高飛車女は歓喜する
「やった……やりましたよ……!ついに…!」
ごきげんよう、みなさん。
私の名前はデュロース・ドライ。
ドライ伯爵家の長女です。
ヤークワキ・ドライの妹で、同じ海老色の髪に瞳をした、シャーユ王国の由緒正しい貴族です。
今は学園の寮の自室にて、あまりの喜びに自身のベッドに飛び込んでいました。
淑女にあるまじきはしたない行為だと自覚はしています。
しかし今だけは許してください。
なにせ、私はついにあることを成し遂げたのですから。
「これであの女も終わりです…フフフ!ザマァ見なさい!」
それはあのお方に託された薬を、あの女に盛ることが出来たのです!
興奮のあまり、自身の枕をバンバンと叩く。
「まさか私のお父様の経営するお店に来るとは…おかげで薬を盛るのも簡単でしたね」
バレないようにあの女の動向を調べていたら、何やら冒険者組合?とやらに登録して冒険者の真似事をしているらしかった。
仮にも貴族の身でありながら冒険者の真似事など、恥ずかしくないのだろうか?
まあ、野蛮なあの女にはお似合いか。
そして、その冒険者の真似事が終わった帰りであろう。
そのときに私のお父様のお店にたまたま立ち寄ってくれた。
そこからは簡単だ。
料理に混ぜてやればいい。
匂いも料理で消せば、無差別に周りを発情させることもない。
あの女にピンポイントで薬を盛ることが出来る。
「本当はあのお店でそのまま発情してくれれば良かったのですが…遅効性だったのでしょうか?」
確認させた情報を聞くに、しっかり料理は全部自身で食べていたとのこと。
ただ、様子がおかしくなることはなかったという。
「まあ、薬を摂取していつ頃効果が出るかは聞いておりませんでしたし、仕方ないですね…でも、きっと今夜にも薬の効果が出るはず!そうなればあの女は……!」
無差別に男を襲う獣になる。
その瞬間を想像するだけで、興奮のあまり再び枕をバンバン叩いてしまう。
「ふぅ…これであのお方にいい報告ができそうです。もしかしたらこれがきっかけであの方の隣に立てたりとか……なんて!」
変な想像をしながら瞳を閉じる。
興奮しすぎて体力を使ったのか、だんだん眠気が襲ってきた。
よし、ここらで一眠りしよう。
起きたらきっと、あの女が騒ぎを起こしているはず。
それを私は特等席で見てやるのだ。