緑鬼の王、再び 61
「いやー、美味しかったですね!」
「そうですね。また来たいと思いました」
イーリスの言葉に素直に同意する。
あの店はとても良かった。
また機会があったらもう一度来たいと思えるほどには。
美味しいものを食べてお腹を膨らませ、満足した気持ちで帰路につく。
身体中がポカポカしており、とても気分がいい。
今ならあの薬草取りも楽しく出来そうだ。
「この後はどうします?」
「明日は学園での授業もありますし、ここからは自由行動にしましょう」
ヴィサス様がこの後の予定について聞いてきたので、それぞれ好きなことをしようと提案する。
「それなら、これからメアのお部屋にお邪魔してもいいですか?」
「私の部屋ですか?」
「ダメ、ですか?」
上目遣いで私の顔を覗き込むヴィサス様。
キングゴブリンとの件もあって、お腹いっぱいになっている今は休みたい気持ちでいっぱいだが、そんな顔で見られたら断りづらい。
私は小さく息をつく。
というか、なんだか暑いですね…
身体が火照っている気がするが、たぶん気のせいだろう。
きっと、さっきの唐揚げの香辛料が効いているに違いない。
決して、ヴィサス様の上目遣いにやられたからではない。断じて。
私は首を左右に振って気を紛らわし、ヴィサス様に向き直って答えた。
「いえ、いいですけど…」
「いいんですか!?やりました!」
「でも、私の部屋なんて何もありませんよ?」
「いいんです!私はメアともっとお話したいだけですから!いっそのことお泊りしましょう!そうしましょう!」
私が許可を出したことでヴィサス様が少し(?)興奮気味になり、暴走している。
「もちろん、夜は寝るまでお話しましょうね!あれだったら、一緒にベッドで寝たりとか__」
「あ!ズルい!アタシだってまだ一緒に寝たことないのに!アタシもいいですよね!?メアリー様!」
ヴィサス様に当てられてイーリスの勢いも増す。
三人で寝たらさすがに狭くないですか…?
「まあ、お話して寝るくらいならいいですよ。ただ……もし何か良からぬことをしたらお仕置きですからね?お風呂ももちろんダメです」
私は予め釘を差しておく。
こう言っておかないと、今までの言動から何か変なことをしそうな気がするからである。
「わかりました!そこは弁えてますとも!さあメア!早く行きますよ!」
笑顔で私の腕を引っ張って早く行こうとするヴィサス様。
その姿は、先ほど食事処に連れて行こうとしていたイーリスを彷彿とさせる。
「楽しみですね!こういうの修学旅行みたいでドキドキします!メアリー様!行きましょ!」
イーリスも同じようにヴィサス様とは反対の腕を引っ張っていく。
「はぁ、分かりましたから。そんなに引っ張らないでもお泊りは逃げませんよ」
引っ張られながら私は、微笑ましいものを見る目で二人を見ていた。
お泊りを許しただけであんなに喜ぶとは…
たまにはいいかもしれませんね。
それにしても暑いですね…
どんどん胸のドキドキが大きくなっているような気がしますし…何だか誰かに会わないといけないような…
気のせいですよね?




