白黒ハッキリつけましょう 18
「……メアリー嬢?なにやら良からぬ事を考えてはいないか?」
そのとき、私の様子がおかしいことに気づいたのか、レオン殿下が私に訝しげな視線を向けてくる。
「え……いや、そんなことないですよ?ただちょっとお話しようかと思っただけで……」
ほら、拳と拳で語り合うと言うではありませんか。
あれです、あれ。
「……本当か?」
「ええ、本当ですとも」
さらに視線が鋭くなるレオン殿下。
私は思わず、顔を横に背けて視線をそらしてしまう。
「……まあ、いいだろう。まだ何かした訳じゃないからな」
そうですそうです。
まだ何かした訳じゃないのだから私は悪くないのです。
……って、何かすると思われてたってことですか?私。
「さて、このままでは埒が明かないからな。皆の者!一旦静かにしてくれ!」
レオン殿下がそういうと、メアリーコールをしていた生徒たちの声が徐々に小さくなっていき、最終的には少しのざわめきを残して、メアリーコールは完全になくなってしまった。
…なんですか。
始めからレオン殿下にお願いすればよかったんですね。
悩んで損しました。
「メア。今【クリーン】の魔法をかけますね。ついでにイーリス様も」
「あ、ありがとうございます」
「いえいえ♡」
ヴィサス様の特殊魔法によって、私とイーリスの服についていた泥などの汚れが綺麗に消えていく。
そう言えば、さっき地面を転がりまくっていましたね。
お礼を言うと、ヴィサス様はニッコリと微笑まれた。
「さて……」
私はイーリスの方に視線を向けた。
イーリスはいきなり視線を向けられて驚いたのか、少しビクッと震える。
「どうします?まだ続けますか?」
一応、まだ決闘は続いてはいる。
ルールでは気絶か降参しないと負けにならないからだ。
こちらとしては、ここで降参してくれると面倒がなく有難いのだが。
「……もう止めます…アタシの負けです…」
すっかり心が折れたのか、すんなりと負けを認めてくれる。
良かったです。
こんな負け犬みたいな顔した人に追い打ちをかけないで済みそうですね。




