん」
「……事はそんな単純な話ではなかったのです」
「単純じゃない?」
「その通りです。その男は私に逃げられた後、たまたま通りかかった異性の人間に手当たり次第に襲いかかったのです。辺りは阿鼻叫喚に包まれ、暴走男を止めるために警察まで出てくるほどの事態にまで発展しました。数人の警官が到着したときにはすでに二人の女性が襲われており、男の出した醜悪な液体まみれでぐったりしていました。そして肝心の男は三人目に手を出している最中で、警官たちはとにかく男を止めようと囲います。必死に男を取り押さえようとするのですが、男はものすごい力でそれを振り払うのです。まるで悪魔に取り憑かれたかのような暴れっぷりで数人がかりでも取り押さえることが難しく、その過程で警官たちもひっかかれ怪我を負いました。そして……ここからが本当の地獄の始まりでした」
「地獄…?」
なんだこれ?
ドールの指を舐めたら何故か暴走して異性の人間だけを襲い、警官が取り押さえようととしても力が強すぎて振り払われた挙句、ひっかかれたりして怪我を負った。
そして、そのせいで地獄が始まったって…まるで某作品のアレみたいだけど……いや、まさかそんな訳ないよね?




