激情
「……暑い…暑すぎます……」
ごきげんよう。
私の名前は、メアリー・フェリシテ。
勇者が興したとされる国、シャーユ王国を代々支えてきたフェリシテ公爵家の長女。
今日は冒険者組合の依頼を終え、皆でお泊まり会をすることになりました。
私のベッドの上に集まり、ついさっきまでヴィサス様とイーリスとでいろんなお話をしていました。
家族の話、学校の話、貴族の話、冒険者組合の話__そして恋の話と、今まで話すことがなかったこともいろいろ話しました。
まあ、恋の話は今の私に好きな人がいないので特に話せなかったんですけど。
お二人は何故か私のことばかり話していました。
恋のお話ですよ?何故私のことを話すのでしょうか…?
そして、お二人は話し疲れたのか、今は私のベッドの上でスヤスヤと寝息を立てています。
「それにしても暑すぎます……動悸も激しくて頭もボーッとして……風邪でも引きましたかね…?」
なんだか少しずつ体調が悪くなってきている気がします。
咳とかくしゃみとかはないのですが…
とにかく胸がドキドキして落ち着きません…
「それに何か頭の奥から声が聞こえてくるような……」
始めはぼんやりとしか聞こえてなかったが、今では少しずつはっきり聞こえるようになってきている。
その声を聞きたくなくて、近くにあった布団にくるまって丸くなる。
それでも、頭の中の声は消えてくれない。
「うーん、うるさいですね……そもそもなんて言ってるんですか?」
あえて頭の中の声がなんて言ってるか、集中して聞いてみることにする。
「えっと……会わなくちゃ……?会う?誰に?他は……あの人に会わなくちゃ……今すぐ…何よりも…誰よりも…大好きな…あの人に…………」
…ああ、そうだった。
会わなくちゃ。
あの人に今すぐ会いに行かなくちゃ。
誰よりも大切で、誰よりも大好きなあの人に。
なんでこんな大事なことを忘れていたんだろう…?
今すぐ行こう。
大好きなあの人のもとに。




